コミュニケーションをデザインする
オフィスFM

　近年，働き方改革や生産性向上を社会背景として，オフィスの重要性がますます高まっています。ICTを活用した柔軟なワークスタイルの実現と共に，フリーアドレスやABW，シェアオフィス等，様々なオフィスのかたちが提案されています。これらの新しいオフィスに共通しているのは，「人」が中心であることです。従来のオフィスのように効率性や作業性，省エネ・省スペースを追求するだけでなく，オフィスで働くすべての人が健康で幸せな状態にあり，高いパフォーマンスを発揮できることが最も重要な経営資源であることが改めて認識されるようになってきました。

　働き方改革の目的の一つは，生産性の向上といわれています。知的生産性を高める実証実験を行ったある大手IT企業の最終レポートによれば，最も生産性が高まる要因は，強力なリーダーシップでもチームワークでもなく，人が「本来の自分」の状態で仕事ができるか否かだとされています。また，オフィスに「集まって働く」ことの意義と価値も見直されるようになり，ワークエンゲージメントの高いワーカー同士が活発にコミュニケーションを行うことが，次世代オフィスにおける生産性向上のカギを握っていると考えられています。