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「水槽ではうまくいく所まで漕ぎ着けましたが、実際に調査船に乗せて水深6,500mから映像を送れるかどうか、正直不安は大きかったですよ。予算も随分遣ってましたし、見込みはあっても、失敗は絶対に許されなかった」。そして、その時がやって来る。いよいよ「しんかい6500」での初の実装試験。1992年3月11日、琉球海溝、水深6,446m。土屋も洋上の母船で固唾を呑んでモニターを見守る。しばらくの調整後、いきなりモニターにくっきりと映し出されたのは深海を往く魚の姿だった。歓声が上がる。「あの時が一番の快感。嬉しかったですね。思わずみんな拍手ですよ」。ファーストトライでの見事な成功だったが、開発開始から約8年の歳月の積み重ねがあった。
現在の「しんかい6500」には当時のシステムがそのまま搭載されている。技術開発においても移り変わりの激しい今日にあって、10年前のシステムが使われ続けていることは極めて稀であろう。それだけ当時のシステムの完成度が高かったということ。「当時としては本当に画期的な技術だったと思います。観測そのもののやり方を変えてしまいました。海外でも概念すらなかったし、来日した海外の研究者たちは『なぜ映るんだ?』ってみんな目を丸くしていました」。また、当時有線で使われていたファクシミリ(G3規格)の伝送速度が最大でも14,400bpsであったことを考えると、当時土屋らが達成した16,000bpsという伝送速度が非常にハイレベルであったことが窺える。
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