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ビジネスコラム

ファシリティマネジメントが経営を強固にする!

2018年1月24日

 日本の経済状況が変化する中で、ファシリティを効率的に運用する経営手法として「ファシリティマネジメント」に注目が集まっています。ファシリティマネジメントを導入することで、コスト削減や知的生産性の向上につながるといいますが、従来のビルメンテナンスとはどのように違うのでしょうか。その特徴やメリットを探ります。

バブル終焉でファシリティマネジメントが注目された理由

 ファシリティマネジメントは、「企業や団体が組織活動のために施設とその環境を総合的に企画・管理・活用する経営活動」です。もう少し簡単に説明すると、ファシリティのパフォーマンスを最大化し、収益性の向上を図る経営手法ということができます。

 ファシリティマネジメントの概念は、1970年代にアメリカで誕生しました。米国の景気が低迷する中で、ファシリティを有効活用しようと研究所が設立されたのが誕生のきっかけといいます。

 1980年代に入ると日本にも関連団体が設立され、ファシリティマネジメントが本格的に紹介されるようになりました。 しかし、その導入が日本ですぐに進んだわけではなく、企業や自治体などが積極的に取り組むようになったのは近年のこと。そのきっかけは日本の経済環境が大きく変化したことにあります。

 日本ではバブル期まで、老朽化した建物をすぐに壊し、次々と新しい建物を造っていく「スクラップ&ビルド」という考え方が主流でした。その背景には、古くから災害の多かった日本では建物を長い年月使うという考え方が希薄だったことに加え、経済成長とともに不動産の価格も上がり続けたため、建設を行うための資金調達が容易だったことがあります。

 しかし、日本経済の成長が緩やかになり、資金調達が以前ほど容易でなくなると、建物を耐用年数まで長期間にわたって有効活用する「ストック」の考え方へとシフトしていきました。

 建物をストックしていく上では、その運用コストの管理が重要になります。建物を長く使えば使うほど、老朽化や設備の故障などに対応する必要があり、運用コストも上昇していきます。中規模のビルを40年運営する場合、管理や更新、修繕・保全などを含めた運用コストは、建設費の4倍も必要になるという試算もあります*。

 近年、バブル時代に大量につくられた建物が老朽化して運用コストが増大していることもあり、その適正化を図るファシリティマネジメントに注目が集まるようになりました。

*出典『ファシリティマネジメント・ガイドブック』日刊工業新聞社(刊)

照明が切れてもすぐに交換しないのにはワケがある

 ファシリティマネジメントは、直訳すると「施設管理」となります。しかし、従来のビルメンテナンスとファシリティマネジメントの内容は大きく異なります。

 業務範囲を見てみると、従来のビルメンテナンスで扱う土地や建物、設備に加え、ファシリティマネジメントでは執務空間や生活空間といった環境もファシリティと定義づけ、管理の対象とします。

 違いはそれだけではありません。従来のビルメンテナンスは維持保全を目的としています。維持保全は、新築当時の状態に保つことを目的に、問題の発生した施設を対象に管理を行います。例えば照明の電球が切れれば、すぐに交換するといった管理方法がとられます。

 ファシリティマネジメントの場合は、ファシリティの最適化を目的に、企画・設計から廃棄までに必要となるライフサイクルコストや将来を見据えた管理を行います。電球の例では、照明が切れてもすぐに交換するのではなく、その場所に照明は必要なのか、部屋の更改は迫っていないか、というように必要性や合理性を考慮してから、すぐに交換する必要性の有無を判断します。

 また、従来のビルメンテナンスでは、施設ごとに管理者を配置してまかせきりになっていることも多く、企業が現状を把握できていないというケースもありました。ファシリティマネジメントの場合は、企業が所有するファシリティ全ての情報を把握しながら、投資や修繕などを計画的に実施します。さらに、これから取得する新規物件や賃借の計画なども対象に、経営環境の変化を先取るようにマネジメントを行うという違いがあります。

ファシリティマネジメントで企業の収益性はどう変わる

 ファシリティマネジメントの最も大きなメリットは、運用費の適正化です。

 ファシリティマネジメントでは、まず事業者の所有する施設全体について状況把握を行い、不要な施設、不足な施設、不適当に使われている施設がないか確認します。それにもとづいて、最適な施設の配置を行い、無駄なコストの削減を図ることができます。

 さらに、組織全体を通じた計画的なファシリティの管理・運営・修繕を行うことで、施設の関連費用を削減につなげます。それは、問題が起こってから対処していたこれまでの場当たり的な対応では難しいことでした。

 コストの削減と合わせ、知的生産性を高めるのもファシリティマネジメントの特徴です。ファシリティの機能性や快適性を維持・改善することで、働く人にとって快適な環境を提供します。機能性を提供するものとしては充実したICTの整備、堅牢なセキュリティなどがあります。

 そのほかに、働き方に応じたオフィスを構築したり、組織内コミュニケーションの活性化を通じて、知的生産性の向上につなげることも、ファシリティマネジメントの大事な役割です。

 このようにファシリティマネジメントは、ファシリティの管理に関わるコストを削減し、中核事業への投資を強化することを可能にし、一方でファシリティの品質を上げて知的生産性を向上し、競争力の強化へと結びつけます。ファシリティマネジメントに取り組むということは、企業の収益性を高め、経営を強化することにほかならないのです。

 次回は、ファシリティマネジメント業務の進め方やキーとなる技術について紹介します。

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