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社長として「NO残業デー」や「リフレッシュ休暇」などを導入されましたが、現在の日本人の労働環境についてどうお考えですか?
日本人は働きすぎです。人間の基本は体力であり、その上に気力があって、能力があります。体力があってこそ気力が充実し、能力が発揮できるのです。しかし、日本人は働いて体力をすり減らすばかりだから、気力が充実しないし、能力も発揮できません。ホワイトカラーは頭を使うのが仕事なのに、日本のホワイトカラーは過激な肉体労働をしているのです。
日本人の週末は「休み」ですが、外国では「遊び」となります。外国のホワイトカラーは、平日は頭を使い体力は温存しています。そして、その日のうちに体力を回復しているから、週末は遊んで気力を充実できます。しかし、日本人は残業によりその日の疲れを回復できず、どんどん蓄積していくので、週末は休んで体力の回復に努めるしかないのが現実です。そして、日曜の夕方に「サザエさん」のテーマソングが流れると、「ああ、また明日から会社か」とため息をつくわけです(笑)。はたして、これでいいのでしょうか。本当は、社員が残業などしなくても、会社はやっていけるのです。だから、私は「NO残業デー」を導入して、時間になったら電気を消して、どうしても社員が帰らなければいけない状況をつくってしまいました。
「そんなことを言っても定時では仕事が終わらない」と思うかもしれません。しかし、会議やデッドラインを活用して、効率的かつスピーディーに仕事を進めれば、残業など必要なくなります。要は集中して仕事をすることです。そのために、私は「がんばるタイム」というものを導入しました。これは、12時半から2時間、社員に対して私語はもちろん電話やコピー、歩行などを禁止し、上司から部下への指示も禁止して、集中して仕事をするようにしたものです。そうやって集中すれば効率的に仕事がこなせるようになって、残業などしなくても済むようになります。
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そうした社員が働きやすい環境を整える点でも、経営者の責任は大きいですね。
会社を決めるのは、なんといっても経営者でありリーダーです。魚は頭から腐るもの。どんな組織も長がダメだったら組織全体がダメになります。逆に上に立つ者がしっかりしていれば、部下だって良い方向に向かっていくはずです。過去のしがらみや慣例にとらわれるのではなく、「自分が会社を変えるんだ!」という気概を持ったリーダーであってほしいですね。「自分だって残業ばかりしてここまできたんだから、部下が残業をするのは当たり前」ではダメ。「自分は残業ばかりしてきたけれど、これからは定時で仕事を終えられるような会社にしなければいけない」と考えて行動する。そんな経営者やリーダーになっていただきたいと思います。
若い社員に場を与えるのも、リーダーの大切な役割です。誰かに手取り足取り教えてもらってもたいしたことは学べません。場を与えられて、そこで経験を重ねることで初めて多くのことが学べるのです。心配しなくても、優秀な人材は必ず結果を出します。「自分の後に続く人材がいない」と嘆くのは、部下に場を与えていない証拠です。後進を育てるのも経営者をはじめリーダーの役割。リーダーこそが、会社の将来を左右するのです。
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1947年千葉県生まれ。ドイツ・ハイデルブルク大学留学後、1972年に上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。極東ドイツ農産物振興会、メリタジャパン、メリタカフェを経て1983年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社、プロダクトマネージャー、リージョナル・マーケティングマネージャーを歴任後、1986年にトリンプ・インターナショナル・ジャパンのマーケティング本部長に就任。1987年代表取締役副社長、1992年に代表取締役社長に就任。2004年には日本経済新聞で「平成の名経営者100人」の1人に選出された。2006年に退任。現在、吉越事務所代表として、自身の経験をふまえて講演や執筆活動などに携わる。
主な著書は、『2分以内で仕事は決断しなさい』(かんき出版)、『革命社長』(日本実業出版社)、『デッドライン仕事術――すべての仕事に「締切日」を入れよ』(祥伝社新書)、『「残業ゼロ」の仕事力』(日本能率協会マネジメントセンター)