NTTファシリティーズ
Case StudyPROJECT事例
2020年6月10日

加古川産業会館・JA兵庫南本店ビル

駅前立地のポテンシャルを計画に活かす

 「加古川産業会館・JA兵庫南本店ビル」は,同グループの新しい拠点となる複合施設です。NTTファシリティーズによる企画提案,設計・監理を経て,JR加古川駅前に新築移転しました。1~4階には同本店オフィスに加えクリニック,学習塾等が,また,5~7階にはホテルが入居します。駅前立地というポテンシャルを活かし,事業性を高め,地域活性化につながる建物を目指しています。

広場を中心に人の流れと「にぎわい」を創出

 計画にあたって特に考慮したのが,各機能の配置計画とアプローチ動線です。まず,交差点側に広場スペースを確保し,オフィスとホテルのエントランスを広場に面してわかりやすく並列に配置しました。広場では野菜直販等のイベントも想定しており,駅前への人の流れと「にぎわい」の創出が期待できます。また,2階には学習塾等が入居し,同時刻に多くの利用者が集中することが想定されたため,広場から直接上がれる屋外階段を設け,利便性を高めました。
 環境面では,「自然換気が可能な開閉窓」「自然採光に配慮したオフィスの大開口」「明るさに応じて照度を自動調整できる調光照明システム(FIT LC)」を導入し,省エネに配慮しています。

加古川のまちづくりを牽引する建物に

 外観は,5階のホテルロビーと朝食コーナーが壁面から一部張り出す形とし,加古川の山並みを望める明るく開放的な場を室内側に創出すると共に,まちにはホテルの「にぎわい」が表出されます。
 外構は,広場や歩道沿いに緑地を設けたほか,1階軒天から室内へと木の仕上げを連続させるなど,自然や木の温かみを感じる構成としました。エントランスホールでは,加古川最古の地場産業として江戸時代から続く「国包(くにかね)建具」による木組み装飾を配置するなど,地域の伝統文化を取り入れています。
 自然や地域性を反映した本施設が,ひと,まち,自然が調和した「ウェルネス都市」を目指す加古川のまちづくりを牽引し,「豊かな地域社会の実現」に貢献していくことを願っています。

  • ①建物をセットバックすることで,交差点側に「にぎわい」創出の場となる広場スペースを確保した。5階ホテル朝食コーナーの大きな窓部分からホテルの「にぎわい」がまち側へとにじみ出る
  • ②広場からホテルとオフィスの入り口を見る。緑あふれる外構部にベンチを配置することで,利用者が自然を感じてほっと一息つける場所とした。1階軒天は木仕上げ
  • ③オフィスエントランスホール。軒天の木仕上げは木の縦格子へと形を変えながら室内へと連続し,明るく,木の温もりを感じる空間となっている
  • ④オフィスエントランスホールに入ると,職人の優れた手仕事による「国包建具」の木組み装飾が来訪者を出迎える。午後の光を受け,エレベータホールに繊細な模様(伝統の小判模様)を映し出す
  • ⑤整形無柱大空間のオフィスフロア。北面の大開口から1日を通じて安定した自然光を取り込んでいる
  • ⑥5階ホテルの朝食コーナーは壁面から一部張り出しており,窓からは加古川の山並みを望むことができる
  • ⑦ライトアップされた広場の木々がオフィスワーカーを送り出し,ホテル宿泊者を迎え入れる。庇軒天に風で揺らぐ樹木の葉影が映り込む
  • ⑧標準タイプのホテル客室。天井仕上げの珪藻土,遮光性の高いロールスクリーンで宿泊者の健康と快眠を追求

加古川産業会館・JA兵庫南本店ビル

所在地兵庫県加古川市加古川町寺家町621
施主株式会社加古川産業会館
設計・監理NTTファシリティーズ
敷地面積1,925.17㎡
建築面積1,396.86㎡
延床面積6,676.02㎡
構造・規模S造・地上7階
工期2018.11~2019.10
建物要素事務所・ホテル・診療所・店舗・学習塾等


最新のコラムや導入事例をメールマガジンで配信いたします。

Page Top