導入事例
コンテナ型電源BOX 設置プロジェクト
宇都宮大学様
コンテナ型電源BOX 設置プロジェクト
短期間設置とエネルギーロス抑制に対応 今後の情報通信基盤発展にも貢献
国立大学法人宇都宮大学様は、栃木県宇都宮市にふたつのキャンパスを、そして同県内に5カ所の附属施設を有し、その広域な情報通信基盤及び情報システムの計画、設計、運用などを総合メディア基盤センター様が担っています。総合メディア基盤センター様では、学生や教職員の皆様が安心して大学の情報資産を利用できるよう情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である ISO/IEC 27001を早期から採り入れるなど、先進的な活動を継続してきました。
そして2013年度に、災害時でも安定した電源供給を図れる新電源システム構築施策としてコンテナ型電源BOXを導入。そのプロジェクトにNTTファシリティーズを含めたNTTグループが参画し、お客様から高い評価をいただきました。
業務の概要
学内の情報通信基盤を強化発展するために
宇都宮大学様には、国際学部・教育学部・農学部がある峰キャンパスと、工学部のある陽東キャンパスがあります。峰キャンパスの正門近くにある「フランス式庭園」は、毎年5月につつじが満開となり、芝生が解放されるなど市民の憩いの場にもなっています。
企業や公共施設などで事業継続計画(BCP)への対策が進む中、宇都宮大学様でも「止めない、止まらない」を目標とした情報通信インフラ設計が進められてきました。宇都宮大学総合メディア基盤センター様が運用するコンピュータは、峰キャンパスと陽東キャンパスの教育用のコンピュータルームに計250台規模で設置され、授業や自学などに活用されています。さらに各学部と附属図書館に加え、教育学部附属幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校にもコンピュータルームがあり、同センターで管理するコンピュータだけでも全学で約500台。BCP対策を考える上では、これらに加えて通信基盤設備や大学の情報システム用サーバも稼働させ続けなければなりません。
総合メディア基盤センター様では、情報セキュリティマネジメントシステムISO/IEC 27001の活動における IT-BCPも着実に展開されています。2009年度には、太陽光発電とDC蓄給電システムの構成からなるシステムを配備し、峰キャンパスと陽東キャンパスの両キャンパス間で、長時間の停電時でも基幹部分の通信機能を維持できる仕組みを構築しました。この時に初めて、NTTファシリティーズを含めたNTTグループによるシステム提案が採用されています。東日本大震災時には宇都宮市は発災直後に広域かつ長時間の停電を経験しましたが、宇都宮大学様のキャンパス間ネットワーク通信はその機能を維持することができました。
コンテナ型電源BOX採用で短期構築と大容量化を実現
BCP対策が有効に機能している宇都宮大学様では、さらに強固な情報通信インフラを追求し、より大容量の蓄給電システム設置の検討が進められました。宇都宮は雷の多発地域であり、宇都宮大学総合メディア基盤センター様では、かねてより雷対策が進められてきました。基幹ネットワークについては、雷サージの影響を受けにくい光ファイバー化計画に早期から取組み、コアからほぼ全ての建物のフロアスイッチまで光化するとともに、同じくコアからフロアまでのほぼ全てのスイッチにサージ対策を施しています。今回の計画は、電源系統の安定性を重要視する総合メディア基盤センター様において、より高い安心を得るために、より安定した中枢への電力供給機能を追求するという目標にもとづくものです。これにより、さらなるICT準備体制の拡充が進むことも重視されています。
新電源システムの検討が2012年度中盤から開始され、2013年7月に事業者に対する説明会が行われました。求められていた機能は、①24時間以上のバックアップ給電 ②大学内のサーバルームに設備を設置 ③2013年度中に構築 ④大規模災害に対応する設備と保守体制――など。
NTTグループで宇都宮大学様の新電源システム構築案件を正式受注したのは2013年11月20日。2013年度末まで4ヵ月という時間しか残されていない中、設置する蓄電池の容量が4,000Ahと大きいため、既存の建屋内のスペース利用は難しい状況でした。そこでご要望に応えるため採用されたのが、コンテナ型電源BOXです。建屋の外に設置でき、電源ラインを建屋に引き込むだけで済むため、建屋の改造や新築が不要で短期構築を実現できました。
変換ロス低減のためにDC給電を採用
コンテナ型電源BOXを採用するとともに、全系における交直変換による損失を少しでも削減するためにDC給電化も図りました。それには、長年にわたる電話交換技術で培われてきたNTTグループのノウハウが活かされました。
