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index -2003 SUMMER Vol.31-
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ノスタルジックでヒステリックでサディスティックな取材メモ
 

 ぼんやりと日々を暮らすのが習い性となってしまった私にはいつものことなのだが・・・広告や広報の仕事をこなす中で「同潤会アパート」という言葉はこれまで何度か目や耳にしてきた。が、格別の興味を持つこともなく「多くの保存運動の声のひとつ」としてしか認識していなかった。そして突然“同潤会漬けのノスタルジックな毎日”が始まる。資料を渉猟するかたわら、現存するアパートを訪ねて歩き回る。江戸川、上野、三ノ輪と。これだけ有名な建物なのだから(私以外の)誰でも知っているのだろうと思い地図も持たずに。しかし探しあぐね、町行く人に聞いても交番で尋ねても「・・・?」という反応ばかり。おいおい冗談じゃねぇぜ、誰もしらねぇじゃねぇか・・・と時代小説風に舌打ちし、なおも歩き回り、棒のようになった足でヒステリックに小石を蹴り、ふと見上げると古色蒼然とした「そいつ」が建っていた! まるでスタジオジブリの「戦う城」のように。あるいは老ボクサーのように。

 「?」が「!」に変わる瞬間がたまらなくてこの仕事を続けている。私見だが、木造の日本建築の老朽は自然に溶け込むように崩れて行くが、コンクリート造の西洋建築の老朽は痛々しい。が、痛々しさが増す分だけサディスティックな情動が萌し私の「!」は大きくなる。おいおいボロボロじゃねぇか爺さん。ふと堀田善衛の「作っては壊し・・・」のフレーズが浮かび上がり、「アキラ」の数シーンがよぎった。そしてかなりノスタルジーに気分を領されつつ書く結果となった。ボロボロの爺さんの領域に足を踏み入れつつある私としては・・・


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