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2013年10月1日

独自開発した低コスト地震対応型加速度センサーによる建物安全度判定サポートシステム『揺れモニ』のサービス開始について

 株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長 筒井 清志、東京都港区、以下NTTファシリティーズ)は、地震時のビル管理者への支援や帰宅困難者への対策支援となる、地震直後の建物の継続使用に関する情報(安全度)を提示できるシステム『揺れモニ』の販売を2013年10月1日から開始します。本システムには当社が独自開発した地震対応型加速度センサーが導入されており、センサーのデータを独自の方法で解析することにより建物の安全度を判定します。これにより、他社従来品と比べ低コストかつ判定精度の高いシステムを提供することが可能となり、ビルを継続使用できるかどうかをビルオーナーから各テナントへ、地震直後にお伝えすることが可能となります。

1.背景

 東日本大震災時には、首都圏や大阪などの高層ビルが長い時間にわたり大きく揺れました。このため、倒壊の危険性がなく継続使用に問題のない多くのビルにおいて各テナントからビル管理者に対しビルの継続使用可否に関する問い合わせが殺到し、ビルオーナーは問い合わせへの回答の根拠とする建物の被害状況調査に多大なコストと時間を費やしました。
 このような経験から、ビルオーナーの中では地震直後に建物被災度や継続使用を判定できる建物被災度判定システム導入のニーズが高まっていますが、従来の建物被災度判定システムは高額で導入しづらく、さらにビルの振動解析モデルがないと導入できないため、建築基準法により振動解析モデルの策定が建設時に義務付けられていない建物高さ60m未満のビルについては、建物被災度判定システムの導入が困難でした。
 また、東京都帰宅困難者対策条例(2013年4月1日施行)によれば、都は災害時の一斉帰宅の抑制を推進しており、災害時には都内のオフィスビルにおいては従業員等がビル内で待機することが望まれています。この場合、耐震性の高いビルであることが明確であったとしても、揺れの程度によってはビル内の従業員等がパニックになる可能性は高く、迅速なビルの継続使用に関する情報は、避難対策の実施や応急復旧の指示等の重要な支援要素になると考えられ、より多くのビルへの建物被災度判定システムの導入が求められています。
 このたび、NTTファシリティーズは、これらのニーズに応える低コストかつビル振動解析モデルがなくても導入可能な建物安全度判定サポートシステム『揺れモニ』を開発、販売を開始します。本システムにより今まで導入が出来なかった中層~60mまでのビルに建物被災度を判定するシステムの導入が可能となるほか、独自開発した地震対応型加速度センサーを用いることにより低コストでのシステムの導入が可能となり、より多くのビルオーナーの調査対応費等を削減し、テナントへの高品質な安全・安心をご提供することが可能となりました。

2.システム概要

 建物の全層にセンサーを設置することにより、加速度データを取得し、独自のシステム解析によって、地震時における固有周期・傾斜・層間変形角を求め、建物の継続使用を評価します。継続使用の可能性は青・黄・赤に分かれており、次に行う行動のコメント*1とともに、建物継続使用情報*2として一目で確認することができます。更に、本システムは地震時でも情報を提供し続けるために下記の対策を行っています。

  1. ①センサーにバッテリー(約3時間)を内蔵することで、商用電源が供給されない状況下においても稼働。
    LAN配線の損傷等により通信不通になった場合でも、データはセンサー内のメモリーに蓄積。
  2. ②振動や衝撃に強いSSD*3タイプのPCを採用。
    これらの対策により、地震時における高い信頼性を確保しています。
図1.システム構成概要
図1.システム構成概要
図2.PC画面イメージ
図2.PC画面イメージ
※図をクリックすると、拡大表示でご覧になれます。

3.特長

1)判定精度が高く、他社従来品では導入出来なかった建物高さ40(10階建相当)~60mのビルも判定可能

 他社従来品の「被災度判定システム」は、地震計を3~7層ごとに設置し、地震計が設置されていない階に対して、振動解析モデルを用いることで、地震による揺れを推定する手法をとっています。この手法は、振動解析モデルが無いと判定できません。従って、建設時に振動解析モデルを必要とする建物高さ60m以上の建物に用いることは可能ですが、建設時に振動解析モデルを基本的に必要としない建物高さ40m程度(10階建相当)のビルには、ほとんど導入されていません。(当社調べ)
 NTTファシリティーズが開発した『揺れモニ』は、独自開発した地震対応型加速度センサーを全層に設置することにより、振動解析モデルを用いず、全センサーのデータを直接解析することで、より精度の高い継続使用に関する情報を提示でき、建物高さ40m程度(10階建相当)のビルから導入可能となりました。

2)システム構築価格の低コスト化を実現(他社従来品の約2~3割のコスト低減)

 他社従来品は高額な地震計と振動解析モデルを用いた判定手法のためシステム構築価格が高額でした。NTTファシリティーズは、MEMS*4を用いた地震対応型加速度センサーを独自開発することで、システム構築価格の低コスト化を実現。他社の同等製品に対して2~3割のコスト低減(当社調べ)となっています。さらに、長周期地震動の計測が困難と指摘されていたMEMSの加速度センサーについての課題も解決し、NTTファシリティーズ保有の3次元振動台『DUAL FORCE』*5を駆使することで、性能検証を行っています。

3)FOC(ファシリティーズオペレーションセンタ)によるシステムのワンストップサポート

 発生予測不可能な地震に対し、システムの信頼性を維持するため、NTTファシリティーズはお客様設備の監視拠点であるFOCでセンサーおよび解析用PCの常時監視を行い、現場メンテナンス部門と連携した故障発生時の駆付け修理から定期メンテナンスまでワンストップでサポートします。

FOC(ファシリティーズオペレーションセンタ)
FOC(ファシリティーズオペレーションセンタ)イメージ

4.今後の展開

 本サービスは、オフィスビルや公共施設等への導入を中心に年間50棟の導入を目標とします。NTTファシリティーズは、今後発生すると言われている首都直下地震や東海・東南海地震等の災害対策に対して、幅広く支援し、Smart&Safetyな街づくりに貢献したいと考えています。

用語説明

*1 行動のコメント
本システムを導入頂いたお客様と協議の上で、お客様ごとの災害時対応方針に沿ったコメントを提示できるようにします。
*2 建物継続使用情報
建物が継続使用できるかどうかを判断する情報。解析により得られた層間変形角を基に、継続使用の可能性の高い方から、青・黄・赤で評価します。固有周期および傾斜は、この継続使用の可能性をより詳細に検討する場合に用います。
*3 SSD(Solid State Drive)
HDDの代わりとなる記憶装置。ディスクにデータを書き込むHDDと異なり、フラッシュメモリに電気信号によりデータを書き込むため、記憶時に物理的な接触がありません。
*4 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)
シリコンなどの電子基盤上に、極小のばねや振り子などの機械素子のほか、鏡などの光素子を搭載した複合部品。
*5 DUAL FORCE
当社の3次元振動台です。下記サイトをご参照ください。
http://www.ntt-f.co.jp/news/heisei22/h22-0524_2.html
本件に関するお問い合わせ先
報道機関からのお問い合わせ
NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp
一般のお客様からのお問い合わせ
コンタクトセンタ 0120-72-73-74
午前9時~午後5時(土・日・祝日はのぞきます)

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