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電力ロスを減らす!ヒントはデータセンターの直流給電に

2018年4月4日

 前回紹介したように、デジタルトランスフォーメーションが進んでいくことでデータセンターにおけるエネルギーが大幅に増加しています。その中で、ICT機器の高密度化や発熱といった新たな問題が生まれており、データセンターにはキャパシティを超える負荷がかかろうとしています。こうした問題を解決するためには、電力削減を進めていくほかありません。

 データセンターの電力削減を進めていく中で忘れてはいけないのは、電流変換の際に生じている「大量の電力ロス」です。今回はデータセンターの電力ロスに注目して、その原因と解決方法を考察していきます。

そもそも「交流」「直流」とは何か

 電気の流れ方には、「直流」(DC:Direct Current)と「交流」(AC:Alternating Current)があります。そして、送電の歴史は直流からスタートしています。

 19世紀末、発明家のトーマス・エジソンが起業したエジソン電灯会社によりスタートした直流送電は、当時送電の標準になっていました。しかし、ニコラ・テスラやジョージ・ウェスティングハウスといった発明家や実業家が交流送電のメリットに気づき推し進めていった結果、交流送電が一般化したという歴史があります。

 2つの方式のうち、常に電気が一方向に流れているものが直流です。身近な例でいうと、乾電池や自動車で利用されているバッテリーなどは直流に電気が流れています。例えば、乾電池のプラス極とマイナス極を逆にセットすると、設計されている電気の流れと逆向きになるため機器は動作しなくなります。

 それに対して、電気の流れる方向が一定のリズム(周期)で変化しているのが交流です。このリズムの変化を「プラスとマイナスが1秒の間に入れ替わる回数=周波数」として示しています。例えば、東日本の電力は1秒間に50回入れ替わっている50Hz(ヘルツ)、西日本の電力は1秒間に60回入れ替わっている60Hzという周波数で表示されています。

 現在、火力などの発電所から一般家庭やビル、工場などのコンセントにまで給電されている電流は、ほぼすべてが変圧のしやすい交流です。一方で電気を消費するという観点でみた場合、ほとんどの機器は直流で動作しています。

 その理由は、電気の流れる方向が変化するという、交流の特性にあります。プラス電圧とマイナス電圧とでは振れ幅があるため、100Vの電圧が必要でも瞬間的にそれ以上の電圧がかかってしまいます。そのため、交流を採用すると、機器に必要以上の耐久力を持たせなければいけなくなり、内部の構造が複雑になるとともに巨大化。それが製造コストを大幅に上昇させる要因となるのです。

 そのため、パソコンや携帯電話といった一般的な機器には電源ユニットが内蔵されており、そこでコンセントからきた交流の電気を直流に変換して機器内部に届けているのです。ACアダプタという器具を使ったことがあると思いますが、これも交流を直流に変換する外部の電源ユニットです。

電力ロスの解決を難しくする理由

 電流を変換することで、ちょっとした問題が生じます。それは、変換する際に電力のロスが発生するという問題です。

 それならば、直流のまま電気を送電すればいいのではないかと考えるかもしれません。そうしないのは、交流の方が送電する際の電力ロスが少ないからです。

 各発電所でつくられた電気は、27万5,000V(ボルト)~50万Vという超高電圧で送電線に送り出されます。それが送電網内に設置されている複数の変電所や変圧器を経て、各工場やビル、一般家庭などへ必要な電圧に下げられて給電されます。

 交流の方が送電経路上で電圧を変換しやすいことから、発電所からの給電に選ばれているわけです。また、発電機のタービンを回転させて電力を生成する際、発電しやすいといった理由もあります。

 直流での送電が難しいのであれば、機器自体を交流で動作できるようにすればいいという考え方もあるかもしれません。しかし、先ほどに延べたように、交流に対応した機器は構造が複雑かつ大型になるため、その分コストがかかってしまうのです。

 こうした問題は、技術の発展とともに少しずつ解決されようとしています。

直流給電でデータセンターの電流変換はシンプルに

 近年、直流送電で電力ロスを無くす動きが起きています。

 直流送電が実現化した背景にはテクノロジーの進化があります。パワー半導体の登場により、直流でも容易に電圧の変更ができるようになってきているのです。さらに、電線の改良によって10万V以上の高圧であれば、交流よりも直流の方が送電時の電力ロスが小さいと分かってきたことも後押ししています。

 この試みは送電網における直流化の話であり、電力会社が対応していく必要があります。機器、そして一般の企業に関係する部分に目を向けると、データセンターにおいて直流を活用する技術が導入されつつあります。

 データセンターには、サーバーやネットワーク機器など、ICT機器が大量に集積しています。そこでは膨大な電力が使用されており、世界全体のエネルギー需要に対して約2%がデータセンターだといわれています。しかも、それが年間10%ずつ増大しています。

 膨大な電力を使用しているということは同時に、交流から直流へと変換する際の電力ロスも膨大な量になるということです。

 そこで、この電力ロスを低減するために登場した技術の1つが、データセンターへ安定的に直流で給電する「HVDC(High Voltage Direct Current:高電圧直流給電)」というシステムです。

 このシステムを活用することで、データセンター内での電流変換をシンプルにすることができ、その分電力ロスを低減するころが可能になります。

 HVDCは省エネの救世主になるのでしょうか。次回は、HVDCがどのようにデータセンターの電力ロスを低減するのか掘り下げていきます。

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