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IoTが高密度化・高発熱化するデータセンターを救う

2017年8月9日

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 IoTの活用が様々な分野に広がる中で、日本の電力のうち約2%を消費するとされているデータセンターでは、空調に活用することで、省エネ化が進むと期待されています。

 情報化が進展するいま、データセンター内のコンピューターは、高性能化にともない消費電力が増加。さらに、小型化も進み、1つのサーバーラック内に多くの機器が集積される傾向にあります。そうしたサーバーラックが非常に密度の高い状態で設置されることで、データセンターでは高発熱化という課題があらわになっています。その解決に、IoTは重要な役割を担っているのです。

 今回は、ユニークな進化をとげるデータセンターの動向と、データセンターでIoTが果たす役割について探ります。

データセンターが直面する「高密度化」とは

 IoTやクラウド、ビッグデータ、AIなどの普及に合わせ、データセンターが取り扱うデータの量は爆発的に増加し続けています。その中で、データセンターが直面しているのが、「高密度化」という課題です。

 日々増大する情報に対応するため、その処理を行うコンピューターは高性能化しています。また、コンピューターの小型化も進行。これによってデータセンターでは、1つのサーバーラック内に、より多くのコンピューターを集積することが可能になっています。

 そして、現在のデータセンターは、高性能のコンピューターを集積したサーバーラックが、限られたスペースの中で非常に高い密度で設置されるようになっています。これが高密度化です。

 スペースを効率的に利用し、処理能力も向上している一方で、高密度化は「高発熱化」という深刻な問題を引き起こしているのです。

消費電力とコストを増やす「高発熱化」とは

 高密度化は、なぜ高発熱化につながるのでしょうか。

 コンピューターは、処理能力が高まると、基本的にその消費電力も増加します。そして、消費電力が増えると、コンピューターの発熱量も増えます。つまり、現在のデータセンターは、発熱量の高いコンピューターを集積したサーバーラックを高い密度で設置することにより、高発熱化する傾向にあるのです。

 データセンターでは、サーバが温度の上昇によって故障しないよう、空調による冷却を行っていますが、高発熱化が進むことで、空調の消費電力が増加。ある調査では、データセンターにおける消費電力の割合は、サーバをはじめとしたIT機器(約3割)よりも、空調(約4割)の方が多く占めているという結果も出ています。

 そのためデータセンターでは、増大する空調の消費電力をいかに減らし、コスト削減を図るのかが、喫緊の課題となっています。

バルコニーから、海、液体へ

 この高発熱化したデータセンターを効率的に冷却するために、ユニークな取り組みが次々と登場しています。

 米国では、海の中にデータセンターを設置するというプロジェクトが進められています。このプロジェクトでは、密閉されたコンテナの中にサーバを設置。それを海底に沈めることで、電力を使ってサーバを冷却するのではなく、海水で冷やすことで省エネにつなげるという狙いがあります。

 日本では、サーバ自体を液体に漬け込んで冷却してしまおうという、実証実験が行われています。実証実験では、電気的な故障が発生しないよう、高い絶縁性を持つ液体にサーバを直接入れて冷却することで、サーバをはじめとしたIT機器以外の電力を極力ゼロに近づけることを目指しています。

 すでに実現しているものとしては、空調機全体を建物の室外に設置するというユニークな冷却システムが登場しています。一般的な空調機は、室内機で熱を取り込み、室外機で熱を排出することで室温を下げます。室内機と室外機に距離がある分だけ、冷却に要するエネルギーも大きくなりますが、この冷却システムでは、室内機と室外機を1つの筐体に収め、その距離をほとんど無くすことで、エネルギーロスを低減。これにより、冷却の効率化を図っています。

旧来では対応が難しい「ホットスポット」にIoTで対応

 このようなユニークな取り組みが登場する背景には、旧来の空調設備では、高発熱化したデータセンターを効率的に冷却しにくい、という実情があります。

 IT機器の多くは、前面から冷気を取り込み、背面から排気します。そのため、IT機器の発熱量が高くなると、熱を持った排気が一カ所に集まり、局所的に気温が高くなる「ホットスポット」という現象が発生しやすくなります。

 サーバは、温度が高くなると、パフォーマンスが悪くなり、故障につながる可能性もあるため、ホットスポットが発生した場合は適切に冷却する必要があります。

 従来のデータセンターでは、ホットスポットが発生した場合には、サーバルーム全体の室温を下げて対応します。しかし、部分的な冷却ができないため、ホットスポット以外の場所まで過剰に冷却してしまい、電力の無駄づかいが生じてしまうケースもあります。

 こうした空調に関する無駄を省き、効率的な運用につなげる技術として注目を集めているのがIoTです。

 たとえば、センサーがデータセンター内の温度を測定し、そのデータをもとに、AIが空調機を自動で制御し、効率よく冷却するサービスも存在します。これにより、データセンターの消費電力を大幅に削減することができます。

 IoTなどの普及により、情報化社会を支えるデータセンターの負担はこれまでになく大きなっています。しかし、そうしたデータセンターが抱える課題を解決する上で鍵となるのも、やはりIoTなのです。データセンターの高密度化・高発熱化にお悩みの方は、一度空調へのIoT利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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