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index -2004 WINTER Vol.32-
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特集:養老孟司
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取材を終えて

 今までそこそこの数の人をインタビューしてきた。
 今回は養老孟司さん。
 初めて、というか一度しかお会いしたことはないのだけれど、養老さんにお会いした 時、ごく自然に「先生」と話しかけていた。今まで人に向かって「先生」という呼びかけ方をたった一度もしたことがない。でも今回は何の抵抗もなく「先生」と話しかけた。面白いことに、“そんなことはどっちでもいい!” と思っている人に向かって。

 タイトル「だいたい まんなかをいけ」はインタビューの途中の何かのコメントの最後にこのような言葉が挿まれた。
 「まんなか」の解釈を「真っ当に」、「本来に」、「真理に」ということだと理解した。 儒教でいう「中庸」を意識してのことなのだろうか。原書では「白刃も踏むべし、・・」 と命がけで求めるべきもの、として説かれている、と聞いたことがある。「だいたい」はそこに窮屈さを与えない、肩の力を抜く、養老さんらしさ。

 講演会の達人。
 「この間、女房に『あなたは本当に人を見る目がないからねぇ』って言われて『ほん とにそうだね』と女房の顔を見ながら言っていましたよ」
 こうして自分をもオーディエンスと同じ場所に置いた後、論理を展開していく。だか ら聴きやすい。
 「こんなことでいいのか? 」と聴衆を挑発していく。江戸の落語がもっている間。
 大勢で聴いているとよもや自分のことを言われていると思わないから笑ったりできる。

 1995年、東大の教授職を退官する。
 かつての教え子がオウム真理教に係わっていたことが退官の理由だった。
 「1時間も息止めたまま水に潜ってられるなんて言ってる奴なんか教えてなんかいられないよ」
 トップというのは責任をとる。
 東大というのは国立。国民の税金から給料もらう。それが嫌だった。
 「人体の不思議展」に携わった。30万人の来場者。そこで上がった収益は全部国に返したという。
 海外の博物館などとの交渉にかかるスタッフの旅費、宿泊費など養老さんが自費で負 担している。

 父親は養老さんが4歳の時に亡くなった。
 「肺結核でベッドに寝ていたんだけど、父親の部屋に行ったら、ガラガラが置いてある。見たこともないガラガラ。なんか聞いてはいけないと思ったんだね。その時、生まれて初めての『遠慮』を体験したのだと思う。子どもの視線に気付いて『これは看護婦さんを呼ぶ時に使うものだ』と教えてくれた。そのくらい子どもの気持ちが判る人だった」
 臨終の時立ち会えなかったのだが、亡くなる直前に、ニコッとしたという。
 きっと「子どもなんだから、しょうがないよ」ということだったんだろう。

 母親は強い人だった。
 あの時代に女医になるくらいの人。
 若い時に3回も勘当されているような人だから。



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