導入事例
長期安定運用を見据えた構築・保守に潜む課題を解決する「太陽光発電トータルソリューション」とは
三井物産プラントシステム株式会社様
三井物産プラントシステム株式会社
エネルギー・サービス本部 本部長
鳥光 優之 様
- 課題
- FITを用いた売電事業期間(20年間)にわたる発電システムの長期安定運用
- 構築会社と保守会社それぞれが持つ専門機能の発揮を最適かつ効率的に発揮するオペレーション
- 対策
- 多くの実績を持つプロフェッショナルとのパートナーシップ
- 構築から保守までを1社に一貫して委託
- ソリューション
- 長期安定稼働を実現する構築から保守までのトータルソリューション
- 国内トップクラスの構築実績に裏打ちされた効率的な設計・施工
- 全国に張り巡らされている拠点網からの駆けつけ体制と24時間365日の遠隔監視による万全のフォロー
提案を受けたのは「好適地」での事業化
三井物産プラントシステムは、三井物産グループの一員として、電力、重機械、交通など、日本の産業や社会を支えるインフラ事業を幅広く展開しています。その中で、近年力を注いでいるのが再生可能エネルギー発電事業の開発・運営になります。
特に太陽光発電の分野では長期運用資金を用いたファンドモデルを先駆者的に導入・活用しての事業開発に取組み、これまで40を超える発電所の建設と現在50弱の発電事業の運営管理を行っています。用地選定、確保から開発にかかわる各種許認可取得、システム構築、20年以上にもおよぶ事業期間の運営、事業終了後の発電資産の有効活用まで一貫して担い、さまざまなパートナーと協業しながら事業を展開。「Oh My Solar!」という、太陽光発電所の実績発電量を入力するだけで、発電所の簡易パフォーマンス診断や、類似日射量もしくは近傍の他社発電所との発電量結果を比較できる独自サービスの展開も開始しています。
こうしてクリーンな再生可能エネルギー発電事業を推進する同社は2014年、NTTファシリティーズから山口県における太陽光発電所の建設・運営について提案を受けます。
山口県下関市の亀浜と千鳥浜、山口市の秋穂(あいお)という3つの用地開発の提案を受け、事業化を推進したエネルギー・サービス本部の鳥光優之本部長は、決断に至った要因をこう語ります。
「実際に現地に赴いて自分の目で確かめたところ、日照条件の良さはもちろん、天災被害などの想定される事業リスクが起きる可能性が低く、太陽光発電事業に非常に適した土地であると感じました。年々、太陽光発電所建設の適地が減っている中、このような好適地を紹介してくれたNTTファシリティーズには大変感謝しています」。
構築・保守を一社に託し、引継ぎの課題を解決
こうして三井物産プラントシステムは、亀浜・千鳥浜・秋穂での太陽光発電所建設、事業組成に向け詳細検討に入ります。
その際、NTTファシリティーズから提案があった「構築+保守」をワンストップで業務委託することに大きな魅力と可能性を感じたといいます。というのも、従来、同社は太陽光発電システムの構築と保守をそれぞれ異なる会社に意図をもって委託してきたものの、そこに大きな労力・コストを費やしていたため、今回の取組が課題解決の1つのモデルケースになると考えたからです。
「構築に携わるEPCコントラクター(建設請負会社)は、効率よく建設することに注力するため、どうしても“管理のしやすさ”といった視点が欠ける傾向があります。構築後、保守会社に引継ぐ際にはかなりの労力と時間が必要になっていましたし、引渡し後に保守運用の視点から手直しが必要ということになると、その分手間もコストも余計にかかってしまいます」。
今回の案件では、NTTファシリティーズから、構築に加えて20年間の保守管理までを一貫して請け負いたいとの提案があり、三井物産プラントシステムで、内容を厳密に精査した結果、これを承諾しました。それにより、引継ぎ時に生じていた労力・コストが大幅に削減できたとともにスムーズに運営管理業務が立ち上げられたといいます。
一方、構築と保守を1社に委託することには懸念もありました。同社にとって、1つの会社に全てを委託するのは初めての経験。そのため、構築と保守のスタッフ同士でなれ合いが生まれることに不安を感じたというのです。しかし、鳥光本部長は、実際にプロジェクトが始動するとその不安は解消されたと語ります。
「NTTファシリティーズでは、構築と保守は同じ企業ではあるものの、社内ではそれぞれ独立した別の部門が担当しています。工程進捗会議には、双方の部門に出席してもらって情報を共有するとともに、保守の部門には20年間の長期運用管理の視点で設備を見てもらい、意見を求めました。同じ会社ではありましたが担当業務のプロ同士、なれ合いを排し、安定運用という共通目標に向けた密なコミュニケーションが図られていることを確認することで信頼感が醸成されました」。
豊富な実績を活かした構築と万全の監視・フォロー体制に安心感
