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キーワードは脱炭素「CDP」が示す新たな企業の評価軸

2018年10月31日

 世界中で脱炭素化の動きが加速する中、「CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)」に注目が集まっています。これは、機関投資家が企業に環境関連の情報公開を求めるものです。CDPが行う評価とはどのようなものなのでしょうか。そして、それをもとに企業はどのように取り組みを進めているのでしょうか。脱炭素化に向けた最新動向を紹介します。

ついに本格化した脱炭素化の流れ

 2015年12月、地球温暖化対策の新しい枠組みである「パリ協定」が採択されたのと前後して、世界で脱炭素化の流れが本格化しています。

 2015年9月の国連サミットで採択された「SDGs」では、環境問題など今後15年間で達成すべき目標が掲げられ、世界各国はその達成に向けて努力を続けています。

 同年12月には、EUが「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」を採択しました。「サーキュラー・エコノミー(CE)」は、まだ使用できるにもかかわらず廃棄されている製品など、既存の製品や遊休資産を活用して利益を生み出す循環型経済のことです。

 こうした動きを受けてドイツやフランス、イギリス、カナダ、アメリカなどの主要各国は、温室効果ガスの大幅削減に向けた長期戦略を策定し、脱炭素化の動きを牽引しています。日本もまた、脱炭素社会の実現を目指し、新しい技術や経済社会システムのイノベーションなどの振興に力を注いでいます。

「ESG」が投資家と企業に長期的利益をもたらす

 脱炭素化の動きに、機敏に反応したのが投資家たちです。

 2006年、国連は金融業界に対して「PRI(責任投資原則)」を提唱しました。これは、投資を通じて環境問題や社会問題、企業統治に配慮すべきだとして、そのために世界共通の6つの原則を示したものです。

 PRIの考え方に基づく投資は、「ESG投資」と呼ばれます。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取ったものです。脱炭素化の動きが加速する中で、投資家の間では自然エネルギーの積極的な活用を重視するなど、ESG投資の流れが加速しています。

 投資家にとってESG投資を行わないことには、大きなリスクが伴います。脱炭素化に向けて各国はさまざまな規制を強化しており、それによって化石燃料の価値が急激に低下し、それが株安や企業業績の悪化といった金融リスクを招く可能性があるのです。

 一方、企業がESGに取り組めば、脱炭素関連の市場で新たなビジネスチャンスを獲得するなどして、長期的な成長につながります。それが投資家にも大きな利益をもたらすことになるわけです。

 ESG投資の手法にはさまざまなものがあります。最近では独自の指標で企業を評価して投資する「インテグレーション」や、株を長く保持し続けて企業活動に影響を与える「エンゲージメント」などが拡大しています。

企業価値をはかるグローバルな指標「CDP」とは

 ESG投資の拡大を背景に、投資家が企業に対して環境情報の開示を求める動きが活発になっています。その代表的な取り組みが「CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)」です。

 CDPは世界の機関投資家が連携して、企業に対して環境関連の情報開示を求めるプロジェクトです。CDPは企業に質問書への回答を求め、一定の評価基準でランク付けして公開します。これが、企業価値をはかる際のグローバルな指標として定着しつつあり、2017年の時点で、世界全体でCDPの署名機関投資家数は803機関、その運用資産は100兆米ドルにのぼります。

 CDPの質問書では、企業の温室効果ガス排出量をスコープ1~3という3段階に分けて評価します。スコープ1は自社から直接排出される温室効果ガス排出量を、スコープ2は自社が購入・消費した電力などのエネルギー使用に伴う排出量を、そしてスコープ3は自社単体ではなく、企業活動のサプライチェーン全体における排出量を示します。

 日本企業については、最初の頃は質問書に無回答だった企業も多くみられましたが、2017年時点では最高のAランクに選定された企業が13社あります。日本企業も、ESG投資を強く意識する経営を行う時代になったのです。

再エネ100%を目指すRE100に環境省も参加

 ESG投資を意識するようになった企業は、脱炭素化に向けたさまざまな具体策を打ち出しています。特に、環境意識の高い企業の間では、再生可能エネルギーの調達ニーズの高まりがみられます。

 例えば、グリーン電力証書などの環境価値を活用したり、再生可能エネルギーによって外部で発電した電力を直接購入したり、自ら再生可能エネルギー設備を設けて自家発電・自家消費を行うなどして、再生可能エネルギーを企業活動に積極的に取り入れる企業が増えています。

 脱炭素化に向けて「RE100」に参加する企業も増えています。2014年に発足したRE100は、CDPとも連携して取り組む国際イニシアチブで、事業に必要な電力を全て再生可能エネルギーで賄うと表明した企業の集まりです。

 発足からしばらくの間、RE100に参加する日本企業はありませんでしたが、2017年4月にある電気機器メーカーが初めて加盟しました。それ以降、加盟企業が相次ぎ、現在は11社が参加(2018年9月時点)。今後は、さらに増えることが予想されています。

 2018年6月には環境省が公的機関としてRE100に初参加し、省の庁舎・施設の電力消費の100%再生可能エネルギー化を目指すことになりました。環境省は、2020年度までにRE100に参加する日本企業を50社に増やす目標を掲げた、「再エネ加速化・最大化促進プログラム」も発表しています。

 このように、脱炭素化に向けた国や投資家の動きを受けて企業でも取り組みが本格化しています。はたして、企業はCDPで求められる要求にいかに応えればいいのでしょうか。また、RE100に参加するような環境意識の高い企業では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。次回は具体的な手法をご紹介します。

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