ビジネスコラム

建設を透明化するコンストラクションマネジメントの魅力

2018年9月26日

 これまで日本の建設プロジェクトでは、主にひとつの企業に施工の全てを委ねる、一括発注方式が採用されてきました。しかし、日本経済や建設業界の状況が変化する中で、発注者側に業務負担を軽減しつつ、建設プロジェクトを透明化したいというニーズが生まれています。そうした声に応える管理手法が「コンストラクションマネジメント(CM)」です。今回は、CM方式で進める建設プロジェクトの魅力に迫ります。

日本で導入が進むコンストラクションマネジメント

 コンストラクションマネジメントとは、中立的な立場のコンストラクション・マネジャー(CMR)が発注者に代わり、建設プロジェクトの生産・管理をマネジメントします。

 CMが誕生したのは、1960年代のアメリカです。当時、建設プロジェクトが大規模化、複雑化するのにともない、工程の遅延、予算超過などが発生するようになったため、それを防ぐためにCM方式が開発されたといわれています。

 CM方式を採用することで、発注者は専門的な知識をもつCMRによるマネジメントのもとで、効率的かつ経済的にプロジェクトを進め、品質向上やコスト削減、スケジュール遵守といった効果が見込めます。そうした効果が受け入れられ、現在、欧米の民間工事では一般的な発注方式として普及しています。

 日本では、1990年代に入り、建設プロジェクトの選択肢として導入に向けた議論が本格化し、CMに取り組む企業が徐々に増えていきました。

 2000年になると、国土交通省が「CM方式研究会」を設置。そこでの検討結果を踏まえ、2002年には、「CM方式活用ガイドライン」が公表されました。それ以降も、国土交通省がCM方式のモデル事業を展開したり、2014年に改正された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」で、CMの導入強化が明記されるなど、導入に向けた取り組みが着々と進んでいます。

日本でCMが求められる背景とは

 日本でCMが求められるようになったきっかけの1つに、経済状況の変化があります。日本の経済成長がゆるやかになり、建設プロジェクトに対するコスト意識が高まる中で、CM方式のニーズが生まれたのです。

 なぜCMに対するニーズが高まったのか、それを理解するためには、日本のプロジェクトで多く採用されている「一括発注方式」について知っておく必要があるでしょう。

 一括発注方式とは、元請企業に施工に関わる全業務のマネジメントを発注する方式のことです。この方式では、施工にかかる費用をすべてまとめた“総額”で契約するケースが多く、発注者はその内訳を知ることができません。

 さらに、実際に工事を担当する下請企業との契約についても、元請企業は自由な裁量権を持っています。発注者は、どのように下請企業が選ばれたのか知ることはなく、指示もできないという契約が一般的です。

 一括発注方式は、ひとつの企業に施工管理を全面的に任せるため、責任の所在が明確になる、下請企業の選定から工事開始まで円滑に進むなどのメリットがあります。しかし、発注者がコストの内訳や適正価格などを把握しづらいという面もありました。そのため、発注者からコスト構成を透明化する発注方式を求める声が上がるようになったのです。

 こうした発注者のニーズに応えるかたちで、工事を担当する元請企業の意識も変化し、CMに取り組むものも現れています。また、日本の工事は、元請企業に発注された工事を一次下請け企業が請け負い、それが二次、三次…、と連なっていく重層下請構造によってコストが膨らみがちでした。近年、これを見直そうという機運が建設業界で高まっています。CM方式では、発注者が工事企業を自ら選定、契約するケースが多いため、建設業界でも関心が高まっています。

CMRが建設プロジェクトの透明性を確保

 CMは発注者が抱える課題をどのように解決するでしょうか、その特徴をみていきましょう。

 建設プロジェクトは大きく分けて、建物の設計を行う「設計」、発注者が施行者を選定する「発注」、実際の工事を行う「施工」というステップに分かれています。

 従来は、設計段階では設計者が、施工の段階では施工者がマネジメントを行ってきました。そのため、発注者には、設計者と施工者の監督、施工者の選定という業務がありました。CM方式の場合、CMRが設計者と施工者の双方を監督し、発注業務も支援するため、その分発注者は業務負担を削減することができます。

 CMRの中立性、公平性というのも非常に重要なポイントです。これまで元請企業に任せっきりになりがちだった、設計内容やコスト、スケジュールなどについて、CMRは発注者に妥当性を確認しながら進めます。さらに、各段階の意思決定プロセスに関与し、客観的な技術支援を行い、コスト構造や発注プロセスなどの透明性や妥当性を確保します。

 このようにCMは、これまで発注者が建設プロジェクトで抱えていた課題を解決する、管理手法として期待できるものなのです。とはいっても、一括発注方式の方が劣っているというわけではありません。それぞれに一長一短があるのです。次回、CM方式を一括発注方式と比較しながら、そのメリットとデメリットについて見ていきます。

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