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「働き方改革」のヒントはスマートビルディングにあった

2017年12月13日

 企業が取り組むべき課題として、「働き方改革」がクローズアップされています。しかし、その必要性を感じながらも、どう取り組めばいいのかと頭を悩ませている企業も少なくありません。

 「働き方改革」のヒント。それはオフィスの快適さにあります。スマートビルディングで使われる最新のICTには、この快適さを確保するものが次々と登場しています。そうしたものを活用し、さらに前回紹介したZEBによってスマートビルディングを構築することで、企業の生産性や省エネは大きく向上します。

 今回は、現在求められているオフィス環境のあり方、その先にあるスマートビルディングの効果について考察します。

「働き方改革」はオフィスの改革から

 経済構造が劇的に変化する中で、企業はその対応に迫られています。

 日本では少子化の影響で労働人口が減少しています。さらに、グローバル化も進む中、日本の企業が厳しい国際競争を勝ち抜いて生き残っていくためには、一人当たりの知的生産性の向上が欠かせません。政府や企業は、その解決のためにさまざまな取り組みを進めています。その1つが「働き方改革」です。

 働き方改革では、日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本の働き方に対するこれまでの考えを改め、日本経済を活性化しようとしています。その中で、企業は快適で働きやすい職場環境を整備することが求められています。それが働く1人ひとりの健康や活気を支え、生産性の向上へとつながることになるからです。

 そうしたことを背景に、近年、「健康経営」に取り組む企業が増えています。健康経営とは、従業員の健康管理を経営的視点から戦略的に推進するものです。一般に従業員の健康管理は、経営の「コスト」としてとらえられがちですが、健康経営ではこれを「投資」と考え、生産性向上などにつなげることを目指します。

 働き方改革や健康経営を進めるには、オフィスに「ウェルネス(心身の健康)」が求められます。なぜなら、企業の知的生産性の根幹には従業員の健康があるからです。

 そうした動きに合わせるかのように、建築物の認証制度でも、オフィス空間などのデザイン・構築・運用に「人間の健康」という視点を加えたものが登場しています。

 「WELL認証」はまさにそうした評価システムで、働く人の健康や快適性、知識に影響する空気、水、食物、光、フィットネス、快適性、こころという7つのカテゴリーから建築物を評価します。設備面では、空気環境基準、温熱快適性、換気、気密性の管理などが問われ、個人が作業に集中できる空間も評価項目に入っています。

 こうした基準は知的生産性にも影響すると考えられることから、WELL認証は建築物の価値を計る指標として普及が進みつつあります。

ウェルネスに必要な「従業員の行動」とは

 オフィスのウェルネスを確保するためには、促進すべき「従業員の行動」があります。

 経済産業省がまとめた健康経営オフィスのレポートによると、オフィス環境で従業員の健康を保持・増進する行動は、大きく分けて7つあります。それは、「快適性」「コミュニケーション」「休憩・気分転換」「清潔」「適切な食行動」「運動」「健康意識」というものです。

 これらの行動を従業員に促すよう、家具・レイアウト・内装といった空間や、照明・空調といった設備を工夫するほか、情報インフラといったオフィス環境の整備を行います。

 特に快適性は、従業員の健康やメンタルに影響するだけでなく、生産性にも大きな影響を及ぼします。そのため、「室温を快適と感じる」「光を快適と感じる」「音を快適と感じる」「香りを快適と感じる」「パーソナルスペースを快適と感じる」といった従業員の行動に配慮したオフィス環境づくりが求められます。

 このような快適性をはじめとしたウェルネスに必要な行動を促進する次世代のビルとして、スマートビルディングに注目が集まっています。その世界市場は急成長を遂げ、2016年時点すでに5,000億円以上あり、2022年には3兆円を超えると予測されています。

スマートビルディングで快適性と省エネを両立する

 スマートビルディングは、空間のあり方を工夫したり、設備に最新のICTを活用して、オフィスのウェルネスを確保します。

 空間の面でいうと、オフィス内においては、デスクの配置に無理がないか、天井に充分な高さがあるか、騒音対策ができているか、空気を喚起できる窓が設置されているかなどに注意します。共用部についても、中庭などに光をとり入れる仕組みや、カフェや食堂、リフレッシュスペースを設けることで、快適性の向上につなげることができます。

 設備面でいうと、照度は生産性に影響を及ぼします。しかも、ただ明るくすれば良いというものではありません。窓際と廊下側では必要な照明の明るさは異なるでしょうし、誰もいない場所の照明がついていては不経済になります。室温も同じで、1日の中で変化する室温や室内の状況に応じて空調を運転する必要があります。

 最近では、IoTによって、照明や空調を状況に合わせてコントロールし、働く人にとって快適な環境と省エネを両立できるようになっています。

 スマホやビーコン(無線標識)から、従業員がきちんと休憩を取っているのか、コミュニケーションを交わしているのか、といった情報を取得できるようにもなっています。こうした情報があれば、より具体的な健康管理や生産性のプランを考えることが可能です。

 快適性は、これまでは省エネとトレードオフの関係になりがちでした。しかし、見てきたように、スマートビルディングでは、ICTによってその両立を可能にします。それには、前回紹介した、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)も大きく貢献しています。

 このように快適さを追求することで、オフィスビルの姿は大きく変化します。人々は生き生きと働けるようになり、心身の健康を維持・増進させやすくなります。つまり、ウェルネスの実現につながるのです。さらに、それがZEBと合わさることで、オフィスビルはスマートビルディングへと進化し、企業経営に大きな恵みをもたらすことでしょう。

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