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ビジネスコラム

選択肢として考えるコンストラクションマネジメント

2018年10月3日

 現在の建設プロジェクトが抱える課題を解決するため、「コンストラクションマネジメント(CM)」という管理手法を活用する事例が増えています。CM方式を選択肢も視野に入れることで、発注者はより自らのプロジェクトの事情にあった手法を選択することができます。では、CM方式にはどのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、CM方式と一括発注方式を比較しながら、その特徴ついて解説します。

ピュアとアットリスクで異なるCMの体制

 CM方式の特徴は、建設プロジェクトの体制にあります。日本では一般的な「ピュアCM方式」、そして、発注者のリスクをカバーしてくれる「アットリスクCM方式」という2つのCM方式の体制を、一括発注方式と比較してみましょう。

 従来の一括発注方式では、前回も紹介したとおり、発注者は設計段階で設計者と契約し、施工段階では、元請となる総合工事企業と直接契約します。その下請として、電気設備、空調、鉄筋、内装などの作業を受け持つ専門工事企業と間接的に契約します。

 「ピュアCM方式」は、発注者が設計者と契約するところまでは一括発注方式と同じです。しかし、施工段階で、発注者は総合工事企業とではなく、複数の専門工事企業と直接契約します。さらに、発注者はコンストラクション・マネジャー(CMR)とも契約し、CMRに設計者と施工者の監督を任せます。

 ピュアCM方式では、元請企業が引き受けていた施工段階のリスクを発注者が負うことになります。そのリスクを回避する「アットリスクCM方式」という手法もあります。この方式では、工期の遅延などによって工事費用が増えた場合、その超過分をCMRが負担します。

 それぞれ異なる特徴を持った各方式ですが、単独で採用されるだけではなく、複数の方式を組み合わせて採用するケースもあります。実際に、プロジェクトの全体をピュアCM方式でカバーし、施工段階についてはアットリスクCM方式や一括発注方式で実施するという併用のされ方も珍しくありません。

CMRが業務の負担とコストを削減する

 CM方式は、これまで発注者、設計者、施工者がそれぞれ行ってきた、各段階でのマネジメント業務を、発注者の責任のもとでCMRに委ねるものです。そのため、CMRの役割が非常に重要になります。

 CMRは、企業選定、図面や計画書の確認、予算や工程の管理、書類の処理、施工状況のチェック、検査の立会いなど、多岐にわたる業務に対応します。発注者は、業務のうち全てを任せることも可能ですし、必要な部分だけを選んでCMRと契約してもかまいません。

 発注者が業務負担を軽減したい場合は、CMRにプロジェクトの基本計画を作成するタイミングからサポートしてもらう、または手間の掛かる監督や検査業務をお願いするというのも手でしょう。専門的な知識や技術を必要とする工事、発注者側の経験が少ない工事では、CMRに設計者や施工者の提案内容を精査してもらうことで、技術力を補完できます。

 コスト削減を考える上では、CMRから設計段階でコスト面のアドバイスを受けられますし、労働力、資機材の発注、施工者の見積が妥当かチェックしてもらうこともできます。さらにCMRから、品質を保ちながら、コスト削減を目指す「VE提案」を受けるケースもあります。

 発注者は、CMRとの連携によって、自社が抱える建設プロジェクトの課題を解消することができるのです。

CM方式のメリットと注意点とは

 CM方式は、CMRから手厚いサポートを受けられますが、全ての面で一括発注方式より優れているというわけではありません。どちらにも一長一短があり、そうした特徴を理解しておくことがCM方式を活用する上では重要です。

 一括発注方式は、元請企業が施工における工程を管理し、遅延が発生した場合には超過費用を負担します。さらに、品質の責任についても保証してくれるため、発注者にとっては、施工段階におけるリスクや手間を低減できるというメリットがあります。

 元請企業は、施工に関わるリスクを全面的に負うかわりに、下請企業との契約などに対して自由な裁量権を持ちます。発注者は、元請企業から下請企業の選考プロセスや支払金額について、報告を受けるケースも少ないのが一般的です。そうした不透明さは、工期や品質、コストの最適化が図られているのか疑問を生じさせるため、発注者にとってデメリットといえるでしょう。

 その点、CM方式は、CMRが中立的な観点から、工期や品質、コストについて最適なマネジメント業務を行います。加えて、建設プロジェクトの進捗状況や工事予算に関する説明、意見交換を行い、発注者の裁量権を確保します。コスト構造や発注プロセスの透明性が確保されることで、工期・品質・コストの妥当性が明らかになりますので、発注者はステークホルダーへの説明責任も果たすことができます。

 注意しなければいけないのは、もしCMRが機能しなければ、CM方式のメリットは得らないということです。CMRは発注者の利益を守ることが最大の任務であり、高い能力と高い倫理性が求められます。そのため、発注者がCMRを選定する際には、これまでの実績と中立・公平性を慎重に吟味しなければいけません。

 このように、CM方式はメリットだけでなく、注意すべき点もあります。しかし、そうした特徴を理解し、CMRから充分なサポートを受けることができれば、注意点としてあげた発注者の業務量も、建設プロジェクトに隠れているリスクも大幅に低減することができるでしょう。従来の建設プロジェクトの進め方に課題感を抱えている方は、CM方式を活用してみてはいかがでしょうか。

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