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平成18年6月5日

株式会社NTTファシリティーズ

業界初、据置用リチウムイオン二次電池を適用した
無線基地局用電源システムを開発
~リチウムイオン二次電池の適用により
バックアップ時間の延長と省スペース化を実現~


 株式会社 NTTファシリティーズ(代表取締役社長 森勇)は、据置用リチウムイオン二次電池*1を適用しバックアップ時間を従来品の約2倍に延長した無線基地局用電源システムを開発し、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ九州の無線基地局(福岡地区)でフィールド試験を6月上旬より開始いたします。

今回開発した電源システムの外観写真

1.開発の背景
   今日の高度に情報化された社会において、情報通信システムに用いられるIT装置の高消費電力化、高密度実装化が進展しています。よって、従来からIT装置のバックアップ用として使用されていた鉛蓄電池では、十分なバックアップ時間を確保するための設置スペースの確保が難しい状況となっています。このようなことから、エネルギー密度の高い電池の適用による電源システムの小型化・軽量化が求められていました。
 このたび、NTTファシリティーズでは、このような要求に応え、高エネルギー密度の据置用リチウムイオン二次電池を搭載した電源システムを開発し、フィールド試験を開始いたします。

2.開発技術のポイント
 リチウムイオン二次電池は、「高いエネルギー密度」「高電圧」「大電流放電が可能」「メモリー効果*2がない」「環境負荷が小さい」といった特徴を有しています。しかし、これまでリチウムイオン二次電池は、携帯機器などで、小さい容量の電池が単独、もしくは数個を直列に接続した状態で使用され、使用形態も、充電・放電を繰り返すサイクル用途でした。一方、通信用電源システムでは大容量の電池が10個以上直列接続された状態で、常時、充電状態で維持され、非常時に放電するバックアップ用途で用いられます。このため、サイクル用途とは異なり、常時充電器に接続され充電状態に維持されています。
 そこで、大容量のリチウムイオン二次電池を複数個直列接続した組電池を充電器に接続した状態で、長期間安定して使用するため、以下のような制御方法を適用しました。
  (1) 電池電圧の均等化
    長期間の使用により、直列に接続している個々の電池の特性が変化して各電池の電圧にバラツキが発生する恐れがあります。電池電圧のバラツキは、バックアップ時間の低下を招くので、個々の電池の電圧を均一化するため、大容量電池用の電圧調整回路を開発し適用しています。
  (2) 過充電の防止
    過充電を行うと、寿命やバックアップ時間の低下の恐れがあるので、据置用リチウムイオン二次電池の特性を最大に引き出すために選定されている適正な充電電圧で使用し、上限電圧を超えないようにします。
  (3) 過放電の防止
    放電終止電圧を超えて深く放電すると、電池が回復不能なまでに劣化する恐れがあります。そこで、電池電圧の低下を監視し、放電を終了させます。

3.電源システムの特徴
 今回のシステムには、単電池容量80Ahの据置用リチウムイオン二次電池を使用しています。このリチウムイオン二次電池の適用により以下のような特徴が実現できました。
  (1) エネルギー高密度化によりバックアップ時間が延長
    リチウムイオン二次電池は、鉛蓄電池と比べ体積・重量比ともに約3倍のエネルギー密度を有しており、従来の鉛蓄電池を使用した電源システムと比較し、バックアップ時間が約2倍に向上しました。(約3時間→約6時間)
  (2) 小型化・軽量化により省スペース化を実現
    従来の鉛蓄電池を使用した電源システムと比較し、同一バックアップ時間(6時間)のシステムで比較して約50%の小型化・軽量化を実現しました。
  (3) 鉛フリーの環境対応を実現
    鉛蓄電池に代わってリチウムイオン電池を使用し、地球環境保護への対応を図りました。また充電時の発熱もなく充放電効率もほぼ100%です。

4.今後の展開
 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ九州の無線基地局(福岡地区)で、フィールド試験を2年程度実施し、商品化に向けて検討していきます。

用語説明
*1 リチウムイオン二次電池
正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う二次電池。現在実用化されている二次電池では最もエネルギー密度が高く、ノートパソコンや携帯電話などの携帯機器用として普及している。
  *2 メモリー効果
ニッケル・カドミウム電池やニッケル・水素電池を使い切らない状態で継ぎ足し充電を繰り返し行うと、容量が残っているにもかかわらず放電電圧が低下し、結果として見かけの容量が低下する現象。完全に放電するとこの現象は回復する。リチウムイオン二次電池や鉛電池ではメモリー効果の影響はないといわれている。

【本件に関する報道機関からのお問合せ先】
NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp

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予告なしに変更する場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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