峰キャンパスと陽東キャンパスに1台ずつ設置されたコンテナ型電源BOXは、大きさが幅2.3m、奥行6m、高さが2.4mあり、本体重量は約10t。停電が長時間にわたり充電残量が空になるような場合に備え、緊急発電車両等からの受電を行うための機構も装備しています。ここでも、災害地において貢献に尽力してきたNTTグループの経験が役に立っています。
情報セキュリティインシデントへの対応体制
屋外に設置されたコンテナ型電源BOXは、夏場には直射日光に晒されますが、空調設備が冗長化運転で対応し常に最適温度を維持します。コンテナ型電源BOXを監視、コントロールする制御コンソールはサーバルームに設置されており、内部の温度や湿度などのデータもモニター上に表示され、何らかのトラブルが起きれば警告灯が点灯して知らせるとともに、モニター上でトラブルを確認できるようにしました。
コンテナ型電源BOXへの入退室はICカードを用いて照合することで電気錠の開閉を行っており、さらにその信号はNTT東日本カスタマセンタにて遠隔監視するなど体制面、制度面についても重視しています。
情報通信システムのさらなる進化を計画
宇都宮大学様の大学情報システムは、BCP対策として電源システムの強化及び安定化を図るのみならず、国立情報学研究所学術情報ネットワーク(SINET4)データセンターの積極利用や横浜国立大学様との情報戦略協定に基づく相互にバックアップ体制の確立など、先進的な取組が展開されています。
将来の情報システムについては、クラウドへのアウトソーシングや仮想化技術を積極活用し、さらなるレジリエンス向上を目指す明確な方向性を打ち出しています。また、ユーザーの持つデバイスは、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットなど多様化が進んでおり、それに対応した情報通信インフラの展開を急務として進めています。キャンパスの至る所に携帯電話各社のWi-Fi環境を整備しているのもその一環かつ先進的なものであり、BCP対策とともに利便性の高い情報通信ネットワーク構築を推進していき、発展を遂げていくでしょう。
コンテナ型電源BOX設置プロジェクトに関しては短期間作業の中、トラブルもなく対応したことでご満足いただけ、さらに省エネ効果に対する期待も含めて高い評価をいただいたと考えています。
お客様の声
国立大学法人 宇都宮大学 総合メディア基盤センター
大学の情報通信基盤を担うセンターとして、基幹機能は「止めない、止まらない」というチャレンジ目標を掲げ、より確実な運用を遂行する必要があると考えてきました。これまでセキュリティ国際認証規格であるISO27001の取得、太陽光発電と蓄電システムの設置などをBCP対策として推進してきました。今回のコンテナ型電源BOX設置もその一環です。日程的に厳しい中で、NTTファシリティーズさんには、よく要望を聞いていただきました。誠実なサポートがあったことで電源システムやDCサーバの設置もとても円滑に進みました。
コンテナ型電源BOXは、今のところ順調に稼動しています。負荷による稼働状況の変化や季節変動など検証すべき事項は多いと考えており、これから詳細な評価と分析を行い、今後に活かしていきたいと考えています。期待する省エネルギー効果に関してもNTTファシリティーズ様、そしてNTTグループの皆様と連携して、しっかりと見極めていきたいと思います。
担当者の声
NTTファシリティーズ
北関東・信越支店 栃木支店
支店長
久崎 貴弘
北関東・信越支店 栃木支店
営業担当課長
岡田 茂
宇都宮大学様の要望の中で「2013年度中に構築」が一番の課題でした。年度末までは4ヵ月間しかなく、加えて設置する蓄電池の容量が4,000Ahと大きいものです。サーバルームのユーティリティ設備として既存建屋内に収める、もしくは新たに建屋を建設するのが順当なところですが、付帯設備も併せると既存の建屋内のスペースを使用することは事実上不可能。しかし建屋の改造や新築では建築申請から確認まで相当な期間が必要となり、2013年度中には納入することができません。
そこでご要望に応えるため、短期で構築が可能なコンテナ型電源BOX設置が採用され、NTTファシリティーズ栃木支店、営業本部ソリューションビジネス部、エネルギー事業本部総合エンジニアリング部が連携して構築、期間内に無事納入することができました。
これからも宇都宮大学様の情報通信システムを止めないという目的と、災害時の地域貢献という目的を確実にするためしっかりサポートするとともに、今後の情報通信基盤の発展に関しても貢献していきたいと考えています。
国立大学法人 宇都宮大学様
所在地 | <峰キャンパス>栃木県宇都宮市峰町350 <陽東キャンパス>栃木県宇都宮市陽東7-1-2 |
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URL | http://www.utsunomiya-u.ac.jp/ |