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地域連携から考える企業防災のあり方

2018年8月29日

 もしも災害が起きれば、帰宅困難、物資や人手不足、ライフラインの途絶といった、さまざまな問題が発生します。これらは、地域社会に関わるステークスホルダーが一丸となって解決しなければいけません。その中で企業には、どのような姿勢や行動が求められるのでしょうか。地域連携・貢献の観点から企業防災について考えます。

企業防災で「地域連携」に取り組む意味とは

 地震、津波、集中豪雨などの災害は、建物の倒壊、火災、浸水などの直接的被害に加え、帰宅困難、物資や人手不足、ライフラインの途絶といったさまざまな問題を引き起こします。

 こうした災害に備えるには、企業単体の取り組みでは限界があります。企業が立地する地域の行政、住民、他の企業などのステークホルダーと連携し、一丸となって防災に取り組まなければいけません。

 さらに、地域との連携は、企業が社会的責任という務めを果たす上でも重要と考えられています。国の防災の基本指針である「防災基本計画」でも、災害時に企業の果たす役割として、「地域住民への貢献」が「従業員、顧客の安全」「経済活動の維持」と並んで挙げられているのです。

 このように、災害をみすえた地域連携は、企業防災で大きな意味を持つようになっています。

地域に貢献する自治体との「地域防災協定」

 最近注目されているのが「地域防災協定」です。これは、自治体が他の自治体や民間企業と結ぶ救援協定のことです。

 災害が発生すると、被災した自治体では復旧のための業務が大量に発生します。使える資源も限られます。そのため、自治体同士や民間企業が地域防災協定を結び、災害が発生した時に物資や人の援助を受けられるような体制を構築しておくのです。

 埼玉県に事業所を持つある企業は、地元の自治体と地域防災協定を結び、災害時に避難場所、重機などの資機材、ヘリコプター緊急離着陸場所などを提供することにしました。また、平常時には防災訓練に協力したり、防災備蓄倉庫の設置場所も提供しています。

 ある保険会社は、熊本県と防災協定を締結していました。そして、2016年4月に発生した熊本地震以降は、協定にもとづいて熊本県の防災力向上に寄与する取り組みを進めています。

 こうした地域防災協定を結ぶ企業は、今後も増えることが予想されます。

連携の深化が地域防災を強化する

 地域防災では、日頃から関係者がコミュニケーションをとって連携を深め、互いに協力し合える関係を築くことが重要です。

 例えば、北海道では、平常時や災害が発生した場合に協力ができる企業・団体などを募集し、自主的な取り組みを広げる仕組みを構築。地域の安全と企業の事業継続を守る体制づくりを進めています。

 東京駅周辺の自治体や企業は、地元である千代田区の協力を得ながら防災の取り組みを推進。そこでは、災害時の従業員の安全確保、帰宅困難者への対応、電源や通信の確保に対応するための幅広い対策が行われています。

 同じ地域の企業同士が手を取り合うことも重要です。それぞれ異なる特徴を持った企業が相互に連携することで、より効果の高い防災対策が可能になります。避難場所の確保や食料や生活必需品の備蓄に関しても、複数の会社が共同で進める方が効果的です。

 巨大なオフィス街を抱える東京・新宿地区では、超高層ビルを所有する不動産会社や立地企業が「新宿駅周辺防災対策協議会」を結成して、さまざまな情報交換や事前に取り決めたルールに基づく合同防災訓練などを実施しています。

企業ならではの経営資源が防災に活きる

 災害発生した場合、企業は地域防災の観点からどのような行動が取れるのでしょうか。それには、企業ならではの経営資源を有効に活用して、災害の発生に備えることがあげられます。

 例えば、企業の組織力をフルに活用した、飲料水の確保、物資輸送、避難所の運営支援、炊き出し、がれきの撤去、清掃などへの参加。そのために、災害時における社員のボランティア休暇制度を充実させたり、防災・危機管理に係る人材の育成に取り組む企業も増えています。

 企業には業務で使用している資材、機材、商品などがあります。これらも災害時に大いに役立ちます。重機や車両を持つ企業は救助活動や運搬作業にあたり、ポンプや貯水槽を持つ企業はそれを消火活動に提供するといった活動が展開できます。また、商品として飲料水や食料、医薬品、防寒用品などを扱う企業は、それらを住民に提供するケースもあります。

 オフィスや工場などにあるスペースの活用も見逃せません。災害時には、多くの避難者や帰宅困難者が発生します。そうした際に、避難場所や休息場所としてオフィスや工場などのスペースを提供することで、地域に住む人や働く人の安全に貢献できます。

 今回ご紹介したように企業防災と地域防災は切っても切れない関係にあります。企業が日頃から地域と連携しながら防災に取り組むことは、災害発生時の対応力や災害対応力の向上につながるとともに、企業価値を高めます。地域防災の観点から企業の防災について考えてみてはいかがでしょうか。

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