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ビジネスコラム

伊藤佳子プロに聞く③「悩める皆さんに向けてのショートレッスン」

2019年6月19日

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 前回は、LPGAの副会長として活躍した伊藤佳子プロに、自身のゴルフ人生について語っていただきました。今回はゴルフに悩める皆さんに向けてのショートレッスン。伊藤プロにスコアアップするヒントを伺います。プロが語る、実力を発揮するメンタルのあり方、現在の自分との向き合い方など、ゴルフだけでなくビジネスでも役立ちそうなセルフマネジメントの方法論。これを読んで、ぜひゴルフと仕事のスコアアップを実現してください。

【プロフィール】
伊藤 佳子(いとう よしこ)
プロゴルファー、元LPGA 副会長。14歳でゴルフをはじめ、大学在学中に日本女子オープンゴルフ選手権のベストアマを獲得。その後、米国へ留学し、そこで優れた学生アスリートに贈られる「オールアメリカン」「アカデミックオールアメリカン」に選出されるなど、ゴルフ留学の先鞭をつける。1986年にプロ入りし、その後LPGAの理事や副会長として選手やジュニア世代の育成に関わるなど、選手として裏方として女子ゴルフの人気を両面から支えてきた。

上達の秘訣は「60、70%の力加減」

――ズバリ伺います。ゴルフ上達の秘訣を教えてください

 ゴルフを楽しんでいる方にはビギナーもいればベテランもいますが、共通してアドバイスできることが3つあります。

 1つ目は、リズムよくプレーすること。2つ目は、コースマネジメントをきちんとやること。3つ目は、60ヤード以内のアプローチをしっかり練習することです。

 まず1つ目ですが、ゴルフをプレーする際には、歩くリズム、ショットに入るリズム、スイングのリズムなど、あらゆる所作のリズムを意識してください。リズムはちょっとした力みで簡単に崩れやすく、そうなるとミスショットにつながる恐れがあります。

 よくあるのが、ショットの際に100%の力を使おうと頑張りすぎてしまうケース。この場合、腕だけ100%の力を出しているのに、足やお腹の筋肉は50%ぐらいしか使えていないといったことが起こりがちです。これでは良いショットは打つことができません。

 リズムを保つためには、適切な力加減を覚えましょう。大事なのは、60、70%の力でスイングしようという意識です。そうすれば、腕も足もお腹の筋肉もすべて60、70%の力で使うことができ、バランスのとれたスイングになります。

――実際のラウンドではつい力が入ってしまいそうですが、何かコツのようなものはありますか

 良い方法があります。その場で立って、ジャンプして180度回ってみてください。バランスよく回転するためには、どこか一点に100%の力を入れるのではなく、体全体の筋肉をバランスよく使う必要があります。ゴルフのスイングもそれと同じなんです。

 60、70%の力加減でコースを回ることができれば疲労も軽減されるため、バテがちな後半にチャンスが来た時も集中力を高められますよ。だまされたと思って実践してみてください。

――コースマネジメントはアマチュアだと難しそうですね

 コースマネジメントで大事なのは「逆算」です。ティーグラウンドに立ったら、そのホールのレイアウトをチェックし、カップからティーに向かって逆算してショットの方向や球筋を決めてください。

 それができるかできないかは別にしても、自分なりに攻め方をイメージすることが大切です。これから打つ1打をイメージすることで、再現性は高まります。また、再現できなかった場合は、引きずらずに忘れるということも重要ですね。

――3つ目のアプローチについては何が必要でしょうか

 アプローチは、60ヤード以内のショットを中心にした練習をおすすめします。

 練習場では、ついドライバーを握って気持ちよく飛ばしたくなるかもしれません。でも、60ヤード以内のショットというのは、スコア全体の60%程度を占めると言われているんです。

 60ヤード以内のショットだと、アプローチウエッジやサンドウエッジでハーフスイング、スリークオータースイングする場合が多いと思います。これは先ほどお話しした「60、70%の力でスイングする」のと一緒ですね。これを続けることは、大きなショットを一緒に練習しているようなものです。

深呼吸をひとつしてイメージをつくる

――伊藤プロは“パターの名手”としても知られています。ぜひ秘訣を悩めるゴルファーに教えてください。

 パッティングで大事だと思うのは、「ビジュアライゼーション」です。これは、打ってからカップインするまでの映像を頭に描くこと。プロの多くは、球の転がり方、曲がり方、カップインする瞬間までが打つ前に見えていると思います。そして、パッティングする際には、頭の中の映像を再現しようとするのです。それにはもちろん経験値も必要になるのですが、メンタルの状態が深く関わっています。

 そのことに気が付いたのは、20代後半に出場したある大会がきっかけでした。試合中にグリーンでパッティングのラインを読もうと一生懸命になり過ぎ、ちょっと疲れちゃったんです。気分を切り替えるために深くため息をついた瞬間、ラインがパッと見えたんです。

 リラックスモードに入ったというのか、いわゆるゾーンに入ったというのか、その時に「こうするとラインが見えるのか」と分かったんです。皆さんも深呼吸をひとつして、イメージを作ってみてください。

――パターの練習は単調で飽きてしまうという声もあるようですが

 それには、自分を飽きさせない工夫が必要かもしれませんね。普段カップインの練習ばかりしている方は、例えばカップの手前で止める練習を取り入れるのもいいかもしれません。良い気分転換になりますし、カップインさせるよりも直前で止めるほうがどれほど難しいのか気づくことができます。

 そうした練習を地道に積み重ねれば、思った方向に打てるようになります。ラインが見えるようになればイメージ通りのパットが打てるようになり、スコアアップにつながると思います。

 付け加えるとすれば、自己流で練習しているアマチュアゴルファーも、一度はプロに教わってみることをお薦めします。正しいアドレスやグリップは基本として重要ですし、そうした細かいところチェックしてもらうことも上達への道です。

青い鳥はいない、いるのは今日の自分

――ご自身はコーチの指導で考えを変えたような経験はありますか

 現役の頃にいただいた印象的な言葉があります。それは、スイングに悩みを抱えていた時のことでした。あるプロに教わりにいったところ、私がスイングに悩んでいるのを見抜いて「佳子ちゃん、どこにも青い鳥はいないよ」と言われたんです。ハッとしました。自分の間違えに気づかされました。

 私は、「青い鳥はいないよ」という言葉を、「理想のスイングなんて探してもどこにもないよ」という意味なんだと解釈しました。

 体調も精神状態も日々変わり、毎日同じことはできない、昨日のスイングも今日と同じようにできるはずはないんです。それが分かっていないと、昨日できたことが何でできないんだと、ついつい良い部分まで変えようとしてスランプに陥ってしまう危険もあります。

 この経験から、私がジュニアの選手を指導する際も、「昨日と今日では体の状態も違うから、同じスイングはできないよ」と伝えるようにしています。人間って今日のコンディションに合った、スイングしかできないものなんですよ。

――これから先のゴルフ人生について教えてください

 2022年に還暦を迎えるのを前に、もう一度コンディションを整えるためにトレーニングを始めました。最近ラウンドの数は減っていたのですが、4年計画で自分が考えるゴルフができるように、自己研鑽を積んでいく予定です。

 これまで選手としてツアー競技に出ていたり、LPGAの仕事に携わったり、またゴルフレッスンも手がけました。これまでのことには十分にやったと満足しているし達成感もあるんです。これからは、もう一度自分自身に何ができるかを向き合ってみたい。できれば60歳を過ぎて、またレッスンを再開しようかなとも考えているところです。

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