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現代社会を陰から支える「移動電源車」とは

2018年5月30日

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 移動電源車という車をご存知でしょうか。日常生活の中で、あまり耳にする機会のない車かもしれません。しかし、その用途は広範囲に及び、オフィスビルからデータセンター、空港、野外コンサートなど、電気の欠かせない現代人の日常を陰から支えています。ICT活用が進む中で、さらに存在感を増す移動電源車の全貌を明らかにします。

野外コンサートなど実は多彩な利用シーン

 移動電源車とは、電力を供給する機能を持った移動式の自家発電装置を搭載した車です。

 その車体には、トラックやトレーラーに発電機とそれを回すためのエンジン、給電が必要な施設に電源をつなぐためのケーブルなどを装備し、必要に応じて電源を供給します。大型のものになると非常に重量があるため、停車中にタイヤが破損しないようジャッキを装備して車体を持ち上げておくこともあります。

 そんな移動電源車の利用シーンは多岐にわたり、私たちの暮らしにも密接に関わっています。

 例えば、計画停電時の電源確保。ビル内で電源設備を点検する際、あるいは電力会社が行う配電線の工事などでは、一度電気をとめて作業する必要があります。計画停電が実施されれば、日常生活やビジネスに支障が出ることもあるでしょう。それに備えて、あらかじめ移動電源車を手配しておけば、停電時でも電源が確保できます。また、UPS(無停電電源装置)の更改にも有効です。

 移動電源車は空港にも配備されています。航空機のメインエンジンの起動には電力が必要なため、移動電源車が飛行機のそばまで行って電力を供給します。また、駐機中の飛行機のエアコン、照明などの電源としても、移動電源車が使われることがあります。

 意外なところでは、野外フェスティバルなどでも移動電源車が活躍している場合もあります。コンサートでは多くの電力が必要になりますが、野外の会場では十分な電源がないケースがほとんどです。そこで、移動電源車が現地に駆けつけて、必要な電力を供給します。

 このように移動電源車は、私たちの生活の様々な場面を陰から支えてくれているのです。

通信の復旧を支えた震災時の活躍

 移動電源車が大きな注目を浴びたのが、2011年3月11日に発生した東日本大震災です。

 被災地では多くの通信設備が、商用電源の途絶により機能を停止しました。それによって、被災状況や安否情報、震災情報などの確認ができない状態に陥ってしまいました。その早期復旧に一役買ったのが移動電源車です。

 通信事業者各社は、震災当日に移動電源車を派遣するなどして電源確保に努め、その結果、通信サービスは順次復旧していきました。配備した移動電源車の数は100台を超えたといいます。移動電源車がなければ、復旧はさらに遅れていたに違いありません。

 こうした状況が広く知れ渡り、移動電源車が社会で果たす役割の大きさが再認識されるようになりました。震災を教訓に、総務省は災害時の通信確保を支援するため、全国9カ所の総合通信局に通信移動電源車を配備するべく取り組んでいます。配備された移動電源車を地方公共団体や通信事業者へ貸与する計画です。

 通信事業者各社も、独自に移動電源車の配備を強化しています。各社は従来から移動電源車を導入していましたが、東日本大震災をきっかけに大幅に導入台数を拡大しました。緊急時にはすぐに現地へ駆けつけて、自社通信設備などの電力を確保する狙いです。

 また、移動電源車自体も、震災を教訓に進化を遂げています。土砂崩れなどにより車が通ることが困難となった悪路でも走行できる装置を装備した移動電源車。災害に強いとされるLPガスを燃料にした発電機を搭載した移動電源車。大容量の発電を可能にするため、航空機転用型ガスタービンを搭載した大型の移動電源車などがあります。

 これらの新たな移動電源車は、今後起こりうる様々な災害などの現場で、大きな力を発揮することでしょう。

情報化社会に移動電源車が欠かせない理由

 移動電源車が注目される背景には、ICT化が進む社会の状況もあります。

 ICT化された事業は止まらないことを要求されます。データセンターなどは、24時間365日、監視、保守、運用などが継続して実施されなければいけません。また、基幹業務などに使用されるシステムが入った建物も、電源が供給されないことによる障害や誤作動などは許されません。

 これらの設備やシステムが停止すれば、大きなトラブルが生じ、様々な事業に影響が出ることは明白です。移動電源車の配備が進むことで、電源障害の際にも速やかに対処することが可能となります。

 こうして社会の変化とともに、移動電源車は大きく進化しています。移動電源車の利用シーンは幅広く、今後もますます活躍の場が広がっていくはずです。

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