NTTファシリティーズ
Case StudyPROJECT事例
2020年1月20日

エネフィス四国
ダイダン株式会社四国支店

省エネ+創エネでエネルギー削減率101%達成

 「エネフィス四国」は,建物の中でエネルギーを自給自足して年間のエネルギー消費をゼロにする,「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」を実現した3階建てのオフィスビルです。総合設備会社ダイダンの四国支店として,同社や四電エンジニアリングと共にNTTファシリティーズが設計を担当しました。設計基準から1次消費エネルギーを54%削減,さらに屋上の太陽光発電による47%の創エネで,1次エネルギー消費量の削減率が101%という,完全ZEBを達成しています。
 ZEBの実現は,設計のスタート時点で課せられた大命題でした。2016年,ダイダンと当社が共同設計し,ZEBの最新技術を投入したダイダン九州支店「エネフィス九州」*での実績を背景に,今回は「ZEB技術の深化」「BCP(事業継続性)対策」「(IoT技術を利用した)快適性の向上」「経済性の向上」という4つの事業コンセプトを掲げて設計に臨みました。

  • *エネフィス九州:1次エネルギー消費量の削減率が50%以上の「ZEB Ready」相当を達成
設計基準から1次消費エネルギーを54%削減しながら,屋上の太陽光発電で47%のエネルギーを創出することで,1次エネルギー消費量の削減率101%を達成した。省エネルギーにはアースチューブ埋設による地中熱利用や,地中採熱から得られる中温冷水をスラブ内と外壁内の配管に送水する躯体蓄熱など様々な技術を導入している

建築・設備・構造設計の検討を同時に進める

 東西面はできるだけ壁で閉じ,建物に対する熱負荷の低減を図ると共に,南北面に開口部を集中配置することで室内の明るさを確保しています。外断熱は2階の事務室周りに採用し,その他は内断熱とすることで経済性に配慮しました。
 このプロジェクトでは,完全ZEB実現という共通テーマのもと,合理的かつ効率的な建築・設備・構造設計を実現しています。例えば事務室天井の納まりは,空調と照明を一体化したユニット「シーリングフリー」(ダイダン自社開発)の導入を前提に梁型を調整し,効率的な配置となる計画としています。ZEBという明確なゴールがあったからこそ,社内外の垣根を越えたチームが一つとなり,合理的かつ効率的な設計を実現しました。

2階はバルコニーを挟んで南北に2つの事務室を配置,大きな開口部を介して一体感のあるオフィス空間が広がる。バルコニーは事務室の2面採光を可能とするほか,社員の交流の場としての役割を担う。バイオフィリックデザインの考えを採用し,人が触れることができる範囲はできるだけ木で仕上げ,親しみとぬくもりのある空間を目指した

事務室。天井の梁と交互に照明と空調を一体化したユニット「シーリングフリー」を組み込んだ。タスク&アンビエント方式によるダイダンの自社製品で,IoTを利用した自動制御システムにより社員が帰宅するとそのエリアが消灯する仕組み。このほかイス型タスク空調「クリマチェア」を導入している(IoT自動制御システム,クリマチェア,共にダイダン自社製品)

CO2削減と居心地の良さを両立する

 ZEB達成と居心地の良さを両立させるため,2階事務室の間にはバルコニーを設けました。開口部の存在自体は熱負荷の点で不利でも,事務室の2面採光というメリットが得られます。社員の自然な交流の場としても期待できるため導入しました。
 自然の光や風,緑を感じることができるこの建築が,地球環境負荷の低減に永く貢献していくことを願っています。

南面メインファサード。街並みに対して彫りの深い“顔”を見せる。高潮浸水想定区域に立地するためエントランスのある1階はピロティ形式の駐車場とした。2階事務室の前に大きなバルコニーを配置,夏の日射を遮るため上部にフレーム状の庇を設けた。2階の事務室周りは外断熱,その他は内断熱を採用。取り合い部分は600mmのかぶり範囲を設けて断熱ラインを連続させている

所在地香川県高松市本町6-17
施主ダイダン株式会社
設計・監理ダイダン株式会社,NTTファシリティーズ,四電エンジニアリング株式会社
敷地面積1,206.55㎡
建築面積480.78㎡
延床面積1,180.77㎡
構造・規模RC造,地上3階
工期2018.5~2019.3


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