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Case Study

NTTファシリティーズが手掛ける大阪・関西万博NTTパビリオン:「感情を纏う建築」

2025年6月12日

NTTファシリティーズは、2025年開催の大阪・関西万博におけるNTTパビリオンの建築設計を担当しています。「感情を纏う(まとう)建築」というコンセプトで建築された展示棟は、人と自然、リアルとデジタルが心地よく共存する空間創造をめざしています。本稿では、そのポイントついてご紹介します。

パビリオンについて

NTTパビリオンは、万博会場東ゲートゾーンに最も近い場所に位置し、3つの展示棟と1つの事務所棟、計4棟からなる分棟方式で構成されています。大きなボリュームの構造物を建てるのではなく、建築と環境が溶け合うような関係性を築き、周囲にひらかれた公園のような空間をめざして建築されました。各棟がゆるくつながりながらも生態系を構成するように共存し、全体として「多様でありながら、ひとつでもある」ような空間性をデザインしています。

上空から撮影したNTTパビリオン

設計に込めた想い―人と自然とデジタルが溶け合うパビリオン―

「糸のような構造体は人が触れると音が鳴り、建物を覆う布は自然の風を受けてゆるやかに揺らめく。また建物内の来館者の感動や熱狂と呼応して布が振動することで、パビリオン全体が感情をもった生命体のようにうごめく。展示体験や広場での集い、縁側でのくつろぎ、糸の振動、布の動き、風、光、木々、デジタルによる動き、すべてが多様であり、ひとつである。」

人も自然もデジタルも多種同在な空間が可能であることを伝えたいと考えて、設計しています。

NTT PAVILION EXPO 2025 -感情を纏う建築

パビリオンの設計ポイント① 日本初カーボンファイバー構造のパビリオン

軽やかなパビリオンを支えるのは、無数のカーボンファイバーワイヤーです。無柱空間を実現しながらも、テントやサーカス小屋のような軽やかな建築をめざし、テンション構造を採用しました。これは、主要なテンション構造部材としてカーボンファイバーを採用した日本初の事例です。カーボンワイヤーを用いて建物の梁部材を吊り上げることにより、小さい部材寸法で展示空間に適した大スパン架構を実現し、総体としての鋼材量低減及び二酸化炭素低減に寄与しています。

パビリオンの設計ポイント② 建物を彩る布

―― 循環性のある植物由来の布を使用

NTTパビリオンでは、外観に軽量かつデザイン性に優れた『布』を活用しており、手作業で取り付けられた色とりどりの布が、光や風を受けて表情を変えていくように設計しました。白色を含む31色の布は、一部工程を能登半島にある中能登町の工場で製造しており、植物性由来のPLA(ポリ乳酸)を原料とした100%自然に還る素材ということで採用しています。これが、被災地の復興の一助にもなればと考えています。

植物性由来のカラフルな布が建物壁面を彩る内側の布 

紫外線をカットし日除け効果のある外側の布

―― NTTグループ社員と一緒につくる天蓋布 (会期前)

全国各地で開催されたワークショップに参加したNTTグループ社員約300名に布を編んでもらい、つなぎ合わせることで一つの大きな天蓋布とし、パビリオンのウェルカムゾーンに飾りました。「つむぐ」をキーワードにデザインしたこの天蓋には、社員が万博へはせる想い、能登半島地震の被災地支援の想いに加えて、来場者への温かなおもてなしの気持ちも込められています。

―― 来館者の子ども達がカラフルな布を建物に結びつける (会期中)

会期中、建設工程で取り付けた18万枚の布に加えて、来場する子ども達に約3万枚のカラフルな布の中から好きな色を選んでもらい、建物壁面に結び付けてもらいます。会期初期から徐々にカラフルな布が追加されていくことで、建物壁面が色づき、表情を変えていくように設計しました。子どもたちと一緒にパビリオンをつくりあげることで、会期後に建物がなくなった後も、体験として子どもたちの記憶に残り続けることをめざした取り組みです。

EXPO2025 パビリオン紹介ページはこちら

設計者紹介
  • NTTファシリティーズ
    畠山 文聡
    一級建築士。1998年にNTTファシリティーズに入社し数々のプロジェクトを統括。30代前半で自身の建築論「エスキス的空間の実現」を構築し多数の建築作品の創作を通じて「多種同在的建築空間概念」の思想哲学と実践に至る。一貫して"関係性を読み解き感受性を刺激するデザイン"による建築設計活動を行っている。
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