2016年11月に亀浜、2017年12月に秋穂、2018年7月に千鳥浜で太陽光発電所の稼働が開始しました。その建設工事の過程で、鳥光本部長はあることに感心したといいます。
「太陽光発電所の建設は、パネルの設置や電気の接続といった単調な作業が続きます。一見、効率化の余地がないように思えるのですが、NTTファシリティーズの場合、パネルを乗せる架台の上下や左右をすばやく判断でき、また誤設置出来ないよう、きちんと部材にも設計面で工夫がされるなど、非常にシステマティックに工事が行われていました。現場で作業を見ていて、さすがに国内トップクラスの施工実績を持つ会社の仕事だと感心しました」。
稼働後は、亀浜・秋穂・千鳥浜ともに安定して運用されており、発電量も当初の計画を上回っているといいます。
「太陽光の発電量はどうしても天候に左右されますが、安定して施設を管理することや、万一トラブルがあった際にも速やかに復旧し、発電機会の喪失をいかに最小限に食い止めるかが極めて重要です。NTTファシリティーズは、日本の通信インフラを保守してきたカルチャーに基づく万全の保守体制があり管理面でも非常にプロ意識が高く、自発的に対応してもらえるので、安心して任せられます。 具体的には専任の電気主任技術者を配置し、最寄りサービス拠点からのフォロー体制が万全であることに加え、24時間365日体制で遠隔監視を行いトラブル発生時にはサービス拠点へ迅速な指示を出せるNTTファシリティーズのFOC(ファシリティーズオペレーションセンタ)の存在も安心材料になっています」。
三井物産プラントシステムによるNTTファシリティーズへの評価は、さらに別のかたちで発展します。
2018年1月より同社は、仙台に建設した太陽光発電所の保守管理業務を、NTTファシリティーズに委託しました。委託を決定した理由としては、山口県での構築・保守のプロとしての知見に加え、自社サイトの運営経験を活かした発電事業者の視点でのサポートが大きかったといいます。
know-how、実績を基本とした戦略的なパートナーシップに期待
今後、三井物産プラントシステムは再エネ発電事業にどのような展望を持っているのでしょうか。鳥光本部長は、想いをこうまとめます。
「地球温暖化は極めて深刻な環境問題です。我々の子どもや孫が生きる未来のことを考えれば、再生可能エネルギーの導入拡大は不可欠といえます。
現在はFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)に依存した形で推進されていますが、将来的に再生可能エネルギーは主力電源として一般の電力に対しても競争力を持った電源としての事業開発が求められてくるでしょう。そのためには、より安価で発電効率の良い設備を構築するハード面での技術革新に加え、長期安定稼働に向けたO&Mが不可欠だと考えています。当社で開発した「Oh My Solar!」の診断データを利活用し、O&Mを中心とするアフターサービスのビジネス組成に向けて、お互いの知見(know-how)と経験、実績を活かした戦略的パートナーとして、NTTファシリティーズには強い期待を寄せています」。
本文中の太陽光発電所 概要
下関亀浜ソーラー発電所(山口県) | 発電容量 1.3MW(パネル容量1.9MW) | |
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山口秋穂ソーラー発電所(山口県) | 発電容量 5.0MW(パネル容量9.0MW) | |
下関千鳥浜ソーラー発電所(山口県) | 発電容量 9.9MW(パネル容量14.8MW) | |
西仙台ゴルフ場メガソーラー発電所(宮城県) | 発電容量 16.0MW(パネル容量18.7MW) |
施設・クライアント概要
会社名 | 三井物産プラントシステム株式会社 | |
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本社所在地 | 東京都港区東新橋1丁目9-2 汐留住友ビル26階 | |
資本金 | 15億5500万円 | |
設立 | 2007年4月 | |
事業内容 | 電力・交通・製鉄・化学・電力など、社会を支える幅広い基幹インフラや基礎産業分野向けにプラント・設備機器・関連部品などを取り扱い、顧客のニーズに合わせてプラント機器の輸送や据付、技術提供、リース、ファイナンス、メンテナンスなどのサービスも行なうなど、高い専門性を発揮しトータルソリューションを提供している。 |
採用製品・サービス
- MEGA SOLAR
- 太陽光発電システムの導入を、企画・設計・構築・運用までトータルサポート。発電量の最大化、事業性の追求と環境負荷低減を実現しています。
- 発電所保守サービス
- 全国432箇所の太陽光発電所を保守する豊富な実績と経験を活かし、お客様の太陽光発電所を20年間トータルサポートします。