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企業の価値を上げる!再エネ調達、3つのポイント

2018年11月7日

 前回紹介したように脱炭素社会の実現に向けて、投資家や企業の間で新たな価値基準が広まりつつあります。それに対して、企業はどのように対応すればいいのでしょうか。具体的な手法について、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の調達を軸に解説。「自家発電・自家消費」「外部電力の購入」「環境価値の活用」という3つの視点から、今後のヒントを考えます。

再エネ調達の「3つの手段」とは

 脱炭素化を目指す企業は、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

 代表的な取り組みが、再エネの利用です。企業活動に必要な電力などのエネルギーを、太陽光、風力、バイオマスといった再エネで賄うことで化石燃料の依存度を下げ、温室効果ガスの排出量を削減します。

 再エネの調達手段は3つあります。1つは、自家発電・自家消費です。企業が自ら再エネ設備を設けて発電し、そこから生まれた電力を自社で消費します。この方法のメリットは、運転後は低いコストで電力を利用できることに加えて、発電状況などをリアルタイムで把握できることです。ただし、再エネ設備の設置に初期投資が、運用・管理には人員やコストが必要になります。

 2つめの方法は、外部電力の購入。外部の事業者が再エネで発電した電力を直接購入する方法です。自家発電・自家消費のような初期投資も必要なく、発電設備を持っていなくても再エネを利用することができ、脱炭素化を進めることができるなどのメリットがあります。

 その一方で、多くの電力会社はさまざまな電力を組み合わせて提供しているため、発電設備を特定して購入できないケースがあります。また、通常の電気料金に比べて割高になる可能性もあります。

 3つめの方法は、環境価値の活用です。再エネによって発電された電気には、「電気そのものの価値」のほかに、省エネや温室効果ガスの排出抑制といった付加価値があると考え、その付加価値を証書として購入します。ほかの方法と比べて、企業にとってコスト面で導入のハードルが比較的低い方法といえます。一方で、環境負荷の軽減という意味では、インパクトが小さくなりがちです。

先進企業は100%再エネを実現

 海外では、「自家発電・自家消費」「外部電力の購入」「環境価値の活用」を組み合わせ、再エネだけで事業を運営する企業も現れています。

 あるコーヒーチェーンは、ヨーロッパでは電力会社との電力調達契約を、アメリカとカナダでは環境価値の購入を中心に活用した結果、2015年に使用した電力約14億 9,200kWhという電力すべてを再エネで賄いました。

 デンマークの風力発電機メーカーは、自社で所有する風車で発電した電力を活用するとともに電力会社から再エネ電力を調達し、2013年に電力の100%を再エネに切り替えています。このように、海外の先進的な企業は、さまざまな手法を組み合わせながら再エネの導入を進めているのです。

日本で進む環境価値の証書化

 その中で、日本でも再エネの調達が本格化しています。近年、にわかに活気を帯びているのが、環境価値の活用です。

 環境価値の代表例が、「グリーン電力証書」です。これは、環境価値を証書化したものです。証書を購入することで、再エネの発電設備を持っていない企業・自治体でも温室効果ガスの排出抑制に貢献できます。

 「Jクレジット」という制度もあります。再エネや省エネによって削減した温室効果ガスの排出量を「クレジット」として国が認証する制度です。再エネによって得られたJクレジットは、グリーン電力証書と同様に、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)への報告書としても使用できます。CDPは、企業に二酸化炭素排出量や気候変動に関する取り組み状況の回答を求め、ランク付けする国際NGOです。

 今後、活用が進む可能性があるのが「非化石価値取引市場」です。「非化石価値」という環境価値を証書化して取引する市場で、2018年5月に日本で初回オークションが行われました。そこでは、昨年4月から12月の間にFITによって発電された電気に相当する「非化石証書」が取引されました。現在のところ非化石証書を実際に市場で取引できるのは、電力小売事業者に限定されているため、一般企業への開放が期待されています。

 環境価値の活用は、「RE100」への加盟を考える上でも役立ちます。RE100は、事業運営を100%再生可能エネルギーで賄おうとする企業が集まった国際イニシアチブです。そこへの参加には、発電設備を特定できる電力の利用が推奨されています。

 発電設備が特定できるグリーン電力証書とJクレジットは、RE100で有効と認められますが、非化石証書は発電元が特定できないため、現在のところ利用できません。RE100では、非化石証書に関する検討が続いており、今後の進展が気になるところです。

 今回紹介した再エネ調達の方法を通して、既に多くの企業が温室効果ガスの排出量削減と企業価値の向上に取り組んでいます。そうした企業の脱炭素化に向けた取り組みは、投資家が、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)というESGを重視する中で、より一層重要なものになっていくことでしょう。そのため、今後も、再エネ調達の動向に注視する必要がありそうです。

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