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女子ラグビーに学ぶ、世界に躍進する人材活用術

2017年9月6日

 ラグビー女子日本代表が著しい進化を見せています。強豪国と比べ、競技人口が少ない、フィジカル面も強くない、国内リーグすらないという不利な環境の中で、世界を相手に戦えるチームへと成長しています。

 なぜラグビー女子日本代表は強くなったのでしょうか? その秘密に迫ります。

世界への扉を開いたサクラセブンズの人材活用術

 前述したとおり、もともと日本の女子ラグビーは競技人口が少なく、強化体制も十分ではありませんでした。当時のラグビー女子日本代表の実力はアジアでも7、8番手。世界どころか、アジア相手でも思うように結果を残せない状況が続いていました。

 この状況を打破しようと、日本ラグビーフットボール協会(以下、協会)が強化に力を入れだしたのは2012年ごろのことです。まずは15人制ではなく、7人制の代表チーム「サクラセブンズ」のレベルアップからスタートしました。

 具体的な取り組み内容は、運動量、フィットネスをベースにしながら、海外選手との差が大きいストレングス(筋力)の強化に力を入れるというものです。そのために基礎練習に多くの時間を割きました。

 7人制ラグビーは、15人制ラグビーと同じグラウンドをわずか7人が走り回るだけに、肉体的負担が大きくなります。スピードや体の大きさで劣る日本選手が勝利するには、ストレングスの強化が欠かせなかったわけです。

 それに加えて、多様な人材を活用したのも特徴です。女子の代表チームには、以前から地道にプレーを続けてきたベテラン選手と、中高生から一貫した指導を受けてきたエリート選手に加え、円盤投げ、バレーボールなど他競技から転向してきた選手も起用されました。彼女たちも、屈強な体格を生かして大きな戦力になりました。

 サクラセブンズは、こうした工夫と努力の積み重ねによってアジアでトップレベルの実力となり、今では世界へと活躍の場を広げています。

「正解を与えない」サクラフィフティーンの指導法

 7人制に続き、15人制においても、世界を舞台に戦えるレベルへと成長しています。

 15人制ラグビーの女子日本代表「サクラフィフティーン」は、90年代には世界レベルの実力を持っていました。しかし、2000年代に入ると、アジアのライバル国が台頭。これにより、日本代表はしばらく世界の舞台から遠ざかってしまいます。アジアで勝てなくなった原因としては、国内には本格的なリーグが存在しない点や、代表の強化試合の機会が少ない点が挙げられています。

 そうした中、アジアの壁を突破するにはどうすればいいのか、協会は人材活用の方法に知恵を絞ります。本来なら、7人制と15人制の代表チームは、それぞれ独立して強化していくことが望ましものの、競技人口が少ない女子では人材の確保が困難です。そこで、協会は、7人制代表の強化と15人制代表の強化を統合していくアプローチをとりました。

 具体的には、まず7人制代表の強化を集中的に実施。それを通して鍛え上げられた選手たちの多くが、15人制のチームでもプレーするというものでした。サクラセブンズから強化がスタートした理由は、実はこれだったのです。

 指導法にも一工夫しました。コーチは選手に対して教えるよりも、自ら気づいてもらう指導法を実践して選手育成を図りました。選手の疑問に対して、「これが正解」と答えを出すのは簡単です。しかし、与えられた答えはなかなか身につかないものです。それよりも選手自身が考え抜いて、自ら気づくことで、本当に自分のものにしてもらおうと考えたのです。

 これはビジネスにおいても、参考になる指導法です。たとえば部下の育成に関して、自分のやり方やマニュアルを押し付けるだけでは人は育ちません。部下が自ら考えて、自ら答えを見つけるように仕向けたほうが、確実な成長が期待できるはずです。

 そうした指導法のもと、選手たちは急速に実力を付けていきました。2015年には、アジア有数のチームとなり、世界の舞台に立てるほどとなりました。

出産後の選手をラグビーに繋ぎ止める支援策とは

 現在、女子日本代表は、さらなる強化に乗り出しています。そのために、従来よりも高い目標設定をすることで、選手のモチベーションを引き出し、過酷なトレーニングを乗り越えようとしています。

 選手だけでなくそれをバックアップするスタッフも、日本代表GMから男女7人制ラグビーの総監督及び女子15人制強化委員長に就任した岩渕健輔氏を中心に、環境整備に乗り出しています。特に「競技力の底上げ」と「アスリート発掘」は急務です。競技人口が増えれば、それだけ有力な選手も育つだけに、代表の実力の底上げに欠かせません。

 さらに、幅広い人材が活躍できるよう、子育てをしながら競技を続ける代表選手のサポートにも乗り出しました。合宿期間中に選手がベビーシッターを頼む際に、1日に最大で1万円を補助するという制度です。これまでは出産後に競技を離れてしまう選手も多かったそうですが、こうした支援を実施しながら幅広い選手が活躍できる環境を整備しています。

 日本の女子ラグビーは、厳しい時代を乗り越え、世界で躍進しようとしています。そこには、ビジネスにつながるヒントも多くあることでしょう。そんな視点も交えながら、サクラセブンズ、サクラフィフティーンの活躍を見守ってみてはいかがでしょうか。

SAKURA FIFTEEN  SAKURA SEVENSNTTファシリティーズは、ラグビー女子日本代表を応援しています。

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