虫眼鏡 検索機能を表す虫眼鏡のアイコンです メール メール送信用の封筒型アイコンです 矢印 矢印アイコンです 別ウィンドウで開く リンクが新しいウィンドウで開くことを示すアイコンです 移動するための矢印アイコン 前後のスライダーへ移動するための矢印アイコンです ダウンロードアイコン ダウンロードするためのアイコンです
Mission

建物の生涯価値を最大化する―新たなBIM活用への挑戦その3 | 建築設計におけるBIM活用〈構造設計編〉

2025年07月31日

前回は、建物・施設のライフサイクルマネジメントにおけるBIM活用「ライフサイクルBIM」について紹介しました。本稿では建築設計、特に構造設計でのBIM活用について説明します。

構造計算ソフトウェアとの連携

構造設計は設計・解析を行う際、さまざまな計算プログラムを用いています。これらは構造計算ソフトウェアとして、それぞれ固有のデータフォーマットを持ち、そのため日本では、「ST-Bridgeエスティーブリッジ)」と呼ばれる業界標準のデータフォーマットを通じて、構造計算ソフトウェア間やBIMとの連携が可能になっています。
当社では、自社開発の構造計算ソフトウェアである「SEIN La CREA」を主に使用しており、BIMソフトウェア「Revit」と双方向で連携が可能です。構造解析モデルから、自動で構造BIMデータを作成できるため、BIMデータ構築のための多くの作業を省略することができます。
また、自社開発のメリットを活かし、設計現場からのフィードバックを迅速に反映し、より高いレベルでのBIM連携やソフトウェア開発を行うことで質の向上に努めています。

BIMを活用した新たな設計プロセス

従来の構造設計では、さまざまな構造計算ソフトウェアを活用して解析を行い、その結果をもとに2次元CADで構造図を作成していました。そのため、設計の深度化や意匠設計・設備設計との調整によって設計内容に変更が生じるたびに、構造解析モデルや構造図に変更内容をそれぞれ反映させる必要があり、その作業に時間を要していました。
現在では、構造計算ソフトウェア「SEIN La CREA」へのインプットを起点として、各構造解析モデルと構造BIMデータをシームレスに連携させることで、構造設計に関するあらゆるデータを一元管理することが可能になりました。この構造計算ソフトウェアとBIMが連動する構造設計プロセスによって、設計プロジェクトの関係者とタイムリーな対応が可能となり、生産性が向上しています。

他プロセスとの連携

構造設計のBIM活用は、設計の方法だけでなく、意匠・設備による設計の進め方も変わります。例えば、ブレース接合部のディテールを可視化したBIMを用いて意匠計画を行うことで、構造部材が建築空間へ与える影響を確認しながら、詳細な納まり検討を早期に行うことができます。
またBIMによって、あらかじめ梁の貫通可能な範囲や見落としがちな横補剛材などを可視化しながら配管ルートを計画することで、構造と設備の整合性が図られた設計が初期段階から可能となります。これらの3Dイメージを活用することは、設計者間の情報共有に留まらず、お客様との合意形成を早期に図る上でも有効です。
このように、各分野で作成したBIMを統合した「統合BIM」を用いて設計を進めることで、常に最新かつ同一の情報が共有され、関係者間で共通認識をもって設計を行うことができます。統合BIMにより、意匠、構造、設備の情報は3Dで可視化され、これまで2次元図面などの断片的な情報でやり取りしていた時には把握しづらかった詳細なディテールや納まりを検討することができ、設計品質をより一層高めることができます。

BIMを通じた構造図の作成

設計プロセス内で構築されたBIMから図面を作成することにより、図面同士や構造解析モデルとの不整合が解消され、図面のチェックにかけていた時間を大幅に削減することができます。そして、削減された時間をさらなる検討や提案に充てることで、図面だけでなく、設計全体の品質向上にもつながります。
また、線種などの基本情報であるプロジェクト設定、表示・表現方法などを定義したビュー設定、鉄骨柱や鉄骨梁といったモデル要素の分類であるファミリ等が初期設定としてセットされたテンプレートを整備することによって、一部の詳細図以外のすべての構造図の作成が可能となっています。これによって、構造図作成時間を約40%削減することが可能になりました。

BIM活用推進

当社では、一人ひとりの設計者がBIMを自然に活用できる環境づくりをめざし、社内でさまざまなBIM活用の推進活動に取り組んでいます。構造BIMに特化した情報や一般書籍が少ないため、実務に即したRevitの操作方法を中心としたマニュアル等の整備を行い、誰でも構造BIMモデルを作成できるよう支援をしています。また、BIM活用説明会を定期的に開催し、それらを通じて、構造設計担当者のBIMスキル向上も図っています。
現在、ほぼすべての設計プロジェクトで構造BIMを導入し、実施設計における構造図まで構造BIMデータから作成を行っています。このように、建築設計にBIMを活用することで、生産性向上および設計品質の向上につなげています。


Related関連する社会動向・課題に取り組んだPEOPLEを見る

Newsletterえふ・マガ登録

NTTファシリティーズがお届けするメールマガジン『えふ・マガ』。
環境や建築、レジリエンスなどに関する社会動向を、有識者のインタビューやビジネスコラム、プロジェクト事例を通じて、日常やビジネスの現場で参考になる情報をお届けします。
お気軽にご登録ください。

えふ・マガ登録はこちら