「建物の省エネ化が、光熱費削削減、環境負荷削減だけではなく、働く人の生産性や健康などさまざまな効果にもつながり、その価値を金額(円)で示せるのがNEBs(ネブズ) ※。なるほど、それは画期的だ。」
前回のコラムなどを通じて、NEBs の魅力に気づいてくださった方も多いかもしれません。しかし、同時にこんな疑問が湧いてきていませんか?
「心地よさやレジリエンスが『円』になるのは分かった。でも、その算定には一体どんなデータが必要なのだろう?」
そう、これは NEBs に興味を持った実務担当者の方が、最初に抱くもっともな疑問です。「目に見えない価値」を計算するとなると、なんだか特殊で複雑なデータをたくさん集めなければならないように感じますよね。
今回のコラムでは、そんな NEBs 算定の「データ」に関する不安や疑問を解消し、導入に向けた具体的なステップを分かりやすく解説していきます。
NEBs(Non-Energy Benefits)とは?
省エネなどによって得られる光熱費削減(エネルギーベネフィット)に対し、それに伴って生まれる知的生産性の向上や健康増進、企業ブランド価値の向上といった副次的な価値(ノン・エネルギー・ベネフィット)のことです。NTTファシリティーズでは、この NEBs を金額として可視化する独自の評価指標を開発しています。
実は、「すでにあるデータ」から始められる NEBs の算定
NEBs の算定、と聞くと、どのようなイメージが浮かぶでしょうか。
「社員一人ひとりの健康状態を毎日モニタリングするような、最新の IoT 機器を導入しないとダメ?」
「従業員のプライベートにも関わるような、人事部の機密データをすべて提出しないといけないの?」
「専門のコンサルタントに何ヶ月も調査を依頼して、膨大なレポートを作成する必要がある?」
こうした不安から、「なんだか大変そうだ」「うちの会社では無理かもしれない」と、導入のハードルを高く感じてしまう方は少なくありません。
しかし、どうぞご安心ください。
実は、NEBs 算定の基礎となるのは、多くの企業が日々の業務の中で、すでに取得・管理している「ごく一般的なデータ」なのです。
もちろん、より詳細なデータを活用したり、従業員へのアンケート調査などを実施したりすることで、算定の精度をさらに高めることは可能です。 しかし、最初のステップとして「自社の建物に眠る価値の輪郭」を掴むだけであれば、完璧なデータは必要ありません。
では、具体的にどのようなデータがあればよいのでしょうか。次の章で見ていきましょう。
NEBs 算定で活用するデータ
NEBs の算定は、実は、「建物」に関するデータがあれば算定が可能です。いずれのデータも、総務・ファシリティ部門の方が保管している情報で確認できるものがほとんどです。
・延床面積(m²)
・収容人数
・ZEB 性能
・建物の構造
・主な設備の概要(騒音レベル、照度、室温など)
いかがでしょうか?「なんだ、うちにもあるデータばかりだ」と感じた方も多いのではないでしょうか。
そう、NEBs 算定は、決してゼロから何かを計測し始めるのではなく、まず「すでにあるものを活用する」ことからスタートできるのです。
算定開始に向けた「かんたん 3 ステップ」
「手元にあるデータで算定できるのは分かった。じゃあ、次は何をすればいいの?」
そんな方のために、NEBs 導入に向けた具体的な 3 つのステップをご紹介します。
ステップ①:まずは「あるもの探し」。手元の基礎データを集めてみよう
最初の一歩は、社内にあるデータを整理してみることです。前章でご紹介した「建物」「エネルギー」「従業員」に関するデータが、どこにあるかを確認してみましょう。
総務、経理、人事といった各部門に散らばっている情報を、まずはリストアップするだけでも構いません。「このデータならすぐに用意できる」「この情報は少し確認が必要そうだ」といった現状を把握することが、次のアクションにつながる重要な準備運動になります。
ステップ②:「足りない」は気にしない。標準値・デフォルト値を活用しよう
データを探し始めると、必ず「この項目だけデータがない」「古い情報しか見つからない」といった壁に突き当たります。
しかし、そこで諦める必要はありません。
NEBs の評価ロジックでは、データが不足している項目について、NTTファシリティーズが持つ豊富な実績や各種統計に基づいた「標準値(デフォルト値)」を用いて補完することが可能です。
例えば、「従業員の平均的な欠勤日数が正確に分からない」という場合でも、業種や企業規模に応じた一般的な数値を適用して、一旦シミュレーションを行うことができます。
「完璧なデータが揃わないと算定できない」のではなく、「今あるデータだけでも算定は始められる」というのが、NEBsの大きな特徴なのです。
ステップ③:「輪郭」を掴む。簡易算定を実行しよう
手元にある程度のデータが集まり、足りない部分が明確になったら、いよいよ算定を実行してみましょう。
NTT ファシリティーズは、「NEBs ポータル」にて、算定ツールを提供しています。簡易版なら、誰でも登録不要、無料でいつでも簡単に NEBs の算定を行うことができます。ぜひお気軽にご活用ください。
NEBs ポータル
「NEBs ポータルサイト」を公開 算定ツール・活用事例を提供し、建物の脱炭素化を後押し
また、より精緻な算定を行いたい方向けには、標準版を提供しています。標準版の活用により、実際の建物に基づく、より幅広い算定が可能です。
この算定結果は、経営層に NEBs の導入を提案する際の、非常に強力な説得材料になります。「わが社のビルには、光熱費削減以外にこれだけの潜在価値がある」という客観的な事実を示すことで、本格的な算定や、さらなるオフィス環境改善への投資に向けた議論を、一気に加速させることができるでしょう。
さあ、あなたの会社の「見えない価値」を描こう
NEBs の算定は、決して完成図のわからない難解なパズルを一度に完成させるような難しいことではありません。
まずは、手元のピース(既存データ)を確認し、マニュアル(NEBs 算定)の手順に沿って、端からいくつかピースをはめてみる。すると、どんな絵柄(企業価値)現れてきそうかが見えてくる。そんなイメージに近いのかもしれません。
最初から完璧なデータや最新の設備が揃っていなくても、NEBs の算定は始められます。
自社の建物に眠る『見えない価値』の輪郭を掴む第一歩を踏み出してみませんか?
私たちは、その旅の頼れるパートナーとして、皆さんの挑戦を全力でサポートします。どうぞ、お気軽にお声がけください。