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脱FITへ!太陽光発電に広がる新たな可能性

2018年6月20日

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 前回紹介したとおり、「固定価格買取制度(FIT)」の売電価格が下がり続けています。その一方で、太陽光発電に対する新たなニーズも生まれており、“脱FIT”に向けた動きも着々と進んでいます。太陽光発電は、これまでのFITに頼った売電型のビジネスモデルから離れ、どこに向かうのでしょうか。「自家消費」と「グリーン電力」というキーワードから、“脱FIT”の可能性を探ります。

“脱FIT”を考える上で重要な2つのキーワード

 FITによる売電価格は年々下がっており、これまで主流だった売電型のビジネスモデルは採算を確保することが徐々に難しくなっています。だからといって、太陽光発電の普及がここで終わってしまうわけではありません。

 地球温暖化は、いまや世界規模で取り組むべき喫緊の課題です。そのために、日本政府は太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーを将来の主力電源と位置づけ、その比率を2030年度には22~24%程度まで引き上げる予定です。これは2016年度比で約3倍にもなります。

 さらに、脱炭素に対する取り組みが世界規模で進む中、消費者や投資家たちの意識も変化をしています。そうした変化に応えようと、太陽光発電の活用に積極的な企業も増えているのです。

 企業が太陽光発電の活用を進めるためには、FITに頼らないビジネスモデルを検討する必要があります。そのヒントになりそうなのが、「自家消費」と「グリーン電力」という2つのキーワードです。この2つから、脱FITの新しいビジネスモデルを考えてみましょう。

ブランドイメージを高める「自家消費」

 太陽光発電の拡大とともに、自社の建物や工場、駐車場の屋根などの空きスペースを有効に活用して、発電を行う企業が増えています。そうした自社敷地内に太陽光発電を設け、そこでつくった電力を自ら使用するのが「自家消費」です。

 太陽光発電は化石燃料を使った発電方法と違い、電力を生み出す過程でCO2を発生させません。このようなエネルギーを企業が使うことで、環境に配慮する姿勢を消費者や投資家に示し、ブランドイメージを向上させることが可能です。

 近年注目を集めているプロジェクト「RE100」への参加を考える上でも、自家消費は有効です。RE100は「Renewable Energy 100%」の略で、日本語にすると「再生可能エネルギー100%」。事業運営で使う電力の100%を再生可能エネルギーにすることを目指す取り組みで、世界の名だたる企業が参加を競っています。

 その再生可能エネルギーの使用には厳しいルールがあります。後述しますが再生可能エネルギーによる電力でも認定を受けられないものもあるのです。ですが、自家消費した分は問題なく認定を受けることができます。

RE100やSBTにも活用できる「グリーン電力」

 「グリーン電力」を活用するビジネスモデルも今後の成長が待たれています。グリーン電力は、再生可能エネルギーを使ってつくられた電力のことです。その市場は、太陽光発電に支えられ、新たなビジネスモデルを生み出しています。

 RE100への参加を目指す企業は、FITによって買い取られた、いわゆる「FIT電気」よりも、「グリーン電力」の活用を中心に考えています。なぜなら、FIT電気は、そのコストを国民が賦課金として負担していることから、RE100の目標達成には使うことができないのです。一方、「グリーン電力」であれば、RE100の認定を受けることができます。

 RE100と並び注目されている、国際イニシアティブ「SBT(Science Based Targets)」への参加を考える企業にとっても、グリーン電力の活用は欠かせません。SBTは、企業に対し、科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出量削減目標を設けることを求めるものです。そこでは、サプライチェーン全体の排出量が対象となっており、全てを自家消費でまかなおうとすると負担が大きくなってしまいます。そのため、自家消費とグリーン電力を上手に組み合わせ、再生可能エネルギーを効率的に活用する必要性が生まれているのです。

 そうしたニーズに応えるべく、グリーン電力を活用したビジネスモデルも多様化しています。

 グリーン電力の調達方法としては、利用企業と発電事業者が電力購入契約(PPA)を結び、再生可能エネルギーからつくられた電力を直接購入するのが一般的でした。ここ数年で、再生可能エネルギーを活用したい企業が発電事業者に、自社の遊休地や建物の屋根を借し、そこに太陽光発電設備を設置。そこで、発電した電力を遊休地の所有者である企業が使用するという、ビジネスモデルも増えてきています。

 このように、太陽光発電業界では、売電価格の低下とともに、FITの次を模索する動きが続いています。その中で、脱炭素化やRE100、SBTといった盛り上がりを受け、次々と生まれている太陽光発電の対する新たなニーズとビジネスモデル。それらが太陽光発電の可能性を明るく照らしているのです。

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