NTTファシリティーズ
事例紹介NTTファシティーズジャーナル
2019年11月14日

事業に直結する気候変動への取り組み
【株式会社SUBARU様】

【2020.4.8 ニュースリリース】
スマートエネルギー事業推進に向けた事業の移管について

気候変動対策はプロセスが大事 運動論として持続的に対応していく

加藤 洋一氏

―SUBARUでは,2021年度以降の環境計画「環境アクションプラン」を公表し,2030年度までに工場・オフィス等から直接排出するCO2を2016年度比で30%削減する取り組みを進めています。このような大幅削減を目指すに至った経緯・目的,気候変動対策に関する基本的な考えについてお聞かせください。

加藤:SDGsの提唱やパリ協定の締結に代表されるように,世界は今,持続可能な社会の実現を本気で目指していると認識しています。企業市民である当社として,社会の持続性に貢献していくことは当然のことと考えています。
 この基本的な考えに基づき,2021年度以降のCO2削減のあり方を検討する過程で,「従前の積上げ的な発想だけで本当に良いのか,より根本的な視点で取り組んでいくべきではないか」と議論を重ねてきました。そして「既存の取り組みでは到達し得ないかもしれないが,将来世代と真に共存できる目標を設定しよう」という未来志向的な発想へと転換し,30%削減を目指す旨を公表しました。

―30%削減というのは相当にチャレンジングな目標と思いますが,こうした目標設定をされたことで御社では何か新しい変化(ケミストリー)が起きたのでしょうか。

加藤:社会の各方面,とりわけ機関投資家の方から30%削減目標は評価頂きました。しかし社内の一部には,現実とのギャップを目の前に「できない」というムードがあったのは事実です。
 そこで1つの「仕掛け」を施しました。環境アクションプラン(図1)のロードマップのフェーズⅠに「現行計画は継続しつつ,意欲的なCO2削減を前倒しで実施する」と書いています。これは既存の枠に捉われず,まずは皆でアイデアを出し合い良いものはやってみよう,という与えられた目標を機械的に推し進めるのではない,自主的・自律的なトライ&エラーの試行期をプロセスに与えたことを意味しています。
 最初はとまどいも見受けられましたが,再生可能エネルギー設備の導入や低炭素電力の購入等のアイデアが出てくると,中にはコスト面でも優良なアイデアもあり順次実行へとつながってきています。
 こうした変化を通じて,「頭ごなしの必達ではなく,最大限の努力で当社が目指す方向」という30%削減目標の本質が,社内で徐々に理解されると共に,「志は高くする一方,ステップは最善を尽くしつつ現実的に進み,PDCAを回していけば良いのだ」といった認識も広がり好循事例紹介事業に直結する気候変動への取り組み1環が生まれつつあります。
 その成果の一つが,先日公表させて頂きました2020年度までの新たな削減取り組みです。事業で使用するエネルギーの増加傾向に対し,CO2排出量は正比例させない,できれば早期にピークアウトしていく「SUBARUらしいデカップリング」を目指していきます。気候変動に対する取り組みは,ある時点での目標の過達・未達を評価するのではなく,PDCAを回し続けながら,運動論として持続的に取り組むプロセスが非常に大事だと考えています。

コアコンピタンスに該当しない分野へも事業として取り組む

加藤 洋一氏

―ライフサイクル視点でのCO2が注目されるなか,自動車業界も車の電動化や製造工程のCO2削減等,気候変動への対応はますます重要になると思われますが,いかがでしょうか。

加藤:当社に限らず,自動車業界の商品開発において,環境性能向上のためにEVやハイブリッド等に注力することは企業のコアコンピタンスそのものです。例えば,気候関連のリスクと機会について情報開示を推奨するTCFD補助ガイダンスでは,走行中の車から排出されるCO2を含む,ライフサイクル全体のCO2排出量の開示を求めています。これは当社にとって非常に大事な課題であり,適応していくための開発はコアコンピタンスとして行います。
 他方,気候変動に対する取り組みでは,必ずしもコアコンピタンスに該当しない部分,即ち,サプライチェーン排出量*におけるスコープ1,2についてどのように取り組んでいくかも非常に大事です。当社ではこの分野に対し,自社内での取り組みだけでなく外部のリソース活用も含めて,可能なかぎりのあらゆる手段をもって,事業として取り組んでいく必要があると考えています(図2)。

―そうしたなか,NTTファシリティーズの「Fグリーン電力」を導入頂きました。どういった点が決め手になったのでしょうか。

加藤:製造現場等の大幅なCO2削減を目指すために,さらなる省エネの取り組みは必須ですが,こまめな活動の積上げ効果は全体からみると限定的な側面がありますし,現場への過度な負担をかけることになりかねません。そこで,調達するエネルギーそのものを大胆に低炭素化・脱炭素化することが重要と考えています。
 しかし,施策を実施するうえで固定費の圧力が非常にシリアスな問題となります。それを少しでも緩和する手段の1つとして,今回,再生可能エネルギー設備全般で実績のあるNTTファシリティーズにお願いすることになったのですが,Fグリーン電力の導入の決め手は,導入コストや維持管理コストの軽減だけでなく,オンサイト・オフサイトの組み合わせにより拡張性や利便性が期待できる優れた低炭素・脱炭素ソリューションという点でした。
 今回導入したFグリーン電力のCO2削減見込みは330t-CO2と決して大きくはありませんが,初導入ということもあり,今後に期待するところは大きいと思っています。

―では最後に,当社に対してこれから期待するところがあれば忌憚なくお聞かせください。

加藤:今回の導入は,持続可能な社会の実現に向けたNTTファシリティーズとの協働と思っています。環境と経済の好循環をもたらす良きベストプラクティスとして,今後も共に,持続可能な社会の形成へ貢献していけたら大変うれしく思います。

  • *サプライチェーン排出量:事業者のサプライチェーンを通じた事業活動に伴って発生する温室効果ガス(GHG)の排出量。スコープ1,2,3から構成される
  • スコープ1: 自社の工場・オフィス・車両など事業者自らによるGHGの直接排出量
  • スコープ2: 他者から供給された電気,熱・蒸気の使用に伴うGHGの間接排出量
  • スコープ3: スコープ1,2以外の間接的に排出されるGHG。原料調達,輸送,廃棄,従業員の通勤,出張等,15のカテゴリに分かれている
SUBARU
株式会社SUBARU

 旧中島飛行機株式会社を前身として1953年に設立,2017年に株式会社SUBARUへ商号を変更。“お客様第一を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指す。”を経営理念に掲げ,自動車と航空宇宙事業における魅力あるグローバルブランドを展開。
 「安心と愉しさ」を提供し続ける同社商品のファンは多く,多くのステークホルダーからの支持・共感を集めている。

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フォレスター Advance

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SUBARU BELL 412EPX(警察庁仕様・イメージ)

  • 写真:株式会社SUBARU

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