PROJECT STORY 02 震災対応

プロジェクトストーリー02

データセンターエンジニアリング企業との
大型M&Aプロジェクト

海外戦略を推進するNTTファシリティーズにとって、グローバル展開の核となっているビジネスがデータセンターです。
2014年11月、米国のデータセンターエンジニアリング企業とのM&Aを発表しました。この出来事は、データセンター業界だけでなくグローバル市場への大きな足がかりとして、世間からも大きな注目を集めることになりました。
ここでは、そんな大型M&Aを成功に導くまでのストーリーを紹介します。

世界No.1市場
アメリカへの挑戦

データセンターサービスにおける世界最大市場であるアメリカ。構築技術の最先端国でもあります。海外戦略の推進、当社のデータセンター構築技術を全世界に展開するうえで、アメリカで成功できるかどうかは非常に大きなポイントとなります。
現在、国内データセンターのシェアを約30%保持しているNTTファシリティーズ。日本におけるリーディングカンパニーとして、企画・設計・構築・保守等の豊富な実績を持ち、ICT・エネルギー・建築を融合した高信頼化技術と高効率化技術は、世界にもひけをとらない技術だと自負しています。
しかし、世界的知名度を問われると、決して高くはないのが現状です。アメリカにおいては、知名度はほぼないと言っていいでしょう。米国現地法人は存在しますが、ライセンスを保持していないため新規参入は非常に困難。現地のスタッフの雇用さえままならない状況でした。現地の企業成長を待っていては、多大なる時間とコストを要してしまいます。スピード感をもったビジネス展開を実現するため、アメリカの企業を獲得するM&Aプロジェクトに取り組むことになったのです。

パートナー企業候補の選定

プロジェクトがスタートしたのは2013年の春です。アメリカでの市場調査結果をもとに、短期間で効率的なビジネス展開を実現するのに最も適した企業のリストアップをおこないました。M&Aをおこなう企業によって、アメリカでのビジネスの成否が左右されます。ここで決めた企業と今後、米国で事業拡大を進めることとなるため、コンサルティング会社や米国現地法人、日本からの出張等により、複数回の調査、交渉を重ねて候補先企業を選定しました。
実際に、対象企業との交渉の基本合意に至ったのは2014年4月。1年以上かけて選んだ企業は、データセンターのエンジニアリングカンパニーです。主なサービス内容は、設計、工事、保守。技術や人材の質の高さは申し分なく、経営手法や営業手法など現地のローカルルールに精通。この企業が持つ資産を得ることで、アメリカ市場におけるビジネスを加速度的に広げられることが期待できます。また、当社の強みでもある研究開発やコンサルティング領域のノウハウや情報を提供することで、両者の企業価値を向上させるシナジーを生み出せるといったことも、交渉を進めるうえで大きな決め手となりました。

プロジェクトの流れ

2013春 プロジェクトがスタート
2014 4月 交渉の基本合意に至る
基本合意後 デューデリジェンスに
最も時間を要する
2014 4月 マジョリティ取得の最終合意
2014 11月 米国のデータセンター
エンジニアリング企業とのM&Aを発表
日本とアメリカの両国で今回のM&Aが
ニュースリリースを通して発表される

複雑な法制度との格闘

基本合意後、最も時間を要したのがデューデリジェンス。財務諸表の分析、資金繰りや負債などの財務の健全性、法律を遵守できているか、人財育成方針はどのような状況下など、企業のリスク、収益性などを徹底的にしていきました。
NTTファシリティーズの海外におけるM&Aの経験は、初めてではありません。タイやシンガポールといった国での実績があります。しかし、これまでの実績がまるで通用しないほど困難を極めたのが、アメリカの税制と法務の対応でした。契約社会と呼ばれるこの国では、制度は州ごとに異なり、法律は複雑に絡まり合います。当社はアメリカでのM&A経験がないこともあり、知見のある社員も存在しませんでした。しかしながら、法務や税制をイチから学んでいたのでは、とてもタイムリミットに間に合わないという状況です。
そこで、専門書を読み込み資料を作成、外部のフィナンシャルアドバイザーに意見をもらい、調整するという地道な作業を幾度も繰り返したのです。一方で交渉の最前線でも、タフなネゴシエーションがおこなわれていました。プロジェクトマネージャーが先頭に立ち、あらゆる要求を精査、両企業による協議は繰り返され、最終的に合意がなされたのは想定よりも3ヶ月ほど遅れた時期だったのです。

M&Aはゴールではなく、
スタートライン

最終段階に入ったプロジェクトは、遅れを取り戻そうと加速していきます。株式の売買契約書、運営に関する契約書、最終検証を目的とした法務や財務、弁護士との綿密なやり取り、NTT持ち株会社から承認を得るための調整など、最後まで気を抜くことができないタスクが続きます。
これまで海外M&Aの体制を構築してきたNTTグループ。しかし、当社にいたってはマジョリティ出資(株式の50%超)をした2013年3月が初めてです。経験が浅いこともあり、最終段階の審査や指導は非常に厳しいものとなりました。ひとつのリスクも見逃さないように、時間の許すかぎり確認が行われた結果、2014年10月に無事マジョリティ取得の最終合意。同月の下旬、契約書にサイン、11月に日本とアメリカの両国で今回のM&Aがニュースリリースを通して発表されました。紆余曲折ありながら、成功させることができたM&A。プロジェクト完了を機に、アメリカ市場への本格参入がスタートします。データセンターの海外展開や新たなM&Aの検討を含め、世界市場への挑戦はまだ始まったばかりです。

プロジェクトを終えて…

アメリカでのM&Aの経験者が社内に誰もいないという状況からのスタート。これまでの社会人生活を振り返ってみても、一二を争うプレッシャーのかかる仕事となりました。特に頭を悩ませたのが、アメリカの複雑な「税制」の対応です。日本の税制ですら、ほとんど知識を持たない私にとって、最初は何がわからないのかもわからないという状況でした。社内にも理解できている人がいない中、優しい上司からのアドバイスが「専門家に説明してもらっておいで。わかるまで会社に帰ってこなくていいから」という状況(笑)。このプロジェクトのなかでも最も苦労したミッションでしたが、悪戦苦闘しながらも乗り越え、社内の第一人者になれたということは、大きな自信になりました。この実績をバネに、海外展開を推し進めるための新しい種をエネルギー技術から探し出し、今度は自分が先頭に立って世界への道を切り開いていきたいですね。

NTTファシリティーズ
海外ビジネス本部 企画部

久内敏之

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