NTTファシリティーズ
FeatureNTTファシティーズジャーナル
2020年1月20日

海外の製造拠点におけるFMの展開

NSFエンゲージメントは,ソニーグループの海外の製造拠点でもファシリティマネジメント(FM)を展開しています。

課題を集約し付加価値を持った提案を実施

 環境負荷の低減をはじめ,雇用創出やワーカーの就労満足度向上などの社会的責任を果たしながら,費用対効果の高い施設運営を図る。企業に求められるこうした状況は,日本だけでなく海外でも同様です。
 ソニーグループの東南アジア地域における製造拠点はタイに3カ所,マレーシアに2カ所,インドに1カ所あり,我々はSonyTechnology(Thailand)Co.,Ltd.(STT)を拠点にして,ソニーからの指針と各拠点からの多岐にわたる課題を集約し,具現化へ向けたFMを統括して行っています(図1)。

図1 ソニーグループの東南アジア地域における製造拠点

 ソニーグループが掲げる環境負荷低減目標への対策として,SonyDeviceTechnology(Thailand)Co.,Ltd.(SDT)では半導体製作用クリーンルームの省エネ化を,STTChonburiPlantでは太陽光発電システムの導入を実施しました。
 クリーンルームの省エネ化は,品質を維持・向上させながら,エネルギーコストとCO₂排出量を約50%低減しています(図2)。導入にあたり,日本の環境技術を途上国に広げる「二国間クレジット」制度の採択を受け,環境省からの補助金を利用することでイニシャルコストを抑えています。
 太陽光発電システムの導入は,ソニーグループの海外製造拠点としては初となる取り組みで,環境負荷の低減,自家消費によるエネルギーコストの削減に加えて,タイでの税制緩和措置も受け,導入に関する付加価値を高めています(図3)。

図2 SDTにおける半導体製作用クリーンルームの省エネ化
図3 2019年4月より稼働しているSTT Chonburi Plantの太陽光発電システム

 2011年のタイ洪水以後,SDTとSTTBangkadiPlantでは,重要設備のかさ上げや,BCP策定などの水害対策を実施(図4)。あわせて電力,水道などのインフラ企業との調整も行い,水害にあった場合でも工場が稼働できる体制を構築しました。
 これらの施策を実施するためには,最新の技術動向,各拠点がある国独自の法規制や地理条件,関係者との調整,拠点間の連携,さらには国民性などの固有の事情も含めた全てに精通している必要があります。
 こうした知見やノウハウは,個人の知識や経験から醸成されることが多いのですが,迅速な課題の解決と情報共有による全体の効率化を図るため,ケース別に分類しデータベース化しています。データベース化された知見やノウハウは,現場の作業効率を向上させる付加価値を持った提案から,経営に資するファシリティの中長期計画の立案にまで活かされ,様々な場面で実効性のあるFMを展開しています。

図4 タイの拠点におけるBCPの検討事例

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