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ヒマラヤ登山に学ぶ、高みを目指すセルフマネジメント

2018年2月7日

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 標高8,000メートル、それは生物の生存を拒む、地球上で最も過酷な場所の1つです。ヒマラヤ山脈は、そんな8,000メートルクラスの山々が並びます。地球上で最も過酷な場所ともいうべきヒマラヤの山を制するために、登山家たちはどのように準備を行うのでしょうか。極限の挑戦に必要なセルフマネジメントについて紹介します。

8,000メートルクラスの山々も事前準備の一歩から

 ヒマラヤ山脈は、ブータン、中国、インド、ネパール、パキスタンの5つの国にまたがり、8,000メートルクラスの山が14も並びます。

 その中でも、エベレスト(チベット語ではチョモランマ)は、世界最高峰の8,848メートルを誇る山として知られています。

 世界中の登山家が古くからヒマラヤの山々に魅了され、20世紀に入ると7,000メートル級の登頂に成功するようになりました。人類は8,000メートル級の山も、1950年のフランス隊によるアンナプルナ登頂を皮切りに、14座すべてを制覇しています。

 その中でエベレストには、1953年にイギリス探検隊のメンバーでニュージーランド出身の登山家エドモンド・ヒラリーと、ネパールの少数民族であるシェルパ出身のテンジン・ノルゲイが初登頂に成功しています。

 こうした歴史的な登頂の前には、それをはるかに上回る失敗の数々が横たわっています。ヒマラヤ登山とは、それほど厳しいものなのです。

 それだけにヒマラヤにチャレンジする登山家たちは、事前に入念な準備を行います。具体的な準備として、装備はもちろん、登山技術の向上や体力づくりのためのトレーニング、ルートや天候に関する知識の習得など、ありとあらゆる範囲に及びます。

合計20キロ!過酷な環境に耐える重装備の中身

 ヒマラヤの山々に登るとなれば、あらゆる場面を想定した万全の装備が求められます。

 気温を1つとってみても平地とは全く異なります。8,000メートルを超えた場所ではマイナス30度を下回ることもあるため、身に着けるものは極寒の環境に適したスペックでなければいけません。

 高所を登るときには、身体を冷やさないようにダウンの入ったつなぎの服が使われています。一方で、保温性の高いアウターを着ていると行動中に汗をかきやすくなります。汗は体温を急激に奪っていきますので、その対策としてインナーには吸水性や速乾性のある化学繊維のものを選ぶ必要があります。

 登山靴もインナーとアウターが分れて二重、三重になった保温性の高いものを用意しなければいけません。さらに、雪の積もった険しい斜面を歩くための対策も重要です。その対策として、滑り止めとして靴底に金属製の爪を装着します。この爪がなければ急な雪上を満足に歩くことができないため、8,000メートルクラスの山を登る際には、最も重要な登山用具といっても過言ではないでしょう。

 それ以外にも、強風にも負けない丈夫なテント、防水性能を持つ寝袋あるいは寝袋カバー、ベースキャンプなどと連絡を取る無線機、高度計、コンパス、地図なども必要で、空気の薄い高所の登山だけに、酸素ボンベも背負わなければ登頂できません。そのため、エベレストの最終キャンプ地から頂上にアタックする際の装備の重量だけでも、合計20キログラム前後にもなります。その重みが登山家のリスクを軽減し、山頂に近づけるのです。

 あらゆる場面を想定し、いかなる場面にも対応できるように備えること。それは、ビジネス環境がダイナミックに変化する昨今、企業経営においても大切なことといえるでしょう。

街歩きからはじまるヒマラヤ登山

 装備が揃えば、いざヒマラヤ登山。というわけにはいきません。

 何しろ、重い装備を背負って8,000メートルクラスの山を登るのですから、強靭な体力が求められます。そこで登山家は、早いうちから計画的にトレーニングを実施します。

 最も効果的なトレーニング法は、体に負荷をかけて歩くことです。例えば、通勤・通学の際に、足首に訓練用の重しを巻き、重いリュックサックを背負って歩くようにします。最初は軽い重しやリュックサックから始めて、徐々に負荷を強くしていきます。

 80歳でエベレスト登頂に成功したプロスキーヤーの三浦雄一郎さんも、片足に5キログラムずつの重りを装着し、背中に20キログラムのリュックサックを背負って街中を歩き回るような訓練によって、体力をつけたそうです。

 トレーニングするのは、体力面だけに限りません。ヒマラヤ登山では、高山病対策も必要になります。エベレスト頂上では空気中の酸素は、平地の3分の1程度しかありません。それによって血液中にあるヘモグロビンの割合が低下し、足のむくみ、めまい、体のだるさ、吐き気、頭痛などの症状が現れます。

 高山病を防ぐには、高所に慣れておくことが一番です。日本であれば、富士登山が有効なトレーニングになります。富士山頂の酸素はエベレストほどではありませんが、平地の3分の2程度とかなりの少なさです。そこに何度も登ることで、徐々に体が高所に順応していきます。

 こうした高所登山における段階を経たトレーニング方法は、ビジネスにおいても示唆に富むものでしょう。登山でもビジネスでも高みを目指すのであれば、日頃からコツコツと準備を整え、スキルを磨く必要があります。

 そのためには、セルフマネジメントの能力が求められます。自分に甘えてトレーニングで手を抜いたり、準備を怠れば成功は見込めないでしょう。きちんとした計画を立て、自分に妥協せずにそれを実行しなければいけません。それが目標達成の条件になります。目指す目標が大きければ大きいほど、徹底したセルフマネジメントの重要性が増すのです。

 次回は、ヒマラヤ登山におけるチームマネジメントについて紹介します。

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