NTTファシリティーズ
FeatureNTTファシティーズジャーナル
2020年8月21日

プロマトリックス創業以来初となる
高難易度の工事への挑戦

東南アジアのハブ拠点としてのシンガポール

 人口560万人,天然資源を持たない島国であるシンガポールは,NTTグループをはじめとする世界の主要データセンター事業者や大手ICT企業が自前のデータセンター(以下,DC)を建設・保有・運用しているほか,島の東西に陸揚げされている数々の海底ケーブルとの接続性とも相まって,世界有数のインターネットのハブ拠点として揺るぎない地位を確立しています。
 こうした中,NTTファシリティーズグループのPRO-MATRIX PTE LTD(以下,プロマトリックス) は,シンガポールのDC市場において,空調・電力(Mechanical & Electrical)分野での小~中規模の設計・施工・保守を中心とした業務で実力をつけ,業界での知名度や評価を向上させてきました。

  • *PRO-MATRIX PTE LTD:2000年に創業され,2014年よりNTTファシリティーズグループの一員となる。DCや企業のミッションクリティカルな電気・空調設備の設計,工事,保守までのサービスを一元的に提供している。シンガポールの他,インドネシアでも事業を展開中

「新築」に代わるDC建設のトレンド

 シンガポールでは昨今,DCを新築するのではなく,既設の物流倉庫を改修してDC化する工法が,工期短縮,コスト低減の観点から広く採用されています。
 アジア最大規模の不動産開発会社であるシンガポールのC社も自らが保有する物流倉庫(一部をDCとして運用中)について,敷地全体をDCとして改修する計画を立て,非常用発電設備棟の建設を含む,メイン・コントラクターを選定するための競争入札を実施しました。
 こうしたプロジェクトへ対応する場合,プロマトリックスは日系ゼネコンと共同で入札するのが常でした。しかし今回は新たなステージへのステップアップを目指して,プロマトリックス自ら建築分野も対応するメイン・コントラクターとして入札に臨むことを決意し,価格・品質・スケジュール等のプロジェクト全般を自らがコントロールする体制を整えました。
 C社の入札審査は透明かつ厳格で,価格や品質に厳しいことでも有名です。入札に際してのインタビューでは,これまでのDC業界における実績に加え,「シンガポールのスピード感・即断性と日本の勤勉性・品質追求のハイブリッド体勢」「綿密なマスタースケジュールの提案力やエンジニアリング力」をアピールしつつ粘り強く交渉しました。その結果,競合である大手企業に勝ち,受注を獲得することができ,これは業界内でも大きな話題となりました。

物流倉庫(改修前)

物流倉庫(改修前)

DC外観(改修後)

DC外観(改修後)

新たなチャレンジを完遂

 プロジェクト開始後は,初めて経験する規模,職責ということもあり,予想を超えるトラブルや困難に見舞われました。しかし,6カ国以上からなる多国籍のチームメンバーは,ワンチームとして緊密に連携し,不断の努力の結果10カ月という短納期でお客様に引渡すことができました。C社からは感謝状が贈られると共に,その後も良好な関係を築いています。
 また,初の試みとしてシンガポール政府が推進する次世代BIM活用戦略であるIDD(Integrated Digital Delivery,図)に対応し,工事中の承認図等の記録をデジタル化してクラウドの共有フォルダへ保管,3Dモデルを含む竣工図書の引渡しまで行いました。この取り組みは,新型コロナウィルス禍のテレワーク時において,他プロジェクトの図面,機器,手順書の提出・承認プロセスにも有効な手段として活用されています。

IDDの概要

IDDの概要

本プロジェクトの強みとメンバー

本プロジェクトの強みとメンバー


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