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CSR報告書 2015 事業を通じ、さまざまなシーンで社会に貢献する。私たちNTTファシリティーズのCSR活動の成果をご報告します。

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法政大学大学院 人間社会研究科
教授

土肥 将敦

一橋大学経済学部、一橋大学大学院商学研究科博士後期課程を経て、2009年に高崎経済大学地域政策学部准教授。2014年より法政大学に移り、2016年より現職。商学博士。著書に「CSR経営−企業の社会的責任とステイクホルダー」共著、中央経済社)、「ソーシャル・イノベーションの創出と普及」(共著、NTT出版)などがある。

2020年に東京オリンピック・パラリンピックが控え、観光インバウンド政策も推進される中で、NTTファシリティーズをはじめとする社会インフラを担う企業への経済的・社会的な期待が、国内で急速に高まっている。また、国連では2030年に向けた「持続可能な開発のための目標(SDGs)」が昨年採択され、企業のイノベーションや創造性を活用した貢献への期待がグローバルレベルにおいても高まりをみせている。以下では、今年度の報告書から見て取れる同社のCSR活動に関する成果と今後への期待について、意見を述べたい。

新・企業ビジョンをうけ、事業活動およびCSR活動との
関係性明示を期待したい

同社は2016年4月、企業ビジョンを再整理する中で「使命」を明文化し、3つの「行動指針(公明正大、誠心誠意、三現主義)」を掲げている。これらは同社がゴーイング・コンサーンとして、100年後も存続・発展し続けるための必要不可欠な経営哲学であり、CSRの基盤として高く評価したい。その意味では、冒頭部分(P1)において力強く謳われた「人権尊重、差別撤廃、腐敗防止を経営基盤とする」というメッセージは重要である。今後は、このメッセージと新・企業ビジョンとの関係性、ビジョンが構築された背景にある課題認識を社員へと浸透し、具体的な実践をグループ全体へと加速していって欲しい。そして、本報告書においてもその意義・成果が、定量的・定性的情報を交え開示されることを期待したい。
また、同社の事業活動は本業そのものが公共性・社会性が高いが故に、「事業を通じた社会への貢献」を強く志向していることが、かねてより報告書から見て取れる。この姿勢は上述SDGsのようなグローバルな期待にも合致しており、その成果を平易に伝える報告書づくりの更なる加速を期待したい。同時に、新・企業ビジョンをふまえると、倫理・遵法は勿論、社会に責任を果たす事業を徹底し、その意義や成果を伝えていくべきであろう。例えば、品川シーズンテラス(P4)に象徴されるように、同社では、近隣に配慮しステークホルダーとの関係性にも新たな価値を創出する開発・整備を実施されていると聞くが、この切り口での説明も充実を期待したい。また、建物安全度判定システム「揺れモニ」(P10)は公共施設などでBCP(事業継続計画)対策を支援できる画期的な技術であり、その普及・浸透は同社が社会に負う責務の増大を意味する。このように、新・企業ビジョンと各事業活動の「接点」を明快にする上でも、次年度以降は、「CSR中期経営計画」などを構築し、開示していくことが改善策となると思われる。

グリーンな社会の実現に向け、同社の強みを活かした
社会的なイノベーションの加速を期待したい

同社は再生可能エネルギーを活用する社会づくりを促進しており、全国65カ所に広がる太陽光発電事業(P14)や各地でのスマートコミュニティ事業の展開は今後に大きな期待が持てる。一方で、電力自由化による価格競争などを踏まえると、その更なる成長に向け、これまでの枠組みにとらわれない新しい仕組みづくり、ステークホルダーとの関係性の構築による社会的なイノベーションが期待される。電力サービスの提供を契機として、BCP等の災害対策や復興支援などの地方自治体の「困りごとを総合的に支援する」ことができるのは、同社、そしてNTTグループの大きな強みであろう。最後に、グローバルな事業展開(P21)においても、NTTグループとしての連携を重視すると同時に、同社固有の特性や強みを活かしたCSR 活動の展開と情報開示がより進んでいくことを強く期待したい。データと共に見せる」ことを目標とされていると聞く。最終的には、このCSR報告書の作成を契機として、同社全部門のスタッフが「われわれのプロジェクトは、社会の課題解決にあたり、こんなデータの改善に貢献している」と明確に意識づけられ、次年度に向かって進んでいけるような「羅針盤としての報告書」となるように期待したい。

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