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ビジネスコラム

「インダストリー4.0」が指し示す次世代のものづくり

2020年7月22日

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 ICTやIoT、AIなどデジタル技術の進展とともに、ものづくのあり方も大きく変わろうとしています。その中で、世界各国が注目しているのが、「インダストリー4.0」というコンセプトです。工場をデジタルによるスマート化で、生産効率を大幅に向上させ、新たなビジネスの創出にも大きな役割を果たすといいます。今回は、「インダストリー4.0」の動向と影響について解説します。

第4次産業革命の中で日本が目指すものとは

 「インダストリー4.0」とは、IoTなどによってものづくりの高度化を目指す言葉で、第4次産業革命と呼ばれることもあります。

 第1次産業革命では水力・蒸気機関の登場で手工業が機械化され、続く第2次産業革命は石油と電力の普及によって大量生産が可能になり、第3次産業革命でICT技術の進化にともない工場の自動化が進みました。

 現在進行中の第4次産業革命では、IoT技術の発展にともない収集が可能になったビッグデータをもとに、受注から設計、生産、物流、サービスというバリューチェーン全体を連携させ、ものづくりの高度化を目指します。そして、世界各国で「インダストリー4.0」の実現に向けた取り組みが進んでいます。

 最初に革命の旗が振られたのは、ドイツでした。2011年、リーマンショック後の不況に苦しんでいた産業界を立て直すために、ドイツ政府が戦略の1つとして「インダストリー4.0」を提唱したのです。この動きに追従するかのように、世界の主要各国が第四次産業革命に向けた戦略を発表しています。

 日本もまた、2017年3月に、「Connected Industries(コネクテッドインダストリーズ)」というコンセプトを発表しています。これは、各種データを連係させることで、機械、技術、人などさまざまなものをつなげ、新たな付加価値創出と社会課題の解決を目指しており、日本版「インダストリー4.0」といえるでしょう。

「考える工場」が生産効率を向上

 「インダストリー4.0」で、キーワードの1つとなるのが「スマートファクトリー(考える工場)」です。スマートファクトリーは、工場内のあらゆる設備・システムをIoT機器でインターネットに接続し、生産効率を大幅に向上させるというものになります。

 重要になるのは、これまでのように人間が考えるのではなく、工場の機械やコンピューターが自律的に考えるという点です。もともと日本の工場には、生産設備などに各種のセンサーが取りつけられており、そこから得たデータを人が確認・分析することで、機械の異常検知や製品の品質管理に役立ててきました。

 スマートファクトリーでは、そうしたデータを人の手を介さずに、機械同士がやり取りし、AIによる高度な分析を行うことで、機械の故障を事前に予知したり、工場内の稼働状況やエネルギー消費を効率化することができます。

 さらに、多品種少量生産、いわゆる「マス・カスタマイゼーション」の対応も可能になります。これは、大量生産(マスプロダクション)と受注生産(カスタマイゼーション)を掛け合わせた言葉です。

 製造業の分野では消費者のニーズが多様化する中で、メーカーは多品種少量生産への対応が課題となっています。スマートファクトリー化により、工場内のデータを受注からアフターサービスまでのバリューチェーン全体と連携することで、状況に応じて柔軟に生産ラインを変更し、効率化を図ることもできるようになります。

デジタルツインが新たな付加価値を生む

 スマートファクトリーを実現する上で欠かせないのが、「サイバーフィジカルシステム(Cyber-Physical System)」という技術です。

 サイバーフィジカルシステムでは、現実世界(フィジカル空間)にあるさまざまなデータをIoT機器で収集し、仮想世界(サイバー空間)で処理・分析を行います。そのよくある活用例が、工場における生産ラインのシミュレーションです。

 工場を立ち上げる際には、ラインをつくって検証を行う必要があり、そこに多大な時間と費用がかかっています。サイバーフィジカルシステムでは、仮想空間上で工場の設計や試運転を行い、従来と比べて非常に低コストで済むのです。

 仮想空間はデジタルツインという呼ばれることもあり、そこで工場内にある機械の稼動状況と温度、湿度、生産量、技術者のノウハウなどのシミュレーションを実施してデータベースを作成し、最適な運用シナリオの構築につなげている例もあります。

 サイバーフィジカルシステムは、生産効率に寄与するだけでなく、ビジネスモデルさえも変えてしまう力を持っています。シミュレーションによって構築したデータベースやノウハウを活かし、それを他のメーカーに販売したり、コンサルタント業務を手掛けるようになった企業もあるのです。

 このように「インダストリー4.0」は、企業の生産性を向上させるだけでなく、新たな付加価値の創出にも貢献します。工場だけでなく、バリューチェーン全体に影響があり、さらに製造業にとどまらず社会全体の変革を促そうという狙いがあるため、今後幅広い企業に影響を与えるものと考えられますので、これからの展開を注視する必要がありそうです。

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