NSFエンゲージメントは，ソニーの不動産およびワークプレイス戦略として，「ワークプレイス改革」（2014～2016年）と本社ビルのリニューアルである「S-ityプロジェクト（シティプロジェクト）」（2017～2019年）を戦略から実行，運用，改善まで一貫して行っています。
相反する目的を達成した「ワークプレイス改革」
ワークプレイス改革では，賃料をはじめとする「ワークプレイスの運営コスト削減」と「社員の働きやすさの向上」という，相反する目的を達成するため，「OpenOfficePlan」と「ActivityBasedWorking」をコンセプトに，社員のコミュニケーションスタイルを本質的に変革させる「狭くなっても働きやすいオフィス」を実現しました。
社員アンケートやオフィス利用状況調査の結果から，働きやすさ向上のための最重要イシューをコミュニケーションスタイルと特定し，すぐコミュニケーションできる「迅速化」とコミュニケーションの様子が見える「見える化」を図りました。働く様子が分かって，すぐ話せる環境があれば，コミュニケーションが活性化すると睨んだからです。
具体的には，会議室を削減する一方，メイン通路沿いに利用目的や人数，シーンに応じて選べるオープンなミーティングスペースを拡充。「ファミレスブースは囲まれているので会議室代わりに使える」「会議室を予約しなくてもすぐミーティングが行える」「ミーティングが上手くいってないような時はすぐフォローできる」といった声が多く聞かれます。
またデスクスペースの見直しや収納スペースの削減により，オフィス面積を30%削減しながらも，社員アンケートでは「働きやすい」が56%，「すぐミーティングできる」が62%との結果が出ており，会議室の予約も40%減っています。コミュニケーションの活性化が促され，現在ではソニーのオフィスのスタンダードとなっています。
ワークプレイス改革 2014→2016
ソニー本社ビル
ファミレスブース
セミクローズドミーティングスペース
ソニーらしさを具現化した「S-ltyプロジェクト」
ソニー本社ビルのリニューアル「S-ityプロジェクト」では，不動産戦略としての拠点統廃合計画をベースに，ソニー内の関連部署とグループ社員を巻き込み，「ソニーの企業文化とブランド，そして，人と未来を育む『場』と『体験』づくり」をリードしました。
会社での生活を豊かにする「Wow-experience」，皆で未来を育む「Co-creation」，ソニーの魅力を伝える「Sony-engagement」をコンセプトの3本柱に据え，社員食堂にイベントスペース機能を追加した「EventCourt」，雑誌「自遊人」が経営する人気旅館「里山十帖」とコラボレーションしたカフェ「THEFARM」，ソニーの多様性を活かした社員の成長の場「PORT」，ソニーの理念・歴史から最新商品まで体験できる「HistoryWall&Lounge」を構築しました。
構築にあたっては，カスタマージャーニー（顧客が，どこで，どのような行動をとり，そこで何を体験・感じて頂くか，その一連のプロセス）の検討を通じて，ソニー本社ならではの「体験」（社員とそこを訪れる全ての人の行動・思考・感情）を具現化し，「場」に落とし込みました。
例えば，ソニーの採用面接に来た学生は，最新商品が並ぶエントランスホールに感動するでしょう。面接室のある「PORT」に上がり，そこで働く社員を眺めながら順番を待ち，aiboやPlayStation®などの人気商品をテーマにデザインされた部屋で面接を受ける。その後，エントランスホールに再び下りた時，きっと違う景色が見えているはずです。ソニーの理念や歴史，最新商品に自由に触れながら，将来の自分を想像する。ソニー本社には，ここで働きたいと思える「場」と「体験」があります。
また，2019年度グッドデザイン賞を受賞した「PORT」では，採用面接だけでなく，研修，グループディスカッション，コラボレーション，イベントまで行える環境が揃っています。ソニーグループの多様な社員が集まり，出会いが生まれ，共に学び働きながら成長する。そんなソニーの理念である「創造」と「挑戦」を実践する場と体験が，社員自らの企画・参加によって築かれています。
社員に寄り添いながら，不動産やオフィス，ファシリティ，そのサービスの戦略を企画・構築・運用・改善まで一貫してできるNSFエンゲージメントの理念や強みがソニー本社ビルに表れています。
S-ityプロジェクト 2017→2019
Event Court
THE FARM
PORT
History Wall & Lounge
最新のコラムや導入事例をメールマガジンで配信いたします。