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ここからはじめる!ファシリティマネジメント最初の一歩

2018年1月31日

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 「ファシリティマネジメント」は、ファシリティのパフォーマンスを最大化する経営管理手法であり、最終的には企業の収益性につながるという話を前回は紹介しました。今回は、業務の進め方と導入するためのポイントについて解説します。

ファシリティマネジメントが経営資源に位置づけられる理由

 ファシリティマネジメントに取り組む上で重要なこと、それは土地、建物、設備、執務空間などの環境といった「ファシリティ」を経営資源と位置付けて管理することです。

 日本ではこれまで、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」が主要な経営資源と位置付けられる一方、ファシリティについては経営的な視点で捉えられることはありませんでした。しかし、日本企業を取り巻く環境が変わる中で、ファシリティのあり方について再考する必要が出てきました。

 バブル期以後、日本企業ではコストの削減が共通の経営課題となり、経営状況に合わせて人件費を削るという手法が盛んに行われるようになりました。なぜなら、人件費は経営コストで最も大きな割合を占めているからです。

 ファシリティ関連のコストは、そんな人件費に次ぐ額を持ちます。そのため、ファシリティに関するライフサイクルコストの適正化に取り組むことで、貴重な人材をリストラをせずに、固定費を大幅に削減することが可能になります。

 近年、ますます厳しさを増す国際的な企業間競争を勝ち抜くためにも、ファシリティのあり方を見直す必要があります。ファシリティは、その品質がヒトの生産性を左右することが指摘されています。商品やサービスといったモノの製造に影響を与え、さらに、ビジネスの基盤となりつつあるICTの信頼性や安全性なども、ファシリティ抜きでは語れません。ファシリティは、ビジネスを非常に多くの面で支えているため、ヒト、モノ、カネ、情報と同じように貴重な経営資源として捉え、中長期的な計画によって管理をしていく必要があるのです。

PDCAを回すファシリティマネジメントの4つの業務サイクル

 ファシリティマネジメントの業務サイクルは、「FM戦略・計画」「プロジェクト管理」「運営維持」「評価」と大きく4つに分けることができます。

 「FM戦略・計画」では、ファシリティに関わる投資や運用、管理を最適化するための戦略を策定し、それにもとづいて5年、10年といった中長期的な計画を立てます。

 そこで決まった戦略と計画を受け、次の「プロジェクト管理」では、土地や建物を取得した方がいいのか、賃貸の方がいいのかを検討したり、新たな建物の建設や大規模な改修の必要性を考えたり、オフィスづくり関する計画を立て実行に移していきます。

 プロジェクト完了後は、「運営維持」というプロセスに移り、ファシリティの維持保全や運用管理を実施します。

 「評価」では、業務サイクルの各プロセスで目標と結果にズレがないかチェックし、そこで得た分析結果から改善目標を策定しながら、PDCAを回していきます。

導入に向けて最初に取り組むべきコトは

 ファシリティマネジメントを導入するために、まず手をつけるべきなのが現状を把握することです。

 自社で保有するファシリティの実態が分からなければ、戦略も計画も立てようがありません。そのため、ファシリティに関わる自社の組織や体制について把握を進めるとともに、自社でどのようなファシリティを保有していて、使用年数などの状況はどうなっているのかなど、財務面も含めた現状把握を行います。

 さらに、利用者の満足度や利用状況などの品質面、ファシリティに過不足はないかといった供給面での評価を実施。そこで、得た知見を各プロセスにフィードバックしながら、改善を図っていきます。

 中でも、組織や体制については、いち早く現状を把握しておきたい項目です。従来の施設管理の方法では、事業部門ごとにファシリティを管理していることが多く、ある事業部では設備が余っているのに、別の事業部では同じ設備が不足しているといったことがよく起こっていました。

 こうした状態をなくすためには、ファシリティを一元的に管理する組織が必要になります。導入前の組織体系がどうなっているのか、ファシリティに関わる人員はどれくらい必要なのかを確認し、ファシリティマネジメントを進めるためにどのような組織や体制が理想的かを検討する必要があります。

データ収集で踏み出す最初の一歩

 ファシリティマネジメントでは、非常に多くの情報を扱いますが、それらを有効活用できるようにデータベースを整理する必要があります。

 必要な情報は、ファシリティの保有数や、それぞれの面積、築年数、構造、劣化状況、建設費や賃貸料・水道光熱費・修繕費・警備費などのコスト、利用者の満足度、耐震性能、セキュリティ性能、遊休施設の有無など、広範囲にわたります。また、建物の図面も重要なデータになります。平面図や構造図、設備図、配線配管図などを管理しておけば、設備の更新を効率的に行うことができます。

 近年、「BIM (Building Information Modeling)」という技術に注目が集まっています。BIM は、コンピュータで建物を3D化し、設計から施工、維持管理までの情報を管理する技術です。これまでは複数の図面が必要だったファシリティに関する情報を一元的に管理できるため、ライフサイクルコストの管理も容易になると考えられています。

 このように、ファシリティマネジメントの導入は、まず現状把握からはじまります。自社が保有するファシリティのデータを全て収集し、評価することは簡単なことではありません。しかし、例えば施設の利用状況が分かっただけでも、施設の過不足を改善できるなどの効果が見込めるのです。

 そして、そこで得た知見や課題をもとにファシリティマネジメントの業務サイクルを回して少しずつでも改善を続けていけば、企業の収益性も必ずや向上するはずです。

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