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会議においてコミュニケーションを円滑にするには、どうすればいいのですか?
会議で問題になるのは発言力の強い者が、しゃべりすぎることです。特に上司が司会を務めている場合には、十分に部下の発言を促すことができずに、会議が単調になりがちです。そうならないために、上司の皆さんは自分以外の誰かを司会に据えてください。宴会の鍋奉行のような手際の良い人に仕切りを任せるだけで、会議の雰囲気が大きく変わります。部下から様々な意見が出るようになるので、上司はそれに対して適切な質問をします。すると、それがまた新たな意見を促し、会議の好循環が生まれます。
次に大切なのはホワイトボードです。出てきた様々な意見をホワイトボードに書いて、全員の共通理解を蓄積していきます。意見を出した側も自分の意見が無駄にならなかったことを実感して、ますますやる気になるはずです。構想を練ったり、アイデアを出したりして合意を形成するのが会議の役割。ホワイトボードはそのための重要なツールです。会議にあたってはホワイトボードを用意するのと同時に、出席者の意見をうまくホワイトボードにまとめられる人を事前に選んでおくとよいでしょう。
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部下とうまくコミュニケーションが取れない上司も多いようです。上司が部下と1対1で話す時のコツはありますか?
その場合もホワイトボードのノウハウを応用できます。座る位置は、2人が完全に向き合うとプレッシャーがかかるので、斜め45度程度がいいでしょう。そして、2人の間にB4あるいはA3サイズの紙を置いて、そこに2人の発言内容のポイントを箇条書きで書き入れていきます。そうやってどんどん書き込んでいって、最後にその紙に日付と2人の名前を書いて部下に渡します。このように自分が発言したことが文字になることで、部下はそこに書かれたことが実行しやすくなります。同時にこうした作業をすることで、2人が一緒に問題に立ち向かっているという一体感が生まれます。
この方法は、部下を叱る時にも有効です。間に紙を置いて整理しながら叱ることで、上司は感情的にならずに済みます。冷静に話をしないで、相手の事情も聞かずに頭ごなしに叱ったのでは効果がありません。ぜひ2人の間に紙を置いて、冷静に叱るようにしてください。ただし、話をしながら書くのは、実際にやってみると意外に難しい作業ですから、事前に練習をしておくほうがよいでしょう。
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そのほかのコミュニケーション力を高めるトレーニングを教えてください。
話を1分にとどめる訓練があります。私はたいていの話は1分で済むと思っています。長い話をする人がよくいますが、聞いてみるとほとんどが必要のない話で、核心には時間が割かれていなかったりします。資料を配れば済むような話はカットして本題だけを話す方が、よほど効果があります。そのために1分で話をまとめるクセをつけておきましょう。そうすれば、時間の感覚が養われて、生産的な話ができるようになります。若者は無駄な時間を嫌いますが、生産的な時間は苦にしません。そういう点でも、上司の方は率先して1分で話す習慣を身につけるべきです。
1分で話す習慣を身につけるためには、ストップウォッチを持つことをおすすめします。話を始める時にストップウォッチを押して、話が終わったら止める。それをくり返すことで要点を押さえた話ができるようになります。コミュニケーションの要素の1つである意味が、上手にやり取りできるようになるわけです。経営者の方は、社員全員にストップウォッチを持たせてみたらいかがでしょうか。社員のコミュニケーション力がきっと向上するはずです。
欧米に比べて日本では、こうしたトレーニングかまだまだ足りません。ぜひこうしたトレーニングに積極的に取り組んで、コミュニケーション力を高めていただきたいと思います。
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1960年、静岡生まれ。1985年、東京大学法学部卒業。東京大学大学院教育学研究科学校教育学専攻博士課程などを経て、2003年に明治大学文学部教授に就任。専門は、教育学、身体論、コミュニケーション論。大学での講義のほか、著作、講演、メディア出演など幅広く活躍中。
おもな著書は、『仕事力 2週間で「できる人」になる』(筑摩書房)、『ブレない生き方 自分に軸を通す』(光文社)、『座右のニーチェ』(光文社新書)、『人間関係力〜困った時の33のヒント〜』(小学館101新書)、『折れない心の作り方』(文藝春秋)、『ロングセラーの発想力』(ダイヤモンド社)、『日本人はなぜ学ばなくなったのか』(講談社現代新書)、『好感度UPの法則〜人の心をギュッとつかむ』(大和書房)『日本を教育した人々』(ちくま新書)、『読書力』『コミュニケーション力』(以上、岩波新書)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス)、『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『質問力』(ちくま文庫)、『ドストエフスキーの人間力』(新潮文庫)など多数。
齋藤孝氏のホームページ:
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~saito/