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生活様式とビジネス構造を変革する「分散型社会」とは

2021年2月10日

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 分散型社会の実現は、さまざまな問題を持つ都市化の流れを変え、私たちの生活やビジネスに大きな変革をもたらす可能性があります。また、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、分散型社会への移行が加速すれば、さまざまな分野へ影響を及ぼすとも予想されます。日本における動向を探るとともに、私たちに与える影響について考えていきます。

都市部への一極集中に訪れた変化

 分散型社会とは、人や資源が一部の都市に集中するのではなく、地方を含めてバランスよく分散している社会を指します。

 1990年以降、世界で急速に都市化が加速しています。2050年には人類全体の3分の2(60億人以上)が都市で暮らすようになるという予測もあります。ちなみに、1800年代の都市に暮らす人の割合(都市化率)は1%といわれており、その数字からも近年における都市化がいかに劇的に進んでいるのかが分かります。

 都市化には、人が集中することで経済活動を活性化させるというメリットがある一方で、物価の上昇やヒートアイランド現象などを引き起こすというデメリットがあります。

 日本でも、以前から東名阪などの都市部に人口が集中していると指摘されてきました。少子高齢化に伴う人口減少と地方から都市への人口流出の組み合わせは、地域経済を縮小させることにつながるため、大きな問題となっています。

 政府は、都市集中型から地方分散型へと社会構造の転換を図ろうと、都市化の解消に向けたさまざまな取り組みを行ってきました。しかし、その効果は極めて限定的なもので、特に1990年代からしばらくは、東京都への一極集中とも呼ばれる状態が続いてきました。2020年にこの流れが転換点を迎えた可能性がある、という指摘があります。

 2020年5月の東京都の転入者数が2万2525人、転出者数が2万3594人となり、転出者数が転入者数を上回ったのです。こうした変化には、新型コロナウイルスの流行による生活様式の変化が影響したことが推測されています。今後もリモートワークの普及などを受け、この動きが加速する可能性も考えられます。

分散型社会における地域のあり方とは

 新型コロナウイルスの影響下で、私たちの生活様式は大きく変わろうとしています。その中で、政府は新しい生活様式に対応した社会のあり方を模索しています。

 日本における分散型社会の未来を読み解く参考資料に内閣府がまとめた「地域未来構想20」があります。これは、感染症にも経済危機にも強い経済構造を自治体が築くために、20の政策分野ごとに有用な施策をまとめたものです。

 「地域未来構想20」では、農林水産や観光分野への消費・投資の促進などの旧来からある地方への経済対策に加えて、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)などICTを活用した新たな地域交通体系の整備や、3密対策、発熱外来ネットワークの整備といった「新しい生活様式」を踏まえた取り組みも盛り込んでいます。

 また、地震や台風などの自然災害が多い日本では、災害や危機に強い社会を実現するために、各地域がエネルギーを自給自足する分散型エネルギーシステムを構築することを不可欠としており、エネルギーの分野でも大きな変革を進めようとしています。

 こうした経済対策やエネルギー自立といった構造変革の先に見えるのが、人口だけでなく経済活動や情報を都市集中から地域へ分散させる「分散型社会」なのです。

分散型社会がもたらすビジネスチャンスとリスク

 分散型社会の到来は、企業活動にも大きな影響を及ぼします。

 例えば2020年は、以前から取り組みが進んでいたリモートワークが、一気に普及しました。今後、場所にとらわれずに仕事をする新しい働き方が増えることも考えられます。それに対し、企業はどのように対応すればいいのかを再考する必要があります。

 企業にとって必要なのは、分散型社会の到来がどのように生活やビジネスに影響を与えていくのか、その動向に注視することです。リモートワークやMaaSが普及することで、新たな市場が生まれ、ビジネスチャンスも広がることでしょう。ビジネスの構造をダイナミックに変える可能性もあり、そうなったときに対応が遅れれば競争力を失いかねません。

 この動向にとくに大きな役割を果たすと思われるのが、オンラインのコミュニケーションツールをはじめとしたデジタルサービスです。こうしたサービスを可能にしている背景には、増え続けるトラフィックを支えているデータインフラの存在があります。

 都市集中型社会から分散型社会へと移行するには、データインフラの整備が欠かせません。次回は、分散型社会を支える各種インフラの動向を追いながら、その展望について考えます。

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