NTTファシリティーズ
Technical paperテクニカルペーパー
No.012

DCIMデータの
機械学習を用いた分析事例

1.データセンター運営における施設管理の動向

 データセンター(以下,DC)は,サーバーやネットワーク機器などのICT装置を収容する施設で,我々の社会生活維持には欠かせない重要な社会インフラです。DX(Digital Transformation),デジタルツイン,5Gといった技術トレンドに関するデータを管理するDCが担う役割の重要性は今後も高まることが予想され,安定した運用が求められています。
 現在DCにおけるサーバールームは,大別するとICT装置やラックなどのICT側設備,電力装置・空調機・建物付帯設備などのファシリティ側設備で構成されています。従来はICT側・ファシリティ側でそれぞれの専門知識を持った管理者が個別に管理していました。しかし近年,DCサービスの処理量・処理能力の拡大やスペース効率を高めるために,ラックやICT装置の高発熱密度化が進んでおり,給電や冷却などファシリティ面での適切な対応が求められています。このように,ICT側とファシリティ側における設備相互の関係性が密接化してきており,これまでの個別管理ではDC運営業務の非効率化や品質低下を招く可能性があることから,DC全体としての適切な施設管理が課題となっています。
 こうした中,ICT側・ファシリティ側の情報を一元的に管理するツールであるDCIM(Data Center Infrastructure Management)システムが各社において開発されています文献1)。DCIMを利用することで,ICT側・ファシリティ側の情報を組み合わせた検討が可能となり,DCの運用・管理に関する効率化・品質向上が期待できます。
 しかしDCIMで統合管理したデータを分析し,DCの運用・管理の効率化・品質向上に活用した事例は少なく,多くはデータの「見える化」に留まっています。統合管理の重要性や考え方は浸透しつつあるものの,見える化以上の効果を確認した事例が多くないため,DCIMの導入は進んでいないのが現状です。
 本レポートでは,統合管理データを活用したDCの運用・管理の効率化・品質向上に貢献する分析技術にフォーカスし,DCIMのデータと機械学習を組み合わせた事例として,第2章ではサーバールームにおける省エネルギー化に資する分析,第3章ではサーバールームの高品質な施設管理に資する空調機停止時における室温の予測に関する分析を実施した例を紹介します。

テクニカルペーパーの続きをご覧いただくためには、以下から資料をダウンロードしてください。

Page Top