NTTファシリティーズ
FeatureNTTファシティーズジャーナル
2019年1月31日

ICTの発展を支え続ける

社会インフラとなったデータセンター

 高度に発展を続ける情報化社会。デジタルトランスフォーメーションという言葉にも表されるように,ICTはもはや利便性を高めるための単なるツールではなく,競争力やサービス価値そのものを決定付ける要素になっています。そして,ICTシステムを物理的に構成するサーバーやルーターなどのICT装置は,データセンターに集約して設置されるようになっています。結果として,企業や社会の中枢機能が集中することとなったデータセンターが仮に停止した場合の社会や経済への影響は計り知れず,もはや社会インフラと呼ぶべき存在になっています。

2019年12月にサービス提供開始を予定しているNTTコミュニケーションズ大阪第7データセンター。「Nexcenter™」*ブランドで,グローバルで統一された厳格な設備設計・運用基準に準拠。壁吹出し空調方式や,約20%の消費電力削減を実現するHVDC(高電圧直流給電)システムなど,最新技術の導入を予定している。ラックあたり20kW以上の電力消費を伴うAI用途などの超高発熱サーバーにも対応する

  • *「Nexcenter™」は,NTTコミュニケーションズのデータセンターサービスブランドです。世界20以上の国・地域で,高品質データセンターサービスを提供しています

データセンターの変遷

 データセンターは,時代の要請に応じて様々な変化を遂げていますが,NTTグループにとってのデータセンターは,通信用建物から始まりました。
 通信用建物は,電話サービスのための交換器やインターネットサービスのための回線装置,それらの稼働のための電力装置や空調装置など,通信サービス用の設備だけが設置される特殊な建物です。設備だけが収容されることや,その停止が許容されないという点において,データセンターと多くの共通点があります。その通信用建物の一角に専用スペースを設け,コロケーションと呼ばれるICT装置設置のための場所貸しサービスを展開した1990年代後半が,NTTグループにとってのデータセンターの始まりです。
 2000年代になると,キャリアやSIer,電力会社,専業事業者などのデータセンター事業への参入が相次ぎ,多くのデータセンターが建設されるようになります。いわゆる第一次データセンターブームです。多用途の複合施設ではなく,専用建物として都市部で中高層ビル型のデータセンター建設が当時のトレンドでした。データセンター専用建物の黎明期でもあったこの時期は,建物や設備の構成基準や運用ルールが整備されていませんでしたが,NTTファシリティーズは通信用建物で培った技術を活用することで,多くのデータセンターを構築・保守してきました。
 2000年代後半以降,データセンターのICT装置は必要装置数増大と高密度化(装置あたりの電力使用量の増大)の一途をたどります。データセンターは大規模かつ高電力が要件となり,郊外の広大な敷地に低中層の大規模建物で建設するトレンドが生まれます。それと共に,高密度化は,電気料金の低減と高発熱化への対応という2つの大きな課題を生み出しました。当社は,自社開発の電力・空調技術や国内外の優れたソリューションを広く提供することで,データセンターの省エネルギーと省コストを推進してきました。
 また,前例のない設計条件に対しても,独自の研究施設を活用した検証やCFD(Computational Fluid Dynamics:熱流体解析)などのシミュレーションを積極的に活用することで,データセンター設計の新たなベストプラクティスを絶えず追求してきました。これらの過程で生み出された技術の多くは,今日のデータセンター構築の礎となっています。

ICTの発展とデータセンターの変化
出典:「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計結果(2017年11月分)」「我が国のインターネットにおけるトラヒック総量の把握(2009年8月)」(共に総務省)を加工して作成 2010年以前は主要IX3団体,2011年より主要IX5団体
本文で使われている会社名および製品名はその所有者の商標,もしくは登録商標です

CFDによるシミュレーションイメージ。空調システムの選択に際しては,空調システム単体のスペックで比較するのではなく,発熱密度や運用温度,多様な設計条件や運用条件を考慮し,建物計画と連動して選択することが重要となる。そのため当社では,CFDを活用した様々なシミュレーションを行い最適解を提示している

ICTの発展を支え続けるために

 現在では様々なICTサービスが登場し,その屋台骨であるデータセンターもさらなる変化と多様化の時を迎えています。AIサービスのための超高密度データセンターや,世界規模のクラウドサービス事業者向けの超大規模なデータセンターがその一例です。ICTの急速な進化と共に,時代が求めるデータセンターの姿は今後も急激な変化を続けると考えられます。NTTファシリティーズは,通信用建物の構築・保守で培いDNAに刻まれた技術を根幹とし,社内外の最先端技術を融合させたソリューションで,データセンターの進化をこれからも支え続けていきます。

1983年11月に竣工したNTT DATA三鷹ビル。竣工当時は三鷹電電ビルディングと呼ばれ,データ通信専用の機械室,データベースを処理するためのコンピュータ,INS(高度情報通信システム)のモデルシステム,そしてこれらを稼働させるための電源・空調設備を備えていた

2011年3月に竣工したNTTコミュニケーションズ東京第5デーセンター。高性能免震装置やグリーン性能を備えた都市型データセンターで,地震や水害,停電など大規模災害時でも安全な構造を特長としている。東京で震度5強を観測した東日本大震災においても最大43mmの建物揺れ幅に抑え,建物躯体や設備の損傷は皆無だった

2018年3月に竣工したNTT DATA三鷹データセンターEAST。データセンターの構成要素を更改周期に合わせ,3つの「Layer」と,それらをつなぐ要素「Interface」に分類し,各Layerの空調・電源設備やシステムは,常に最先端のものを選定できる。また免震構造体や制震ダンパーの採用,サーバーからの排熱や自然光を利用した2層吹抜けのマルチコンコースなどにより,高い信頼性と省エネルギー性能を備えている


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