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人類の生活と産業を支えてきた「電池」の進化と歴史

2018年10月24日

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 新しい産業の発展や新技術の普及の陰には、常に進化を続ける電池のアシストがありました。電池は、私たちの身近にありながら、その真の姿は意外に知られていないのです。そんな電池の歴史をたどりながら、産業や生活にどのような影響を与えてきたのかを考察します。

カエルの足か、それとも金属か

 この世にカエルがいなければ、電池は誕生していなかったかもしれません。

 それは18世紀のこと。イタリアの生物学者ガルバーニは、カエルの足が2つの異なる金属に触れると、勝手に動くことを発見しました。このことから、ガルバーニはカエルの足が電気を持っていると考えました。

 この説に疑問を持ったのが、イタリアの物理学者ボルタです。ボルタは電気がカエルの足ではなく、2種類の金属の接触によって生まれたと考えました。そこで、カエルの足の代わりに食塩水に浸した紙を使い、電気の流れが生じることを確かめました。

 そしてボルタは、1800年に、銅、すず、食塩水を使って電気を発生させる電池を発明しました。化学反応から電気をとりだしたこの電池は「ボルタ電池」と呼ばれ、ここから本格的な電池の歴史が始まったといわれます。

 1836年にイギリスの化学者ダニエルが発明した「ダニエル電池」は、素焼きの容器を使うことで、ボルタ電池の欠点である電圧の低下を克服しました。この発明をきっかけに、電池が本格的に商業利用されるようになったといわれています。

 その後、電池は多様化していきます。1888年にドイツのガスナーは、電解液を石膏で固めた電池を発明しました。こうすれば電解液がこぼれないため、この電池は「乾いた電池」、つまり「乾電池」と呼ばれました。その存在によって、小型電子機器が一気に普及します。

主役に躍り出たリチウムイオン電池

 電池の進化はさらに加速していきます。

 1859年、フランスのプランテは、2枚の鉛板の間にゴムでできた2本のテープをはさんで円筒状に巻き、電解液で満たした容器に入れた電池を発明しました。これが「鉛蓄電池」です。この電池は使い捨てではなく、再充電が可能で繰り返し使えます。こうした電池のことを二次電池と呼びます。

 1899年には、スウェーデンのユングナーが高出力という特徴を持った「ニッケル・カドミウム電池」(ニカド電池、ニッカド電池)を発明。その後、環境への負担が少ない水素を材料に使った「ニッケル・水素電池」が開発されています。

 そうした中、あっという間に二次電池の主役に躍り出たのが、吉野彰博士たち日本人の研究チームが開発した、「リチウムイオン電池」です。正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行うもので、エネルギー密度が大幅に向上したことから、二次電池の小型・軽量化が実現しました。

 現在、リチウムイオン電池は、モバイル機器や電気自動車など時代の先端を行く機器を中心に、幅広く利用されています。これがまだ発明されていなかったら、私たちはいまだに重く、巨大な携帯電話を肩からかけて使っていたかもしれません。

 ※出典:一般社団法人 電池工業会「電池の歴史」

電池の進化が社会を変える

 現代人の生活を支える電池はまだまだあります。

 電池を大きく分けると、化学反応によって電気をつくる「化学電池」と、熱や光といった物理エネルギーから電気をつくる「物理電池」の2種類があります。

 化学電池には乾電池や充電式電池、蓄電池などがあり、その1つが「燃料電池」です。これは天然ガス、水素などの燃料を使って発電を行うもので、エネルギー交換効率が高く、環境にも優しいことから、ハイブリッド車や電気自動車のエネルギー源として知られています。

 燃料電池は、家庭での活用も進んでおり、エネファームという愛称で呼ばれています。水素と酸素から電気と熱をつくり、それを使用することで家庭のCO2排出量とともに電気代を削減することが可能です。国が補助金を用意するなど、普及に力を入れている電池でもあります。

 一方、物理電池としてあげられるのが、太陽光発電に欠かせない「太陽電池」です。これは、太陽光のエネルギーを電力に変換するため、環境負荷が少ないというメリットがあります。太陽電池は、技術開発によって着々と高効率化と低コスト化が進んでいます。それにより、都市のスマート化や、創エネと省エネで消費電力を限りなくゼロにする「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」などの進展が期待されています。

 電池の進化は、私たちの生活や産業を大きく変化させてきました。今では、利便性をもたらすだけではなく、生活や産業を地球に優しいものへと変えようとしています。電池は、私たちにどのような未来をもたらすのでしょうか、これからも目が離せません。

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