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火から化石燃料、そして…。人類とエネルギーの50万年

2017年10月11日

 人類が火と出会ってから50万年以上が過ぎようとしています。その歴史の中で、人類はエネルギーを利用しながら、急速な発展を遂げてきました。しかし、今人類とエネルギーの関係に大きな変化が起ころうとしています。その背景にある、地球温暖化とCO2との関係を明らかにするため、50万年以上にもさかのぼる人類とエネルギーとの歩みについて振り返ります。

50万年以上前の火との出会いが人類発展の契機に

 人類がはじめて手にしたエネルギー、それが「再生可能エネルギー」です。まずはその説明からはじめましょう。

 石炭、石油、ガスなどのいわゆる「化石燃料」は、太古の動植物やプランクトンが堆積し、数百万年から数億年という時間をかけて濃縮し、蓄積されたエネルギーです。これらは消費されても、それに見合う分がすぐに再生されることはありません。

 それに対して「再生可能エネルギー」は、太陽、風、雨、地下熱、植物の生育といった、さまざまな自然現象をエネルギーとして利用します。こうした自然現象は常に発生しており、繰り返し使える(=再生可能)という特徴があります。

 人類は、太古から自然現象をエネルギー源として暮らしてきました。その中で転機になったのが火の利用です。

 人類が火を利用するようになったのは50万年以上も前と考えられています。最初は薪を燃やし、暖房や料理に使っていました。これにより、人類は寒冷地まで活動範囲を広げることができるようになり、火を使って食品を加工することで効率的に栄養を摂取できるようになりました。

 さらに人類は、風や水などの自然の力も積極的に活用するようになります。自然の力によって動く帆船、風車、水車などは、人類の活動範囲をさらに向上させました。

石炭・石油の登場で産業は革命的に発展

 このように人類は、ほぼすべてのエネルギーを、今でいう再生可能エネルギーに頼っていました。ところが、薪の原料となる植物の成長スピードには限界があります。風力や水力も、天候などに左右されて常に同じというわけにはいきません。

 そうした状況を背景に、16世紀ごろから石炭が動力源として利用されるようになりました。石炭は薪に比べると同じ重量でも3~4倍の熱量を持っています。それが炭鉱で集中的に採取できることもあり、その利用は拡大。イギリスの工場では、石炭を燃料とする機械の導入が進み、産業革命へとつながっていきます。

 その後、1765年にイギリスでジェームズ・ワットが蒸気機関を発明すると、工場での動力源のほか、蒸気機関車、蒸気船などさまざまな分野に応用されるようになります。これらの発明によって、石炭の消費量は一気に増えていきました。

 やがて石炭に続いて、もう一つの化石燃料である石油が普及します。石油は石炭よりもさらに熱量が高く、液体であるため使い勝手がよいという特徴があります。そんな中、1859年にアメリカで新しい採掘方式が開発され、石油の大量供給が可能になりました。さらに、1950年代になると、中東やアフリカで大油田が発見され、エネルギーの主役は石炭から石油へと移っていきます。

 こうして、化石燃料の消費量は加速度的に拡大していきました。

「最大4.8度上昇」二酸化炭素濃度の増加がもたらした地球温暖化

 1970年代になると、科学者たちの間で地球温暖化が深刻な問題として注目されるようになりました。そして1985年、オーストリアで開催された地球温暖化に関する初めての世界会議(フィラハ会議)で、二酸化炭素を原因とする地球温暖化の問題が大きくとりあげられます。

 なぜ地球は温暖化したのでしょうか。地球を取り巻く大気中の二酸化炭素、メタンなどの気体は、太陽光線のほとんどを地上へ通過させる一方、地表面から放射される熱を吸収し、地表面に再放射することによって、地球の平均気温を保つ役割を果たしています。そのため、こうした気体は「温室効果ガス」と呼ばれます。

 これまでは、この温室効果ガスによって地球の温度は適度に保たれてきました。ところが、化石燃料を大量に消費したことで、その燃焼時に発生する二酸化炭素の濃度が増加。それによって温室効果ガスによる熱の吸収が増えた結果、気温が上昇するようになりました。これが地球温暖化です。

 この問題を解決すべく、1988 年に、地球温暖化に関する最新の科学的な研究成果を整理・評価するための組織「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が設立されます。2014年に、IPCCは、最悪のシナリオの場合、2100年の地球の平均気温は現在よりも最大4.8度も上昇するという予測を発表します。

日本政府も経済界も目指すのはCO2排出量の削減

 こうした状況を受けて、地球温暖化問題に対処するための国際的な条約が必要だという声が高まる中で、再び再生可能エネルギーが脚光を浴びるようになります。

 1997年に開催された「国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)」では、「京都議定書」が採択されました。これは、法的拘束力を持って、メンバー各国に地球温暖化ガスの排出量を制限させるというものでした。

 また、2015年の「気候変動に関する国際連合枠組み条約第21回締約国会議(COP21)」では、「パリ協定」が採択。ここでは目標として、世界の平均気温の上昇を産業革命前の2度未満に抑え、21世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることが定められました。この「パリ協定」発効後、化石燃料と比べて圧倒的にCO2の排出量が少ない、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた動きが加速しています。

 世界の機関投資家を代表して、企業の気候変動に関する取り組みを評価する指標「CDP」や、市場から温暖化対策や環境プロジェクトなどの資金を調達するために発行される債券「グリーンボンド」などは、そうした動きの一例です。

 このように人類は50万年以上におよぶ歩みの中で、主たるエネルギーを変えながら、発展を遂げてきました。そして、地球温暖化が未来に影がさす今、化石燃料からの転換が求められているのです。

 次回は、日本が目指すエネルギーのベストミックスの実態を明らかにするべく、各種再生可能エネルギーの特徴や最新動向に迫ります。

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