グランドを後にし、再び先に進む。それまでの細いながらも舗装された道が、人の歩みでできた山道になる。小石がごろごろしている。起伏があるので少し歩いただけで山の景色が違って見える。田窪さんは琴平山のこうしたところが好きだとおっしゃっていた。そしてまた花を撮り、道脇のコケを撮り、人の顔の5倍はあるクモの巣を撮る。
舗装された道もいいが、なるべく人の手が入っていない(もちろんある程度は歩けるようにはするのだけど)自然のままの道なり景色を残していきたいとおっしゃっていた。
ほどなくしてまた開けたところにでる。先ほどとは違いそこには建物があった。驚いたことにそれはなんと図書館。もちろん無料で一般公開され、利用は自由。
入り口を入るとすぐに閲覧室になっている。部屋の端には教壇があり、黒板まであり、さながら小学校の教室のよう。
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木製の長机に小ぢんまりとした椅子。どちらも丈が低いつくり。利用者がいないこともあってか、外で鳴く鳥の声だけが部屋にこだまして時間の流れが急にゆっくりになる。まるで別世界。「いいところでしょ」と軟らかい表情の田窪さん。閲覧室の奥には短い廊下があり、その廊下を挟んだ左右には小さな書庫が2部屋ある。歴史書や小説やいろんな種類があるようだが冊数はそんなに多くはない。
全体的にひっそりとしている。建物も置いてあるものもみんな古いがよく手入れされている。
うしろ髪を引かれる思いで図書館を後にし、再び山道を上がる。
この山の作業所に着く。観光客の誘導用の看板だとか諸々のものを製作しているところのようで、作業員の方たちが数名働いていた。
その作業所の中を通り抜け、田窪さんのスタッフの方が発見したという琴平の町並みがよく見えるポイントに連れて行っていただく。
一望とまではいかないまでも確かによく見える。ただ、ゆったりとした景観の中に高くそびえた「海の科学館」など数件の建物が目立ち、それが残念だと田窪さんがもらす。
作業所の近くには現在の社務所があり、そのすぐ上方には以前使用していたという旧社務所があった。建物はそのままの形で残っており、中を少し拝見する。
木造で、ここもどことなく昔の小学校を思い出させる。先の図書館と通じる風貌。ただしこちらは長い間放っておかれているようでひどく埃まみれ。そのせいで足元がするすると滑って危ない。「総務室」などの文字の書かれたプレートが、それぞれの部屋の引き戸の上に付いているところなどは何だかかわいらしく感じる。昔の職員の人たちが使っていた風合いが感じられ、そのまま時間が止まっているよう。こうしたところも田窪さんは気に入っているそうで、取り壊すのではなく、この社務所もまた機能させ再生させていきたいと考えているとのことだった。
この社務所の敷地を抜けると一般公開されている「書院」の裏側にでた。
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