建物グリーン設計ガイドライン
7つのコンセプト
NTTグループ 建物グリーン設計ガイドライン
1.はじめに
大量生産、大量消費、大量廃棄のサイクルや有害物質の使用が、単に地域社会だけではなく地球規模の環境問題を顕在化させてきています。
このような状況下では、企業は自らが所有・管理する建物の企画・設計・建設・運用管理・廃棄に至るライフサイクルを通じて、環境への影響を評価し、負荷を軽減することが求められています。
特に1993年11月に施行された環境基本法並びに2000年6月に施行された循環型社会形成推進基本法においては、国・地方自治体・企業・個人の環境に対する責務を明らかにすると共に、独自の対策を遂行するように要求しています。
NTTでは、1991年に「NTT地球環境憲章」を制定し、基本プログラムを策定してグループ企業を含めた全社的な地球環境保護対策を進めてきました。1999年には、NTTグループの再編を機に、環境保護推進に関する基本方針として「NTTグループ・エコロジー・プログラム21」を制定しました。
その中では、環境保全に関する法規制の遵守、国際的な視野に立った企業責任の遂行やNTTグループの事業を推進する上での環境負荷の低減等が宣言されています。
その基本施策として、NTTグループは、環境への影響を考慮した環境共生建物の設計(以下建物グリーン設計)を推進します。本ガイドラインに沿った検討を進めることにより、建物のライフサイクル全体にわたる環境への影響が十分に配慮されたものとなることを目的としています。
2.適用範囲
本ガイドラインは、NTTグループが所有・管理する建物について適用する。現在使用中の建物はもとより、今後新たに設計を開始する建物についても対象とする。
3.定 義
本ガイドラインにおける用語の定義は、JIS Q 14001/ISO14001による。
4.ガイドライン
4.1 建物グリーン設計コンセプトの設定
建物の設計にあたり、関連する法規制を遵守するとともに、以下の配慮項目に基づき建物グリーン設計コンセプトを設定する。
4.2 配慮項目
以下に示した項目について、建物の建設・運用管理・廃棄のライフサイクルにわたる環境への影響に配慮する。
また、本項目以外にも、環境に対する影響を配慮した設計を自主的に実施するよう努める。
4.2.1 建物の長寿命化
- フレキシビリティの確保
ライフサイクルにおいて想定される機能、用途、使用者等の変化に対応できるフレキシビリティを確保する。 - メンテナビリティの重視
清掃、建築物や建築設備の点検・保守作業等の維持管理業務が効率的かつ安全に行えるように配慮する。 - リニューアルへの対応
ライフサイクルにおいて想定される劣化、故障、被災、機能上の不適合などに伴うリニューアルが容易に、また適切に行われるように配慮する。 - 耐久性の向上
ライフサイクルにおいて想定される劣化に対して、劣化の度合いを最小限に抑え、機能維持が容易に行えるように配慮する。
4.2.2 ハロン・フロンの使用抑制
- ハロン・特定フロン使用設備の廃止
ハロンまたは特定フロンを利用する設備機器は、原則として新設・増設をしない。また既存設備機器については、転換するまでの使用期間中は、誤放出・漏洩等の防止対策に努めるとともに、特定フロンを使用する既存設備機器については、可能な限りすみやかに代替設備への転換を図る。 - フロン使用材料の排除
既存のフロン使用材料については、可能な限りノンフロン系材料への転換を図る。
4.2.3 有害物質の使用抑制・撤廃
- 有害物質の使用抑制・撤廃
特別管理産業廃棄物に指定されている等、人体や環境に影響を与える物質や、特別な廃棄処理を必要とする物質(以下有害物質)で、建物に使用されているものは可能な限りすみやかに撤廃を行う。有害物質は原則として建物に使用しない。 - 有害物質の処分
既存の有害物質の処分については、安全かつ確実な処分方法を選定し、処分管理の徹底を図る。
4.2.4 省資源及び省エネルギー
- 建設時の省資源及び省エネルギー
使用する建築材料に関して、材料の種類は可能な限り統一する。材料の組成や製造工程の単純なものを、可能な限り選定する。エネルギー消費を考慮した工法の選定を行う。 - 運用時の省エネルギー
既存の有害物質の処分については、安全かつ確実な処分方法を選定し、処分管理の徹底を図る。 - 自然エネルギーの有効利用
自然エネルギーの効率良い利用方法を検討し、積極的に導入を図る。 - エネルギー利用の高効率化
排水、排熱等の有効な利用方法を検討し、可能な限りエネルギー利用の高効率化を図る。
4.2.5 廃棄物発生量の削減
建築工事及び建物の運用段階において、余剰材・廃棄物の発生量を削減するように 配慮し、処分管理の徹底を図る。建築材料の選定において、廃棄処分時の環境への負荷を考慮する。
4.2.6 再使用・再生利用の促進
- 発生副産物の再使用・再生利用の拡大
建築工事及び建物の運用段階において発生する撤去・廃棄物品については、廃棄物発生量の削減を考慮して、可能な限り再使用・再生利用を行う。 - 再使用・再生利用材料の利用拡大
再使用・再生利用可能な材料や、廃棄物等を再生した材料を可能な限り利用する。
4.2.7 地域環境への対応
- 敷地等の環境特性の把握・分析
建物の敷地及びその周辺の歴史的、社会的、地理的、生物的な環境特性の把握に努め、必要に応じて設計に反映する。 - 地域環境への環境負荷の削減
建築工事及び建物の運用段階において、大気汚染や水質汚染、土壌汚染、騒音・振動といった地域環境への影響を可能な限り削減する。
5.その他
本ガイドラインは、社会状況の変化や、新たな知見等に基づき必要に応じ改訂する。
本ガイドラインは、以下のNTT グループ各社に適用する。
日本電信電話株式会社
東日本電信電話株式会社
西日本電信電話株式会社
NTTコミュニケーションズ株式会社
株式会社 NTTデータ
株式会社 NTTドコモ
株式会社 エヌ・ティ・ティファシリティーズ
エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社
NTT都市開発株式会社
NTTビジネスアソシエ株式会社
※本ガイドライン制定により日本電信電話・旧不動産企画部、旧環境問題対策室で作成した「建物グリーン設計ガイドライン」(1997年11月27日制定)は廃止します。
本ガイドラインに関する情報は以下のURLにも掲載されております。
http://www.ntt.co.jp/design/index.html
NTTグループ 建物グリーン設計ガイドライン(日本語)
NTTGROUP Green Design Guideline for Buildings(English)
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