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ビジネスコラム

卓球ニッポン復活へ!若手を世界へと送り出す人材育成

2018年9月5日

 日本の卓球選手が世界で大活躍しています。特に若手選手がきら星のごとくあらわれ、次々に世界の強豪を破っています。彼らはなぜ、世界のトッププレイヤーと互角に渡り合うことができるのでしょうか。人材育成戦略を中心に、日本の卓球選手が強くなった秘密を探り、そこからビジネスにも通用するノウハウを学びます。

若手選手が牽引する「卓球ニッポン」復活

 世界の卓球界における日本選手の進出ぶりは、目覚ましいものがあります。国際卓球連盟が発表した8月の世界ランキングでは、日本の男子選手が何人も上位にランクされました。今年に入って日本人の男子選手が、世界ランキング1位の選手や、五輪チャンピオン、世界チャンピオンに勝つ試合もありました。

 一方、女子選手も強豪ぞろいです。同じく8月の世界ランキングでは、3人の日本選手がベストテン内にランクされています。世界のトップで活躍する日本人女子選手がめじろ押しで、こちらも東京五輪の代表争いは熾烈な争いとなっています。

 実は、日本はかつて卓球の強豪国でした。1950~60年代には、男女ともに世界チャンピオンを次々に生み出し、「卓球ニッポン」と称賛されました。しかし、その後は日本式のプレースタイルが時代に合わなくなるなどし、長い低迷期に入りました。

 そんな低迷期をようやく脱した今、「卓球ニッポン」の復活が期待されています。それを牽引するのは若手選手です。先ほど紹介した、世界ランキングのベストテンに入った選手のうち、女子は2人が、男子は1人が10代という若さなのです。

 そのほかにも、将来が期待される若手選手がたくさんいます。いったい彼らはどのようにして才能を開花させたのでしょうか。

躍進の秘密は「育成システム」と「指導レベルの底上げ」

 日本の卓球が強くなった背景には、これまで組織的に取り組んできた数々の強化策があります。

 その1つに「若手育成システムの確立」があります。2001年に、有望な小学生世代の選手を集めて「ホープスナショナルチーム」を結成。年に数回合宿を行い、最新の卓球理論をもとにしたエリート教育を実施。参加した選手の中からリオ五輪メダリストも輩出しています。

 日本オリンピック委員会が2008年に開設した「JOCエリートアカデミー」も、大きな効果を発揮しています。オリンピックや世界選手権などで将来活躍できそうな中学生、高校生が、東京都北区にある寮に住み込み、専任コーチのもとで理論的でレベルの高い練習をします。

 選手たちは、近くの学校で授業を受けた後に、アカデミーに戻って練習をします。生活費や競技にかかる費用はすべて無料。食事は専属の栄養士がバランスの取れたものを提供しています。

 日本卓球協会がバックアップして有望な選手に早くから海外経験を積ませたことも、日本の躍進の要因です。現在、世界のトップで活躍する日本選手の多くは、若いうちから海外に足を運び、世界トップレベルの選手たちと切磋琢磨してきました。中国など海外のプロリーグで活躍した選手もいます。

 こうした若手選手の育成に加え、指導者の育成にも取り組みました。選手とともに指導者を対象にした合宿を実施して、技術はもちろん、フィジカル、メンタル、栄養など指導者に必要なさまざま知識やノウハウを提供。そうした試みが指導者の全体的なレベルの底上げにつながりました。

Tリーグ開幕で世界のトップ奪還なるか

 スポーツ競技を強化するには、国民の興味や関心を高め、実際に競技を楽しむ競技人口を増やすことも欠かせません。それに貢献する新たな動きが、卓球の世界で始まっています。今年秋に開幕予定の「Tプレミアリーグ(Tリーグ)」です。

 Tリーグは、ドイツの卓球リーグを参考にしたもので、世界レベルのプロ選手を擁するトップチームから、趣味でプレーする地域のチームまで、日本にある多くの卓球チームが参加して、各カテゴリーに分かれて試合をします。

 この秋に開幕するTプレミアリーグには、男子、女子ともにそれぞれ4チームが参加する予定です。日本のトップ選手だけでなく、海外からの参戦も期待されています。

 Jリーグで行われるトップレベルの試合が選手を強化し、日本サッカーの実力を押し上げたように、このTリーグが日本の卓球界をさらに盛り上げ、世界トップの座に日本を押し上げるかもしれません。一般レベルで卓球への関心が高まることで、レベルの底上げも期待できるでしょう。

日本卓球界から若手育成を学ぶ

 日本卓球界の若手育成については、企業にとっても学ぶべき点が多くあります。

 才能やモチベーションが溢れる若手社員に、卓球界と同様に最新の知識や理論的なトレーニング方法を提供する環境があれば、一層成長に弾みがつくはずです。そうした環境にやる気のある若手社員が集まることで、互いを刺激しながら高めあう相乗効果も期待できます。いち早く海外での経験を積むことも、グローバル人材を育成するためには欠かせないことです。

 さらに、指導者の育成を組織的に行うという点も見逃せません。若手社員の指導を社員個々人の素養に任せるのではなく、皆でノウハウや事例を共有しながら計画的に進めることで、若手の育成はもとより、中堅社員のスキルや意識向上につながるのではないでしょうか。

 若手育成策などにより躍進する日本卓球界ですが、これに対応して各国の選手たちも日本を研究し、新たな戦術を編み出すなどしています。世界一の座を目指して激しく競うトップ選手たち。今後も、日本選手の活躍から目が離せません。

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