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エネルギーで地方創生!「CEMS」が可視化するもの

2018年3月14日

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 日本では、エネルギーシステム改革に向けた動きが進んでいます。その波を受け、エネルギーマネジメントシステム(EMS;Energy Management System)を導入しながら、脱炭素化の実現を目指す自治体も増えています。CEMS(Community Energy Management System)と呼ばれる地域のエネルギーマネジメントシステムを活用し、新しいエネルギーの供給体制や消費の仕方を模索する動きが全国的に広がっているのです。

 前回はビルにおけるEMS(BEMS)について紹介しましたが、今回はCEMSに目を向け、その動向を解説するとともに、地域への影響も考察します。

CEMSの背景にある地方創生とエネルギーシステム改革

 私たちの暮らしを支える電力、その安定した供給と安定した価格を守り、さらには節約を推進するため、日本では様々な取り組みが進んでいます。近年、特に盛んになってきているのが地域単位での取り組みです。

 地方では、人口の急激な減少や高齢化という課題を解決するために、地方創生に向けた動きが活発になっています。一方、日本政府は、再生可能エネルギーの普及、電力の安定的な供給と料金の抑制といった観点から、これまで地域独占で供給・販売されてきた電力とガスの大規模な「エネルギーシステム改革」にも乗り出しています。

 そうした中で、地域産業の振興や安定したエネルギー供給体制の構築などを目的に、電力小売事業へと参入する自治体が各地で登場しています。いわゆる「地域新電力」と呼ばれる事業です。地域新電力は、地域内で作った再生可能エネルギーなどを地域内で消費します。

 それによって新たな産業が生まれ、経済面での地方創生が進みます。それだけでなく、再生可能エネルギーの普及はエネルギーシステム改革を後押しするとともに、災害時の電源確保による防災対策にもつながっていきます。私たち個人にとっても、エネルギーの選択肢が広がり、料金の抑制にもつながるため、メリットがあります。

 地域新電力は、エネルギーを賢く使うスマートコミュニティの一例ともいえる存在であり、そこには地域のエネルギーを管理するCEMSが欠かせません。

CEMSの見える化が電力自給の課題を解決する

 CEMS最大のメリット、それは地域におけるエネルギーの見える化にあります。それによって、再生可能エネルギーを導入する上で課題となる、電力の供給量と消費量の不一致を解決することが可能になるのです。

 太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、季節や天候などの要因によって出力が大きく変動するため、需給のアンバランスが生じやすいという欠点があります。

 CEMSを導入しておけば、地域全体の需要に応じて火力、水力、再生可能エネルギーなど特徴の違うエネルギー源を最適に組み合わせることができるので、安定的に電力を供給しながら省エネを実現できるようになります。

 エネルギーの見える化がもたらす、効果はそれだけではありません。電力の消費量が供給量に近づく場合には、個人や企業に節電を要請することで、火力発電の出力を増やすことなく需要を抑制。さらに、需給の予測をもとに目標を設定し、発電する側の事業者、消費する側の個人や企業に協力を求めたりすることもできます。

 電力供給と消費のギャップを解消することで、電力消費のピークが午後の時間帯に集中して供給システムに影響を及ぼすことを防ぎます。ピーク時には電力の価格が高騰しますので、そうした時間を減らすことで消費する側の負担を軽減することにもつながります。

経済的なインセンティブで電力の使い方を変える

 CEMSは、ディマンドリスポンス(電気の需要量の賢い制御)による柔軟な料金設定を可能にします。例えば、時間帯別料金、ピーク時料金、実時間料金などを導入することで、電力の使用抑制を促し、ピーク時の電力消費を抑え、電力の安定供給を図ることができます。

 ディマンドリスポンスの事例は、資源エネルギー庁がまとめた「スマートコミュニティ事例集」にも取り上げられています。

 事例の1つでもあるコミュニティでは、平日は電力需要の高いオフィスビルに商業ビルで発電した電気を供給し、反対に休日は電力需要の高まる商業ビルに対してオフィスビルから電気を供給。街区全体で電気を融通し合い、各施設で電気料金が高くなるピーク時の消費を減らすことで、経済的なメリットを生んでいます。

 東京の集合住宅では、マンション全体でディマンドリスポンスを行い、電力消費のピーク時に削減した電力量に応じて、翌月以降の電気料金の支払いに利用可能なポイントを各居住者に付与する仕組みを導入しています。ディマンドリスポンスによる電力使用量低減に対して、電気料金割引のインセンティブを還元する新たな取り組みです。

 このようにCEMSを活用したディマンドリスポンスによって、大きな節電効果が見込めます。ディマンドリスポンスで企業や家庭が節電した分を、電力を発電したこととみなし、それに対して報酬を支払う仕組みを「ネガワット取引」といいます。ネガワット取引は今後急速に拡大すると予想されています。

 その他にも、CEMSではHEMSで取得したデータを利活用した見守りサービスや、ヘルスケアなどの生活サポートサービスの提供をはじめ様々なサービスが期待されています。CEMSの普及が進むことで、日本におけるエネルギーの未来は確実にスマートな方向へと進んでいくでしょう。

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