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index -2004 WINTER Vol.32-
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取材を終えて

 「本物」とは何かということが、この取材を通して私の頭に燻り続けていた。
 ハウステンボスが、テーマパークということだけではない、本物志向の環境を重視した事業であることは、以前から知っていた。しかし、なぜ現代の日本にオランダの古い街並を再現しなければならないのかということに疑問があった。オランダの街並を見たければオランダへ行けばいいのではないかというのが、私の正直な気持ちであった。いくら本物そっくりに建物や街を再現しても、それはあくまで複製でしかないのではないか。多大な労力をかけて複製をつくる意義とは何なのか、ハウステンボスのオリジナリティとは何かを確かめるために、私はハウステンボスに出かけたといっていい。
 確かに詳細にいたるまでハウステンボスは丁寧に計画され、つくられていた。街の中にいると、本当のオランダの街に紛れ込んでしまったような感覚にさえなるその精巧さには、現代の日本の都市では感知することのできない、本物の物の存在感が存在していた。 そして何よりも、大村湾とその周辺の環境にハウステンボスが、やさしくなじんでいる風景は特に印象的だった。その風景は、不思議なくらいいたって自然な風景としてそこにあった。不毛な埋立地を生き返らせ、大村湾のほとりの美しい自然を再生させる。それも地域を活性化させる経済活動を伴って両立させるという果敢な試み。これからの社会が積極的に取り組まなければならない問題をハウステンボスが進んで取り組んでいるこのことに、大きな意義がある。本に載っているハウステンボスの情報の理解としてではなく、その風景を見た時に、ぼんやりとそのことを肌で理解した。
 オランダの街並という姿は、視覚的な情報の一部でしかない。しかし、細部にいたるまで入念に計画され、材料にもこだわり、丁寧に建設された建物や街路が私たちにもたらす空間体験は、現代都市では体験しがたい、やさしく味わい深く自然と調和した快適なものであった。つくられた建物や街そのものというよりも、それらが私たちにもたらすものの中にこそ本当の喜びがある。だからこそ私たちはそこに身を運ぶ喜びがあり、そしてハウステンボスはもっともっと成熟する必要がある。
 穏やかな大村湾に優雅な姿を静かに浮かべるハウステンボス。その風景はこの事業に携わったすべての人々の強くやさしい思いが実現させたかけがえのない本物の風景であった。



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