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平成14年7月22日

iDC装置等の耐震試験規格を開発
~高度化するIPネットワーク機器の耐震強度を格付け・評価~

NTTグループの総合エンジニアリング・サービス企業、株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長 布谷龍司)は、データセンター等に収容されるサーバやルータなどのiDC装置や電力・空調装置の耐震強度を高精度に格付け・評価するための「耐震試験規格」を開発しました。
この新たな「耐震試験規格」は、地震時の物理・機能障害の程度に応じた「耐震強度ランクの判定条件」を任意に選び、これらの判定条件を満足する地震動の大きさを、「装置類の耐震強度ランク」として格付けする日本初のものです。これにより、データセンター事業などに導入を計画している装置類の耐震性能を事前に明確に把握できるため、サービスの重要度および装置の導入環境にあった耐震対策プランを策定することが可能です。
NTTファシリティーズでは、本規格に基づくiDC装置類の耐震試験規格を新たな業界標準とするべく、NTTグループはじめ関係各方面と協議連携しつつ、幅広く提唱していく予定です。
1.開発のねらい
 
近年、インターネットの普及に伴い、iDCの建設が急速に進んでいます。iDCはeビジネスの基盤施設であり、IPネットワークのノード機能を担うことから、大地震時でも、これらiDC装置の機能を保持させることは重要な課題です。1995年1月に発生した阪神・淡路大震災において、インターネットによる情報発信が震災後の復旧活動や被災者支援に大きな役割を果たしたことは、記憶に新しいところです。

一般に、iDCに収容するサーバやルータなどは、性能やコスト等を考慮して外国製品を含めた市販品が採用されますが、これら装置は多種多様で、地震の多い日本の環境に適合した耐震性を保有していないものが少なくありません。また、IPネットワークサービス事業は、そのサービス内容に応じ多様な耐震性能レベルが要求されることもあり、こうした多様なニーズに適合した「装置類の耐震性能評価」を行う必要があります。

しかし、これまでの規格は、米国内を想定したNEBS規格※2と呼ばれるものか、NTTの装置を対象とした全国一律のNTT規格が主なもので、業界標準の国内規格はありませんでした。

以上の背景から、このほど開発したのが「iDC装置等の耐震試験規格」です。これまで長年、NTTファシリティーズは、NTTグループの通信用建物や装置類の耐震設計を通じて、情報通信ネットワークの総合的な信頼性確保に取り組んできました。「耐震試験規格」は、これらの業務により蓄積した「装置類の振動試験・耐震評価技術」がベースとなっています。
2.耐震試験規格の特徴
 
本規格の特徴は、次のとおりです。
1. 耐震強度ランクの判定条件は、長年蓄積された振動試験データに基づき定めており、「物理的損傷」および「機能障害」について5つのメニューからお客様が任意でお選びいただける。
2. 日本の地震環境や建物の地震に対する増幅特性さらに過去の歴史地震(阪神淡路大震災)等を考慮し、地震波をシミュレーション作成。
3. 国内では、国や企業等で定めた独自の試験規格はない。
4. iDC装置対応の振動試験および評価ができるのは、国内では、NTTの時代からの長い実績とノウハウを持つNTTファシリティーズだけである。
5. NEBS規格(Zone4)やIEC規格※5と同等以上の地震動を用いているため国際的にも通用する。
6. 当社は、耐震強度ランクと設置条件を考慮し、耐震対策コンサルティングも実施、提供する。
高効率年間冷房型空調機振動実験風景
19インチラック振動実験風景
3.耐震性能の評価手順
 
装置の耐震性能の評価手順は、次のとおりです。
Step1:耐震強度ランクの判定条件
 装置の耐震性能目標として、耐震強度ランクの判定条件を設定。これは、サービスの重要度に応じて「物理的損傷」および「機能障害」の程度の違いによる5つのメニューから任意に選択。
Step2:振動試験
 振動試験では、3次元振動台上に実物の装置を設置し、建物床レベルの揺れを想定した地震波で3方向同時に加振。加振波は、最大加速度を5段階に分けて段階的に上げていく。具体的には、試験体(対象となるiDC装置類)の設置方法、加振波の周波数特性※3や最大加速度※4、試験体各部の加速度や変位の測定方法等について詳細に規定。
Step3:耐震性能の評価
 装置の耐震強度ランクは、設定した判定条件(Step1)を満足する、最大加速度(Step2)により、R04/R06/R08/R10/R12の5段階により判定。
Step4:耐震対策の提案もしくは改良提案
 Step3で判定された耐震強度ランクを持つ装置が、耐震・免震・制震いずれのビルの何階に設置されるかなどの「設置環境」に応じて、キメ細かに耐震対策の提案もしくは改良提案。
例えば、耐震ビル上層階にiDC装置を設置する場合、耐震強度ランクR04と判定された装置は震度4までしか耐えられませんが、R10と判定された装置なら震度6強まで耐えられることが分かります。(表1参照
4.今後の取り組み
 
NTTファシリティーズは、今後、本規格に基づき、iDC装置はじめ設備機器類の耐震試験を提供していく予定です。さらに、IPネットワーク※6社会を支えるインフラ設備(建物および装置類)の耐震性能評価および耐震対策コンサルを行い、耐震信頼性の向上に貢献していきたいと考えています。
5.用語の解説
 
1. iDC(インターネットデータセンター):
従来はデータの集積場所として大型のコンピュータを預かり、管理運用をする施設として古くから知られているもので、多数のWWWサーバやメールサーバを預かり、運用する巨大なインターネットインフラ設備のことである。データセンタビジネスとは、高品質な回線と安全な場所、24時間体制の管理運営サービスを合わせた統合的なインターネット環境を提供するサービスのこと。
2. NEBS規格:
Network Equipment-Building System Requirements:GR-63-CORE,ISSUE 1, October 1995, Telcordia Technologies, Inc.
NEBS規格では、北米の地震危険度地域を5段階にゾーン分けし、それぞれについて床応答スペクトルを定めている。Zone4とは、その中で最も危険度の高い地域(西海岸地域)。
3. 周波数特性:
地震で地面や床が揺れるときに表層地盤の硬さや建物の構造特性の違いによって、その地震波特有の周波数が顕著に現れる。そのような特性を周波数特性という。
4. 最大加速度:
建築物や装置等の構造設計や振動解析をする際に、地震時の応答を評価するために用いられる入力地震動の大きさをあらわす指標のひとつ。
1G=980gal=980cm/s2
5. IPネットワーク:
IP接続サービス(Internet Protocol)。NTTが提供するインターネット定額料金サービス。お客様に指定したそれぞれの専用電話番号にダイヤルすることにより、お客様が契約するISPに接続します。通常は電話交換機を経由し、ISPが用意するアクセス・ポイントにダイヤルアップしますが、本サービスはNTTがIPネットワークのアクセス・ポイントとなる専用電話番をお客様に指定し、お客様が専用電話番号にダイヤルアップする仕組みになっている。
6. IEC規格:
International Electrotechnical Commission: 61587-2
International Standard IEC規格では、地盤特性、装置応答倍率、装置減衰定数等、を考慮し、床応答加速度スペクトル(level・~level・)を定めている。
【本件に関する報道機関からのお問合せ先】
NTTファシリティーズ 経営企画部広報室
MAIL:pr@ntt-f.co.jp
ニュースリリースに記載されている情報は、発表日時点の情報です。
予告なしに変更する場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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