NTTファシリティーズ
Technical paperテクニカルペーパー
No.010

空調装置の故障予見技術

1.空調装置保全

1.1 保全の考え方

 通信ビルは非常に重要な社会インフラであり,提供するサービスが途絶すると社会に大きな影響を及ぼします。通信を支えるICT機器の小型化や性能向上は著しく,それに伴い発熱量も増加傾向にあります。図1-1 は,発熱密度ごとの空調停止後の温度変化を示しています。発熱密度が高いほど温度上昇スピードは早く,空調装置の停止が室温に大きな影響を与えていることがわかります。
 通信ビルにおける空調装置の役割は,室内に設置されたICT機器の吸込み空気温度を規定内に維持することです。空調装置の信頼性を確保するには,空調システムを構成する装置の冗長化が有効です。しかし,冗長化には多額の投資コストが必要なため,投資と信頼性のバランスを考慮した設計と,機器の故障を防ぐ保全作業が重要となります。
 空調装置などの機械装置を健全な状態に保全するためには,故障する前に部品交換などのメンテナンスを行う「予防保全」と,機械が故障したあとに修理する「事後保全」の考え方があります(表1-1)。空調装置を対象に両者を比較した場合,予防保全は部品交換に伴う空調装置の停止時間が短くなるため室温上昇のリスクが低いことがメリットですが,一定期間ごとに部品交換を実施するため,コスト負担が大きくなります。一方,事後保全の場合は故障発生から修理完了まで長時間空調装置が停止するため,室温上昇のリスクが高いことがデメリットです。

1.2 故障予見技術と保全

 予防保全のデメリットを補う方法として注目を集めているのが,「状態基準保全」です。稼働している機器に対して「まだ使用可能ではあるものの基準時間に達した」としてメンテナンスを行うのではなく,故障診断により交換が必要と判断されたときにのみメンテナンスを実施するという考え方です。

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