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●初めて初女さんにお会いしたのは6年前の春。「弘前イスキア」「森のイスキア」を訪ね、お話しを聞いた。龍村仁監督『地球交響曲(ガイアシンフォニー)第二番』が渋谷シネマライズで封切られて間もない頃だったが、既にその反響は「森のイスキア」まで届き始めていた。
その時から今までに数度、東京で開かれた対談を聴きに行ったり、「森のイスキア」を訪ねさせてもらったりした。対談、講演会、おにぎり教室等、全国各地に出向くことが多くなったが、「森のイスキア」に戻った時の初女さんは以前と何1つ変わらない。自分で台所に立ち、訪れる人たちに素晴らしい食事でもてなす。「家庭の和、人と人の交流、全て食事が基本」という。

●帰る日、おにぎりを作ってくれた。 映画『地球交響曲』でも登場し、話題になったあの「おむすび」である。 初女さんのおむすびを食べて自殺を思い止まった、という人がいると聞いた。
「炊けたご飯をほぐす時も乱暴にやらないで、へらを縦に切るようにして混ぜ合わせるんです。よそう時も、2回ぐらいでお茶碗に入れないで、上のほうからすっすっとそぐようにして重ねていくんですよ。そうすると、ごはんが固まらないから食べやすい。そういうふうに、お米に対するエチケットみたいなものを大事にするところからやっています。
おむすびの場合は粗熱をとってから握るんです。お水を手に付けることはしません。代わりに、塩を手にまぶして、手の上で熱いご飯と塩が溶け合うように握ります。そうするとご飯がべたべたせず、海苔を巻いた時に香りがとても引き立ちます。握る時はお米をつぶさないよう、お米が呼吸できるように、指でなく、たなごころで握ります。海苔をつける時も、ちょうどいい加減の温度の時にやらないと、海苔がふやけるとか、そういうようなことを一緒に考えながらやります。
私の好きな大きさは、1合のご飯でおにぎりが3つできる大きさです。梅干しか焼いた鮭です。魚の焼き加減にも水気がほどよく抜けて香ばしくなるよう、とても心を配ります。おむすびを包む時はラップフィルムなどを使うと、お米が呼吸できなくなってしまうので、布巾にそっとくるむようにして包みます。こうしますと、時間が経っても、次の日になってもおいしくいただけます。
おむすびというのは、日本中どこにでもあり、材料もごくごく簡単なものです。それが映画の中で、どうしてあんなに多くの人たちの心に響いたのか考えてみますと、それは最初にお米を水に浸すところから最後に握るまで、どの部分においても心が離せないからではないでしょうか。おむすびを握るということは、それを通して、握る人の心を伝えることです。その心が食べる人に伝わって、特に心に苦しみを抱えた人においしく感じられ、力を与えてくれるようです」